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26-1 三領主と伴侶たち
しおりを挟む「じゃあ、言い出しっぺの俺からな。ウェジエ・ナダスバウド。ナダスバウド領主で年は二十五。領主の二人とは幼馴染みたいなもんだな。幼い頃から領地対抗試合とか会う機会も多かったし」
「領地対抗試合?」
ジウシードをチラリと見ると頷く。
「剣技や武術、魔法などを競い合う大会だな」
「へー、そんなのがあるのか」
「うん。だから領主候補になる人選で対抗試合が行われたりしている。勝敗はまあ五分五分だけどね」
ウェジエがハハッと笑いながら言った。もう一人の領主らしき男が不機嫌そうな顔で「ちっ」と舌打ちをしていたが……ハハ。
「で、こっちは俺の伴侶、フェシス・ベルモット。二十七だ。俺たちは幼馴染でもあり俺の側近でもあったから、まあ…………それなりに早めに帰還したな」
なにやら言い淀んだが、ま、まあ恐らく色々あるよな。うん。
緑色の短髪に金色の瞳をした優し気な爽やかイケメン。背中にヒマワリでも背負ってそうだな。これまた高身長。異世界人、デカい奴が多過ぎる。
そしてウェジエが紹介したフェシス・ベルモット。先程から一言も発さないが、青紫色の髪に銀色の瞳。さらさらとした綺麗な長髪に、中性的で冷静沈着そうな表情に銀縁の眼鏡がよく似合っている。こっちはユリでも背負ってそう……、ってなにアホなことを考えてんだ。
フェシスも俺よりは背が高いが、他の奴らがデカすぎて、小さく見えるな……。
「フェシス・ベルモットです。私はウェジエの幼馴染でもありますが、側近としても幼い頃から仕えておりますので、そちらのお二方とも幼馴染のようなものですね」
フェシスはジウシードともう一人の男を見ながら言った。そしてその視線の先、先程舌打ちをしていたひと際デカい男が腕を組みながらニッと笑った。
「ジェイク・アヴァルガン、アヴァルガン領主、二十八だ。俺の伴侶は……まさかのそっちと兄弟とは思わなかったが、西嶺凌、二十六」
アハハ……俺も驚いた……。
ジェイクは青色の短髪に金色の瞳。浅黒い肌が健康的でジウシードのダビデ像よりさらにマッチョそうだ……着ている服は正装で王子様的な服装だが王子様には見えんな。服を着ていようが分かる筋肉質な身体。王子様服よりも鎧とかのほうが似合いそうだ。
先程のウェジエもそうだが、ジェイクもジウシードも自身の髪色に合わせた服の色だな。黒を基調としているが、所々にアクセントで入っている色が髪色と同じだ。
ジェイクはイケメンではあるが、ツンツン頭と、切れ長で少し釣り上がった目のせいか、なんか雰囲気はヤ〇ザの若頭みたいな……いや、怒られるか。そしてこれまたデカい……ジウシードよりもさらにデカい……。あまり近付きたくないな……怖いわ。
「リョウ・ニシミネ。こちらの世界から言うと異世界から連れて来られた。まさか兄弟でこんなことになってるとは思わなかったけど」
そう言って俺と目を合わせたリョウは苦笑した。俺もそれに釣られるように苦笑する。
それにしてもリョウも俺より背が高いのに、ジェイクと並んでいると小さく見えるな……。しっかし、イケメンだらけのなかにいるのに、リョウも負けていない。スゲーな俺の弟。派手な色合いのイケメンが濃いからか、サラサラの黒髪に黒目で涼し気な顔がなんか神秘的に見えてくる。
それに比べて俺は……な、なんか居た堪れない……年もひとりだけめちゃ年上だし……。ジウシードに申し訳なくなってきた……。
案の定、俺の年を聞いてウェジエとジェイクとフェシスは驚いた顔をしていた……。
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