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1章 転生と初めての婚約破棄

15.可愛いは正義、正義は必ず勝つ

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「大丈夫ですよ、火龍様ー!そいつは、熱に対しての異常な耐性を持ってます!それはさっきここで確認しましたー!」

アルベルトは既に馬車的なものに避難を完了したようで、遠巻きに火龍に伝える。
熱への耐性?
まさか、さっきの取っ手のないカップと、温度確認はそういうことか。
彼らしくない発言だったわけだ。

私は何も感じなかったが、あのお茶的なやつは超熱々だったのだ。
一般人は飲めないほどに、
カップに手をつけれない程に。
だけど、私はそれを一切のリアクションをとることなく、平然と飲んでいた。
彼の確認作業を気付かぬうちに完了させていたのだ。

何かを仕込むまでもなく、既に仕込まれていたのだ。
行為そのものに。
まあ、マジカル熱耐性のおかげで、火傷をせずに済んだのは幸いだったけれど。

「それでは、存分に我の情欲をそなたに吐き出すとしよう」

どすけべドラゴンーーもとい火龍はずしりずしりとにじり寄ってくる。
炎の化身が、性欲の炎を滾らせて近づいてくる。


古今東西、卑猥な妄想を現実にするやつは、罰せられる。
それはどこの世界も同じことだ。
イエス妄想、ノータッチ。
このロキア系みたいな化け物に、私の魔法がどこまで通用するか分からないがやってやろう。
最悪は周囲を全て更地にしてしまえばいい、
あるいは、その超弩級の魔力を私自身に向けて爆裂させればいい。
こんな綺麗な体を、このような獣に差し出すのは、死んでも嫌だ。
一回、死んでる私が言うのもアレだけれど。

「いきますよ、火龍殿。可愛いは正義、正義は必ず勝つ。その理論がこの世界でも通用することを、教えて差し上げます!」

口調をお嬢様っぽく戻し、火龍と相対する。
指を突き出し、
練習通りに、イメージする。

火龍が醜く爆散し、
その炎の体が消し飛ぶ様子を。
なるだけリアルに思い描く。

「さよなら、好色ドラゴンさん」

そして、指を振る。
くいっと。
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