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67.幕間
しおりを挟むこの気持ちに気づいたのはいつだっただろう。
最初は、一緒にいて楽しいとか落ち着くとかその程度。
そのうち、この子のために何かしてあげたくなるとか、そんな感情を抱き始めた。
ーーあぁ、思い出した。
彼女があの人のことを好きと言ってくれた時だ。
目を輝かせながら、彼女は自身の惚れた相手もことを語った。
どこか素敵で、何に惚れたか。
聞いてもいないのに、一から十まで丁寧に語った。
その姿も、私は好きだった。
だって彼女は笑っていたから。
私と一緒にいる時よりもずっと素敵な笑顔。
そこで、私は思い至ってしまった。
彼女を幸せにするのは、私でなくていいと。
それに最適な人をあてがえばいいと。
けれど、それは簡単なことじゃない。
彼女が惚れた相手は王族、いくら身分が高くても様々な要因で破談になりかねない。
幾重にも、十重二十重に準備はしないといけない。
努力しないといけない。
好きな人が、私じゃない誰かと結ばれるために。
「健気なものだねぇ。女同士の恋愛、俺は別に否定はしないが、荊の道だと思うが」
「それはお互い様だよ。君の方こそ、優れた弟の扱いに困っているのだろう? そこは助けあいでいかないかい?」
「ーー全く、口がうまいね。あの小娘もあんたみたく小賢しく生きられれば、いいだろうがな」
「不器用なところが、リトアの良さでもあるんだよ。じゃあ、アンドレアル。首尾は任せたよ」
「第一王子を呼び捨て、そのくせ駒の一つとして扱うとはーーまあいい、こっちにも益がある話だからな。多めに見てやるよ」
「それはありがたい。今後とも、ご贔屓に」
彼女の幸せのためなら、
彼女の笑顔のためなら。
私は何だって利用する。
……あぁ、これじゃあ私もあの人のこと、馬鹿にできないな。
リトアのために、
リトアだけのために生きてる。
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