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31-1 日本との共通点
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お披露目の日以降、ジウシードは明らかに口数が減り、俺を抱くこともなかった。しかし、それは今きっと自分自身に向き合って考えているんだろうな、と思えた。辛そうな表情や無表情ではなく、真剣になにかを考えていそうな表情だったから。
だから俺は敢えて自分からは声を掛けないようにした。抱かれないことに若干寂しくなってしまったのは内緒だ……いや、うん、ね。
ジウシードは頭を整理するためなのか、騎士の訓練に混ざって剣を振ったり、なぜか料理をしに厨房へ行ったり……厨房の料理人たちが驚愕の顔をしていた……アハハ……。
どうやら俺の家で料理をしていたのが楽しかったのか、無心でなにかを行い頭をリセットさせたいのか、黙々と一心不乱に料理をしていた。
剣を振る姿はさすが異世界ぽいなぁ、と感心し、ジウシードの格好良さに惚れ惚れしていたのだが、料理はさすがに周りの反応が大きすぎて、俺は苦笑するしかなかった。
しかも、ジウシードの作る料理がまた旨いもんだから、料理人たちが若干悔しそうな顔をしていて笑ってしまった。それでもジウシードは自分の考えることに集中しているのか、料理人の反応に気付いてなさそうだったが……。
そして、俺はそんなジウシードの姿を見守りつつも、リョウと話をするためにリョウたちが過ごしている部屋へと向かった。
ラウルに弟と話したいとお願いし案内してもらう。王城のなか、さらにはリョウと一緒だということで、ラウルは同席せず二人きりで話すことを許された。
「ジェイク、お前も出ていけ」
「はぁ!? なんだと!? なんで俺が……」
そう声を張り上げようとしていたジェイクの肩をポンと掴んだリョウは、なにかを耳打ちした。すると、ジェイクはガバッとリョウに振り向き、またしても真っ赤な顔になり眉間に皺を寄せ怒鳴る。
「お、お前はっ!!」
「なんだ? 良いのか?」
「く、くそっ!」
ギリギリと歯軋りが聞こえてきそうな程、歯を食いしばりなにやら悔しそうな顔のジェイク。そして、ドカドカと足音を響かせながら扉へと向かった。扉の前で立ち止まると、ぐりんとこちらに振り向き、なぜかビシッと俺を指差す。
「おい! アキラ!! 弟の面倒くらいしっかりみろ!! 性格歪んでるぞ、こいつ!!」
「え?」
そう叫ばれ、赤い顔のままジェイクは扉を激しく叩きつけるように閉じ去って行った。
「な、なんなんだよ」
唖然としていると、リョウは笑いながら俺を促した。
「ハハ、気にするな。あいつは馬鹿だから」
性格歪んでるとまで言われながらも、なんだか楽しそうなリョウ。ジェイクのことを馬鹿だと言いつつ、なんだかんだ気に入ってそうだなぁ、とクスッと笑った。
「なに笑ってんの?」
「え、い、いや、なんでも」
クスッと笑ったことに気付かれ、じとっと見詰められてしまい焦る。なんだかんだ馬鹿な子ほど可愛い、じゃないが、リョウはジェイクのことがちゃんと好きなんだな、と分かって嬉しくなった……とは言えない……。そんなことを言おうものなら、おそらく倍返しで俺とジウシードのことを弄られるはず! こいつは頭がやたらキレるからこういうとき怖いんだよ! だからなにもなかったことに……相変わらずじとっと見詰められているが……。
「ま、いいや。とりあえず座れよ」
「うん」
そう促され椅子に座り、対面にリョウも座る。側近が用意してくれていたお茶と茶菓子がテーブルに並んでいる。
部屋自体は俺たちの部屋と左程変わることはない。間取りが少し違うか? といったくらいだった。テーブルや椅子などの調度品は少し色合いが違ったり、種類が違ったりとはしていたが、上品にまとめられているのは同じだった。
お互いお茶を一口飲みつつ、話し出す。
だから俺は敢えて自分からは声を掛けないようにした。抱かれないことに若干寂しくなってしまったのは内緒だ……いや、うん、ね。
ジウシードは頭を整理するためなのか、騎士の訓練に混ざって剣を振ったり、なぜか料理をしに厨房へ行ったり……厨房の料理人たちが驚愕の顔をしていた……アハハ……。
どうやら俺の家で料理をしていたのが楽しかったのか、無心でなにかを行い頭をリセットさせたいのか、黙々と一心不乱に料理をしていた。
剣を振る姿はさすが異世界ぽいなぁ、と感心し、ジウシードの格好良さに惚れ惚れしていたのだが、料理はさすがに周りの反応が大きすぎて、俺は苦笑するしかなかった。
しかも、ジウシードの作る料理がまた旨いもんだから、料理人たちが若干悔しそうな顔をしていて笑ってしまった。それでもジウシードは自分の考えることに集中しているのか、料理人の反応に気付いてなさそうだったが……。
そして、俺はそんなジウシードの姿を見守りつつも、リョウと話をするためにリョウたちが過ごしている部屋へと向かった。
ラウルに弟と話したいとお願いし案内してもらう。王城のなか、さらにはリョウと一緒だということで、ラウルは同席せず二人きりで話すことを許された。
「ジェイク、お前も出ていけ」
「はぁ!? なんだと!? なんで俺が……」
そう声を張り上げようとしていたジェイクの肩をポンと掴んだリョウは、なにかを耳打ちした。すると、ジェイクはガバッとリョウに振り向き、またしても真っ赤な顔になり眉間に皺を寄せ怒鳴る。
「お、お前はっ!!」
「なんだ? 良いのか?」
「く、くそっ!」
ギリギリと歯軋りが聞こえてきそうな程、歯を食いしばりなにやら悔しそうな顔のジェイク。そして、ドカドカと足音を響かせながら扉へと向かった。扉の前で立ち止まると、ぐりんとこちらに振り向き、なぜかビシッと俺を指差す。
「おい! アキラ!! 弟の面倒くらいしっかりみろ!! 性格歪んでるぞ、こいつ!!」
「え?」
そう叫ばれ、赤い顔のままジェイクは扉を激しく叩きつけるように閉じ去って行った。
「な、なんなんだよ」
唖然としていると、リョウは笑いながら俺を促した。
「ハハ、気にするな。あいつは馬鹿だから」
性格歪んでるとまで言われながらも、なんだか楽しそうなリョウ。ジェイクのことを馬鹿だと言いつつ、なんだかんだ気に入ってそうだなぁ、とクスッと笑った。
「なに笑ってんの?」
「え、い、いや、なんでも」
クスッと笑ったことに気付かれ、じとっと見詰められてしまい焦る。なんだかんだ馬鹿な子ほど可愛い、じゃないが、リョウはジェイクのことがちゃんと好きなんだな、と分かって嬉しくなった……とは言えない……。そんなことを言おうものなら、おそらく倍返しで俺とジウシードのことを弄られるはず! こいつは頭がやたらキレるからこういうとき怖いんだよ! だからなにもなかったことに……相変わらずじとっと見詰められているが……。
「ま、いいや。とりあえず座れよ」
「うん」
そう促され椅子に座り、対面にリョウも座る。側近が用意してくれていたお茶と茶菓子がテーブルに並んでいる。
部屋自体は俺たちの部屋と左程変わることはない。間取りが少し違うか? といったくらいだった。テーブルや椅子などの調度品は少し色合いが違ったり、種類が違ったりとはしていたが、上品にまとめられているのは同じだった。
お互いお茶を一口飲みつつ、話し出す。
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