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第一章
君が好きだと叫びたい
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チラシ寿司にローストチキン、サンドイッチ、ピザ、クリスマスケーキ――テーブルに乗り切らないほどの豪華な料理を目の当たりにしたアキラは、目を丸くした。
「いくらクリスマスだからって、多すぎない?」
「いや、つい作りすぎちゃってさ…」
ディーンは照れくさそうに頭を掻きながら、料理を取り分けていた。
そんなディーンを眺めながら、アキラは心の中で思った。
(パパ、今にも踊り出しそうなくらい機嫌がいい…それに、無言で食べているアレンも、なんだか嬉しそうだ…)
「あの…パパ、もしかして片思いがうまくいったの?」
アキラの突然の問いに、ディーンは真っ赤になって咳き込んだ。
「な、何を言ってるんだ!子供がそんなこと気にするんじゃない!」
二人の日本語でのやり取りを理解できないアレンは、目をぱちくりさせながら親子を見つめていた。
「ふふっ…良かったね、パパ」
アキラはにっこり笑った。
「そうだ、昨日バタバタしててすっかり忘れてたんだけど、これ、光輝からお前へのクリスマスプレゼントだって」
夕食後、片付けをしていたディーンに、アレンが黒い紙袋を差し出してきた。
「俺に?何だろう…」
ディーンが首をかしげながら袋の中を覗くと、そこにはディルドやローター、媚薬入りローションなど、大人のおもちゃがぎっしりと詰まっていた。光輝からのメモにはこう書かれていた――「これで仲直りしろよ。礼は店で高い酒でも入れてくれ。」
「中身、何?」
アレンが袋の中を見ようとするのを、ディーンは慌てて隠した。
「い、いや…大したものじゃないから…」
(くそっ、光輝のやつ…!)
アレンはディーンの様子に首を傾げたまま、不思議そうに見つめていた。
あの事件以来、アレンはしばらくの間、光輝の店で働くのを控えることにしていた。今でも、あの手錠で拘束された瞬間を思い出すたびに、全身から血の気が引く。
(もし、あの時ディーンが駆けつけてくれなかったら…)
そんなアレンに、ディーンが声をかけた。
「今日は光輝の店に報告がてら顔を出してくるよ。メールでだいたいのことは伝えたけどさ。アレンも一緒に行くか?」
「ん…俺は留守番してるよ。まだ少し怖いんだ、あの繁華街に行くのが…。光輝によろしく伝えてくれ」
ディーンはアレンの髪を優しくくしゃっと撫で、愛おしそうに見つめた。
「もう…大丈夫だからな」
そう言って、ディーンはアレンの顎に手をかけて口づけしようとした、その時――
「パパぁ?思春期の息子がいること、忘れないでよ」
顔を赤くしたアキラが、恥ずかしそうにこちらを見ながら言った。
ディーンが『BAR光る君』の扉を開けると、ヒカルママが開口一番、「おう、俺があげたプレゼントの礼に来たのか?」と声をかけた。
ディーンは肩をすくめながらカウンターに座り、「ジントニックを頼む」と注文した。
「おい、ドンペリを入れる約束だったろ?」とヒカルママが鋭くディーンを睨む。
「そんな約束した覚えはない。それに、お前、俺に対してだけオネエ言葉使わないのは何でだ?」
「あら、そんなことないわよ!でも、その様子だと、アタシのプレゼントが役に立ったみたいね?」
その言葉にディーンは顔を真っ赤にした。
ディーンの表情を読み取るた光輝は驚いて言った。
「おい…冗談のつもりで渡したのに、図星だったのか?」
「いや…光輝のプレゼントは使ってないんだ。けど、まぁいろいろあって…アレンと…その…結ばれたんだ」
ディーンのしどろもどろな告白に、ヒカルママは驚いた顔をした。
「災い転じて福となすってか!良かったな、お前!」
ヒカルママはディーンの前にジントニックを置き、自分のグラスを合わせて笑った。
「30年越しの恋に…乾杯!」
1時間後、ディーンはすっかり酔い、延々とアレンとの惚気話を語り続けていた。アケミとカオルは白い目でディーンを見ていた。
「最高なのはさ…いつも強気な俺様のアレンがさ、泣きながら可愛くなっちゃうのがもうたまらないんだよ!これがギャップ萌えってやつ?」
「ちょっと、そんな幸せなゲイカップルの性生活、聞きたくないんですけど~」
「しかもさ、俺たちの相性が最高でさ…もう運命だって気がするんだよな。あんな綺麗で可愛いアレンが俺ので、気持ちよくなってんだぜ?可愛すぎるだろ、もう。俺、止まらなくて3回も…」
「ママ、この人、もう強制退去させてー!」
