不器用なおじさん達の恋の歌

LUNA

文字の大きさ
上 下
21 / 26
第一章

男は皆狼なんて冗談だと思ってた 2

しおりを挟む
アレンは身体に感じる違和感で目を覚ました。身体が火照って、熱があるのかもしれない…。身を起こそうとすると、腕が動かないことに気づいた。ガシャッという音がして、顔の上に伸ばされた手首を見ると、手錠でベッドサイドに拘束されていた。

「なんだ…これ…?」
アレンは血の気が引いた。すぐには状況を飲み込めなかった。昨日、谷垣の家に泊まり、カモミールティーを飲んでベッドでぐっすり眠ったはずだ。仕事の疲れで、すぐに眠りに落ちた記憶がある。
(寝てる間に何があった?ジュンはどこに?それに、この熱っぽさ…。頭がうまく働かない…。まさか…クスリを盛られたのか?)
アレンはこの感覚を知っていた。若い頃、ドラッグ中毒だった時に感じた、高揚感。
(エクスタシーか…)

その時、ドアが開く音がして、谷垣が入ってきた。
「レンカさん、目が覚めましたか?」
谷垣は落ち着いた様子で、ゆっくりとベッドに近づいてきた。
「おい…冗談だろ。今すぐこの手錠を外せよ。」
「どうしてです?これから楽しい時間が始まるというのに…あなたも興奮しているじゃないですか。」
「…俺にクスリを飲ませたな。」
谷垣はニヤリと笑い、アレンの上にのしかかって顔を近づけた。アレンの柔らかな金髪を撫でながら、うっとりとした表情を浮かべる。
「レンカさん…本当に美しい。初めて会ったときから、ずっとこの瞬間を待っていました…あなたを自分のものにする日を。」
「や…やめろっ…!」
アレンは全力で抵抗しようとしたが、手首を拘束されているため、身動きが取れなかった。
「…んっ…」
谷垣はアレンの顎に手をかけ、強引に口づけし、舌を絡ませてきた。ねっとりとしたキスで、長い時間をかけてアレンの口内を蹂躙していく。
嫌悪感を抱いているのに、身体は興奮してしまうのが悔しい。ようやく唇が離れると、アレンは荒い息をついた。
「あっ…はぁっ…やめろ…」
「かわいいですね、レンカさん。俺のキスで感じてくれているんだ。」
谷垣はうっとりとした目でアレンを見つめながら、シャツのボタンを外し始めた。

「はい、サンクリエイト株式会社です。柳沢でございますね?少々お待ちください。」
渋谷にある広告会社、サンクリエイトのオフィスで電話を受けた女性が営業部の柳沢を呼んだ。
「柳沢さん、ヒカルコーポレーションの荻原さんからお電話です。」
「ヒカルコーポレーション?そんな名前、覚えがないな…。わかった、代わるよ。」
柳沢は首をかしげながら電話を取った。

「柳沢さぁん、最近お店に来てくれなくて寂しいわぁ。ヒカルママでぇす。」
「げっ…ヒカル?!ちょ、ちょっとお待ちください。こちらから掛け直しますから!」
「逃げたら会社に直接押しかけるからな。1分以内に今から言う俺の携帯に電話しろ。」
光輝がドスの効いた声で脅すと、柳沢は慌てて顔色を変え、スマホを手に屋上に走った。

「困りますよ…会社に電話なんてされちゃ…」
「緊急事態だ。お前の後輩の谷垣の住所、知ってるか?」
「え?谷垣?あいつ今日は有給で会社には来てませんが、一度家に行ったことがあるんで住所はわかりますよ。」
「今すぐ教えろ。」

ディーンは光輝からの連絡を待ちながら、焦燥感で部屋の中を行ったり来たりしていた。光輝は谷垣の会社の先輩、柳沢という男に連絡を取って住所を調べると言っていたのだ。
その時、テーブルの上のスマホが振動した。ワンコールで電話に出ると、やはり光輝だった。
「谷垣の住所がわかったぞ。高田馬場だ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハルとアキ

花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』 双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。 しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!? 「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。 だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。 〝俺〟を愛してーー どうか気づいて。お願い、気づかないで」 ---------------------------------------- 【目次】 ・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉 ・各キャラクターの今後について ・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉 ・リクエスト編 ・番外編 ・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉 ・番外編 ---------------------------------------- *表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) * ※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。 ※心理描写を大切に書いてます。 ※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

龍神様の神使

石動なつめ
BL
顔にある花の痣のせいで、忌み子として疎まれて育った雪花は、ある日父から龍神の生贄となるように命じられる。 しかし当の龍神は雪花を喰らおうとせず「うちで働け」と連れ帰ってくれる事となった。 そこで雪花は彼の神使である蛇の妖・立待と出会う。彼から優しく接される内に雪花の心の傷は癒えて行き、お互いにだんだんと惹かれ合うのだが――。 ※少々際どいかな、という内容・描写のある話につきましては、タイトルに「*」をつけております。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

BL短編まとめ(甘い話多め)

白井由貴
BL
BLの短編詰め合わせです。 主に10000文字前後のお話が多いです。 性的描写がないものもあればがっつりあるものもあります。 性的描写のある話につきましては、各話「あらすじ」をご覧ください。 (※性的描写のないものは各話上部に書いています) もしかすると続きを書くお話もあるかもしれません。 その場合、あまりにも長くなってしまいそうな時は別作品として分離する可能性がありますので、その点ご留意いただければと思います。 【不定期更新】 ※性的描写を含む話には「※」がついています。 ※投稿日時が前後する場合もあります。 ※一部の話のみムーンライトノベルズ様にも掲載しています。 ■追記 R6.02.22 話が多くなってきたので、タイトル別にしました。タイトル横に「※」があるものは性的描写が含まれるお話です。(性的描写が含まれる話にもこれまで通り「※」がつきます) 誤字脱字がありましたらご報告頂けると助かります。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

処理中です...