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第一章
二つの愛の間で 4
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次の日は日曜日。アレンにとっては、ゆっくり休める日だ。長い一日を終え、メイクを落とし、着替えを済ませたアレンは、光輝に挨拶をして店を後にした。空がうっすらと明るくなり始めた早朝の繁華街を歩いていると、突然、物陰から誰かがアレンの前に飛び出してきた。
「ぎゃあっ!」
アレンは驚いて叫んだ。その人物は、1時間ほど前に店を出たはずの谷垣だった。
「驚かせてすみません…レンカさん。たくさん人がいるところでは話しかけにくくて…。よかったら、連絡先を教えていただけませんか?」
谷垣は、おずおずと携帯を差し出した。
「あ、ああ、いいよ…別に。」
アレンはためらいながらも、谷垣のスマホに自分の連絡先を入力して返した。
「レンカさんって、普段はそんな感じなんですね…。店とは全然雰囲気が違って…」
谷垣は、男姿のアレンを嬉しそうに見つめ、頬を赤らめながら呟いた。
「…可愛いです。」
その言葉に、アレンは少しげんなりした。
「あーのーなぁ、言っとくけど俺、アンタより多分ずっと年上だぞ?それに、俺はオカマじゃねぇし、可愛いって言われても嬉しくねぇよ。マーティンの言った通り、俺に幻想抱くのは店の中だけにしとけよ。」
どれだけ谷垣に伝わったか分からなかったが、アレンは普段の調子で、英語で話した。しかし谷垣は、アレンの話を聞きながらも、笑顔でまるで別のことを口にした。
「あの、俺、レンカさんの日本語の先生になります。だから、メールで日本語を練習しましょうね。わからないことがあったら、生活も不便でしょうし。」
「まぁ…それはありがたいけど…。」
「じゃあ、また。」
谷垣は名残惜しそうに手を振り、駅の方へと去って行った。
「ぎゃあっ!」
アレンは驚いて叫んだ。その人物は、1時間ほど前に店を出たはずの谷垣だった。
「驚かせてすみません…レンカさん。たくさん人がいるところでは話しかけにくくて…。よかったら、連絡先を教えていただけませんか?」
谷垣は、おずおずと携帯を差し出した。
「あ、ああ、いいよ…別に。」
アレンはためらいながらも、谷垣のスマホに自分の連絡先を入力して返した。
「レンカさんって、普段はそんな感じなんですね…。店とは全然雰囲気が違って…」
谷垣は、男姿のアレンを嬉しそうに見つめ、頬を赤らめながら呟いた。
「…可愛いです。」
その言葉に、アレンは少しげんなりした。
「あーのーなぁ、言っとくけど俺、アンタより多分ずっと年上だぞ?それに、俺はオカマじゃねぇし、可愛いって言われても嬉しくねぇよ。マーティンの言った通り、俺に幻想抱くのは店の中だけにしとけよ。」
どれだけ谷垣に伝わったか分からなかったが、アレンは普段の調子で、英語で話した。しかし谷垣は、アレンの話を聞きながらも、笑顔でまるで別のことを口にした。
「あの、俺、レンカさんの日本語の先生になります。だから、メールで日本語を練習しましょうね。わからないことがあったら、生活も不便でしょうし。」
「まぁ…それはありがたいけど…。」
「じゃあ、また。」
谷垣は名残惜しそうに手を振り、駅の方へと去って行った。
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