「まぁまぁ、片思いが長かったみたいだから大目に見てあげましょ」
ヒカルママが肩をすくめて言い、BAR光る君の夜は更けていった。
「いくらクリスマスだからって、多すぎない?」
「いや、つい作りすぎちゃってさ…」
ディーンは照れくさそうに頭を掻きながら、料理を取り分けていた。
そんなディーンを眺めながら、アキラは心の中で思った。
(パパ、今にも踊り出しそうなくらい機嫌がいい…それに、無言で食べているアレンも、なんだか嬉しそうだ…)
「あの…パパ、もしかして片思いがうまくいったの?」
アキラの突然の問いに、ディーンは真っ赤になって咳き込んだ。
「な、何を言ってるんだ!子供がそんなこと気にするんじゃない!」
二人の日本語でのやり取りを理解できないアレンは、目をぱちくりさせながら親子を見つめていた。
「ふふっ…良かったね、パパ」
アキラはにっこり笑った。
「そうだ、昨日バタバタしててすっかり忘れてたんだけど、これ、光輝からお前へのクリスマスプレゼントだって」
夕食後、片付けをしていたディーンに、アレンが黒い紙袋を差し出してきた。
「俺に?何だろう…」
ディーンが首をかしげながら袋の中を覗くと、そこにはディルドやローター、媚薬入りローションなど、大人のおもちゃがぎっしりと詰まっていた。光輝からのメモにはこう書かれていた――「これで仲直りしろよ。礼は店で高い酒でも入れてくれ。」
「中身、何?」
アレンが袋の中を見ようとするのを、ディーンは慌てて隠した。
「い、いや…大したものじゃないから…」
(くそっ、光輝のやつ…!)
アレンはディーンの様子に首を傾げたまま、不思議そうに見つめていた。
あの事件以来、アレンはしばらくの間、光輝の店で働くのを控えることにしていた。今でも、あの手錠で拘束された瞬間を思い出すたびに、全身から血の気が引く。
(もし、あの時ディーンが駆けつけてくれなかったら…)
そんなアレンに、ディーンが声をかけた。
「今日は光輝の店に報告がてら顔を出してくるよ。メールでだいたいのことは伝えたけどさ。アレンも一緒に行くか?」
「ん…俺は留守番してるよ。まだ少し怖いんだ、あの繁華街に行くのが…。光輝によろしく伝えてくれ」
ディーンはアレンの髪を優しくくしゃっと撫で、愛おしそうに見つめた。
「もう…大丈夫だからな」
そう言って、ディーンはアレンの顎に手をかけて口づけしようとした、その時――
「パパぁ?思春期の息子がいること、忘れないでよ」
顔を赤くしたアキラが、恥ずかしそうにこちらを見ながら言った。
ディーンが『BAR光る君』の扉を開けると、ヒカルママが開口一番、「おう、俺があげたプレゼントの礼に来たのか?」と声をかけた。
ディーンは肩をすくめながらカウンターに座り、「ジントニックを頼む」と注文した。
「おい、ドンペリを入れる約束だったろ?」とヒカルママが鋭くディーンを睨む。
「そんな約束した覚えはない。それに、お前、俺に対してだけオネエ言葉使わないのは何でだ?」
「あら、そんなことないわよ!でも、その様子だと、アタシのプレゼントが役に立ったみたいね?」
その言葉にディーンは顔を真っ赤にした。
ディーンの表情を読み取るた光輝は驚いて言った。
「おい…冗談のつもりで渡したのに、図星だったのか?」
「いや…光輝のプレゼントは使ってないんだ。けど、まぁいろいろあって…アレンと…その…結ばれたんだ」
ディーンのしどろもどろな告白に、ヒカルママは驚いた顔をした。
「災い転じて福となすってか!良かったな、お前!」
ヒカルママはディーンの前にジントニックを置き、自分のグラスを合わせて笑った。
「30年越しの恋に…乾杯!」
1時間後、ディーンはすっかり酔い、延々とアレンとの惚気話を語り続けていた。アケミとカオルは白い目でディーンを見ていた。
「最高なのはさ…いつも強気な俺様のアレンがさ、泣きながら可愛くなっちゃうのがもうたまらないんだよ!これがギャップ萌えってやつ?」
「ちょっと、そんな幸せなゲイカップルの性生活、聞きたくないんですけど~」
「しかもさ、俺たちの相性が最高でさ…もう運命だって気がするんだよな。あんな綺麗で可愛いアレンが俺ので、気持ちよくなってんだぜ?可愛すぎるだろ、もう。俺、止まらなくて3回も…」
「ママ、この人、もう強制退去させてー!」
「まぁまぁ、片思いが長かったみたいだから大目に見てあげましょ」
ヒカルママが肩をすくめて言い、BAR光る君の夜は更けていった。
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