70 / 113
35-2 恐怖
しおりを挟む
「い、嫌だ!! やめろ!!」
「ハハ、大丈夫だって、ここは緩々なんだろ? すぐに気持ち良くなる」
そう言いながら俺の尻をワシッと掴んだ。ギリッと爪を立てられ痛みが走る。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!
背中を踏み付けていた足を払いのけ、身体を翻し思い切り男の腹を蹴った。しかし、その脚を掴まれ、もう片方の足で蹴りを入れようとするも、その足首もまた掴まれる。必死に逃れようと脚をばたつかせるが、両脚を抱えられ、さらには腕までも上部へと抑えつけられ身動きが取れなくなった。
上半身を起こされ、再び後ろ手に縛り上げられる。下着までも剥ぎ取られ、脚は強引に押し広げられた。
「ハハ、可愛らしいモノ付けてんじゃないか」
ふたりがかりで両脚を広げられ、そして俺の下半身へと手が伸びる。必死に暴れるが先程蹴られた頬を再び殴られ、ぐらりと床に倒れ込んでしまう。
「やめろ!! 嫌だ!!!!」
泣き叫ぶが男たちは俺の腰を抑え付けニヤニヤと笑うだけだ。そして、俺の上着を強引に開いたせいでシャツのボタンが飛び破れる。露わになった胸には誓約の証。ドクンと心臓が跳ねる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!! ジウシード……
「ジウシードォォ!!!!」
涙でぐしゃぐしゃになりながら叫んだ。あぁ、俺はこんなところでジウシードを裏切って死ぬのか? こんな男たちに抱かれて死ぬのか? 嫌だ……嫌だ……ジウシード……。
そのときバンッ!! と、扉が強引に開かれた音がした。その瞬間、俺の脚を押し広げ、下半身に触れようとしていた男たちが勢い良く横に吹っ飛んだ。
「!?」
涙で滲む目を必死に凝らす間に、ドダッ!! ドガッ!! と音が鳴り響き、男たちの怒声が響き……そして静かになった。
「兄貴!!!!」
「リョ、リョウ?」
扉から差し込む光で逆光になり、すぐさま顔を認識出来なかったが、声ですぐに分かる。俺の家族。間違うはずがない、弟のリョウ。
リョウは自身の着ていたジャケットを脱ぎ、俺の下半身へと掛けてくれた。そして俺を抱き起しグッと抱き締める。その身体は少し震えているようだった。
「兄貴……ごめん、見付けるのが遅くなって……間に合って良かったけど……こんな……くそっ……くそっ……」
ぎゅうっと手に力が籠るのが分かった。痛いくらいに強く抱き締められる。あぁ、めちゃくちゃ心配をかけてしまった。
「リョウ……助けに来てくれてありがと……だ、大丈夫だ……まだなにもされてない……される前に助けてくれてありがとな」
「なにもされてないことないだろ!!!! こ、こんな……」
ガバッと身体を離し、俺の顔を真っ直ぐに見詰めたリョウの目は涙で滲んでいた。
「いやまあ、剥き出しにはされたけど……掴まれるのもなんとか阻止出来たし……、ア、ハハ……」
「それだけじゃない……顔も腫れてる」
あぁ、蹴られた上に殴られたやつか……。今まで必死過ぎて忘れていたが、ホッとした瞬間、痛みを感じるようになってきてしまった。ズキズキと疼く頬。それに手や男たちに掴まれた腕や脚も痛い……。
「アキラ様……本当にご無事でよかったです……いえ、無事だとは言えませんかね……」
リョウの背後から聞こえた声はラウルだった。ラウルは後ろ手に縛られた縄を切ってくれ、そして毛布を掛けてくれた。
「こんな男たちが大事なアキラ様を泣かせるなんて許せませんね……この男たちは厳重に処罰致しますので」
氷のように超絶冷たい表情のラウルは、床に伸びている男たちを汚いものでも見るような目で見下ろし、そして外に待機していた騎士たちに指示を出していた。
「そ、そういえばジウシードは?」
扉が開いた瞬間、正直なところジウシードが来てくれたのかと思った。そんなドラマじゃあるまいし、都合良く好きな相手が助けてくれるとかないよな……乙女過ぎな発想に自身で恥ずかしくなった。
すると、リョウとラウルは顔を見合わせ、真剣な顔をこちらに向けた。
「アキラ様……ジウシード様を止めてください」
「え?」
「ハハ、大丈夫だって、ここは緩々なんだろ? すぐに気持ち良くなる」
そう言いながら俺の尻をワシッと掴んだ。ギリッと爪を立てられ痛みが走る。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!
背中を踏み付けていた足を払いのけ、身体を翻し思い切り男の腹を蹴った。しかし、その脚を掴まれ、もう片方の足で蹴りを入れようとするも、その足首もまた掴まれる。必死に逃れようと脚をばたつかせるが、両脚を抱えられ、さらには腕までも上部へと抑えつけられ身動きが取れなくなった。
上半身を起こされ、再び後ろ手に縛り上げられる。下着までも剥ぎ取られ、脚は強引に押し広げられた。
「ハハ、可愛らしいモノ付けてんじゃないか」
ふたりがかりで両脚を広げられ、そして俺の下半身へと手が伸びる。必死に暴れるが先程蹴られた頬を再び殴られ、ぐらりと床に倒れ込んでしまう。
「やめろ!! 嫌だ!!!!」
泣き叫ぶが男たちは俺の腰を抑え付けニヤニヤと笑うだけだ。そして、俺の上着を強引に開いたせいでシャツのボタンが飛び破れる。露わになった胸には誓約の証。ドクンと心臓が跳ねる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!! ジウシード……
「ジウシードォォ!!!!」
涙でぐしゃぐしゃになりながら叫んだ。あぁ、俺はこんなところでジウシードを裏切って死ぬのか? こんな男たちに抱かれて死ぬのか? 嫌だ……嫌だ……ジウシード……。
そのときバンッ!! と、扉が強引に開かれた音がした。その瞬間、俺の脚を押し広げ、下半身に触れようとしていた男たちが勢い良く横に吹っ飛んだ。
「!?」
涙で滲む目を必死に凝らす間に、ドダッ!! ドガッ!! と音が鳴り響き、男たちの怒声が響き……そして静かになった。
「兄貴!!!!」
「リョ、リョウ?」
扉から差し込む光で逆光になり、すぐさま顔を認識出来なかったが、声ですぐに分かる。俺の家族。間違うはずがない、弟のリョウ。
リョウは自身の着ていたジャケットを脱ぎ、俺の下半身へと掛けてくれた。そして俺を抱き起しグッと抱き締める。その身体は少し震えているようだった。
「兄貴……ごめん、見付けるのが遅くなって……間に合って良かったけど……こんな……くそっ……くそっ……」
ぎゅうっと手に力が籠るのが分かった。痛いくらいに強く抱き締められる。あぁ、めちゃくちゃ心配をかけてしまった。
「リョウ……助けに来てくれてありがと……だ、大丈夫だ……まだなにもされてない……される前に助けてくれてありがとな」
「なにもされてないことないだろ!!!! こ、こんな……」
ガバッと身体を離し、俺の顔を真っ直ぐに見詰めたリョウの目は涙で滲んでいた。
「いやまあ、剥き出しにはされたけど……掴まれるのもなんとか阻止出来たし……、ア、ハハ……」
「それだけじゃない……顔も腫れてる」
あぁ、蹴られた上に殴られたやつか……。今まで必死過ぎて忘れていたが、ホッとした瞬間、痛みを感じるようになってきてしまった。ズキズキと疼く頬。それに手や男たちに掴まれた腕や脚も痛い……。
「アキラ様……本当にご無事でよかったです……いえ、無事だとは言えませんかね……」
リョウの背後から聞こえた声はラウルだった。ラウルは後ろ手に縛られた縄を切ってくれ、そして毛布を掛けてくれた。
「こんな男たちが大事なアキラ様を泣かせるなんて許せませんね……この男たちは厳重に処罰致しますので」
氷のように超絶冷たい表情のラウルは、床に伸びている男たちを汚いものでも見るような目で見下ろし、そして外に待機していた騎士たちに指示を出していた。
「そ、そういえばジウシードは?」
扉が開いた瞬間、正直なところジウシードが来てくれたのかと思った。そんなドラマじゃあるまいし、都合良く好きな相手が助けてくれるとかないよな……乙女過ぎな発想に自身で恥ずかしくなった。
すると、リョウとラウルは顔を見合わせ、真剣な顔をこちらに向けた。
「アキラ様……ジウシード様を止めてください」
「え?」
52
お気に入りに追加
242
あなたにおすすめの小説
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話
藍
BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。
ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)
てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。
言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち―――
大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡)
20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!
いつの間にか後輩に外堀を埋められていました
雪
BL
2×××年。同性婚が認められて10年が経った現在。
後輩からいきなりプロポーズをされて....?
あれ、俺たち付き合ってなかったよね?
わんこ(を装った狼)イケメン×お人よし無自覚美人
続編更新中!
結婚して五年後のお話です。
妊娠、出産、育児。たくさん悩んでぶつかって、成長していく様子を見届けていただけたらと思います!
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
好きだから手放したら捕まった
鳴海
BL
隣に住む幼馴染である子爵子息とは6才の頃から婚約関係にあった伯爵子息エミリオン。お互いがお互いを大好きで、心から思い合っている二人だったが、ある日、エミリオンは自分たちの婚約が正式に成されておらず、口約束にすぎないものでしかないことを父親に知らされる。そして、身分差を理由に、見せかけだけでしかなかった婚約を完全に解消するよう命じられてしまう。
※異性、同性関わらず婚姻も出産もできる世界観です。
※毎週日曜日の21:00に投稿予約済
本編5話+おまけ1話 全6話
本編最終話とおまけは同時投稿します。
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる