上 下
13 / 113

7-1 しょんぼりワンコ

しおりを挟む
 シャワーと風呂の使い方を教えた後、俺は疲れ切った身体を早く休めたいから、と先に風呂へと入った。しかーし!! なぜかジウシードも一緒に入って来やがった!! おぃぃい!!

「おいこら!! なんで一緒に入って来る!! 出ていけ!!」

 扉の取っ手をお互いが引っ張り合い、格闘するも、まあ勝てる訳がないよな。あのダビデ像だぞ? 綺麗に引き締まった筋肉が美しいですね! ってそんなことどうでもいいわ!!

 またしてもジウシードの全裸を見ることになった俺は、自身の全裸も見られることになる訳で……。こんなダビデ像と比べられたくねー……とか思っていたが、それよりも……

「おぃぃいいい!!!! な、なんでまた勃ってんだよ!!!?」

 ジウシードの中心ではすでにガンガンにそそり立ったモノが歩くたびに主張している。

「生理現象だ」
「いや、意味分からんわ!!!!」

 生理現象ごときでいちいち勃ってたら、世の中の男、常に股間にテントじゃねーか!! 変質者で捕まるわ!!

「よ、寄るな……」

 狭い風呂では逃げ場がない。ワンルームの家の風呂場などよりは余程広いだろうが、所詮風呂だ。湯船と洗い場があるだけだ。逃げられるはずもない。じりじりと後退ろうが、背後には湯船があるだけだ。

 しかし、ジウシードは眉を下げながら寂しそうに言った。

「お前が許さない限り、無理矢理結ばれようなどとは思わないから心配するな。ただ、一緒にいたかっただけだ」
「…………」

 な、なんだか可哀想に思ってしまったじゃないか。お、俺が悪いのか? い、いや、でもなぁ、そんな簡単に受け入れられるもんでもないんだから、仕方ないよな……。

 なんだかしょんぼりワンコを虐めているような気分になるのはなぜだ。く、くそぅ、なんだか急にいじらしくしやがって……ほ、絆されねー……こんなことで俺は絆されないからな!!

「これから俺を知って行って欲しい」

 ドキューン!! って、ちっがーう!! ドキッとなんてしていない!! 気のせいだ!! きっと……うん。

「俺が洗ってやろう」

 ズイッと近付いて来て、さも良いことを言ったみたいな顔のジウシード。

「は!? いい!! いらん!!」

 そんなことされてみろ……嫌な予感しかない!! シュンとするジウシードにうぐぐ、となるが、いやしかし、ここで流されては駄目だ!!

 なんとか身体を洗われるという行為から逃げ切り、そそくさと自分で身体を洗う間……視線が鬱陶しい……。なんかやたら見られているような……。

 掛け湯をさせ、先に湯船に浸からせたジウシードは俺の洗う姿を舐めるように上から下まで見ている気がする……。その視線がやたら熱っぽくぞわぞわする。なにもされていないのに、なぜか心がすり減る……こいつ、目だけで犯せそうだな……。

 ジウシードの視線にぞわぞわと下半身が疼きそうになり焦る。ち、違う! 勘違い! やたら見られて緊張してるだけ! 緊張して勃起もどうかと思うが……。

 ササッと洗い終え、ジウシードと交代する。

「お前も洗え」

 素直に従うジウシードはザバッと湯船から立ち上がると見事な均整の取れた美しい筋肉。中心にはガンガンにそそり立ったままのアレ……おい。

「これはどう使うのだ?」
「ん? あぁ、それは……」

 シャンプーやらリンスやらの説明をしようと身を乗り出し、手を伸ばすといきなり手首を掴まれグイッと引っ張られる。

「うわっ!!」

 立ち上がり湯船から片足を踏み出してしまい、そのまま引っ張られジウシードの胸にスッポリ……弾力のある見事な胸筋にガッシリ支えられキュン……じゃなく!!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい

雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。 延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。

初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…? タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。 歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)

てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。 言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち――― 大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡) 20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

【完結】足手まといの俺が「史上最強パーティを離脱したい」と言い出したら、なぜか国の至宝と呼ばれる剣聖とその親友の大魔道士に囲い込まれる話

.mizutama.
BL
※完結しました!ありがとうございます! 「もう潮時だろう? いい加減に目を覚ませ! お前はあの二人に遊ばれているだけなんだ!」  勇敢な冒険者を目指すティト・アスティは、魔法学園の下男として働きながら、いつか難攻不落と言われる国内最大のダンジョン攻略の旅に出ることを夢見ていた。  そんなある日、魔法学園の最上級生で国の至宝とよばれる最強の魔剣士・ファビオが、その親友の魔導士・オルランドとともに、ダンジョン攻略のための旅に出るための仲間の選定を行うことになった。  皆が固唾を飲んで見守る中、どんなめぐりあわせかそこにたまたま居合わせただけのティトが、ファビオにパーティのメンバーとして指名されてしまった。    半ば強引にパーティに引き入れられ冒険の旅へ出る羽目になったティトだったが、行く先々での嘲笑や嫉妬、嫌がらせ、そして己の力のなさに絶望し、ついにはファビオとオルランドにパーティ離脱を申し出る。  ――だが、ファビオとオルランドの反応は、ティトの予想だにしなかったものだった……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ タイトルそのまま。ありがちな設定と展開。タイプの違う美形攻め二人×鈍感庶民受け 溺愛系を目指しています! ※注1 一対一嗜好の方には激しくオススメできない内容です!! ※注2 作者は基本的に総受け・総愛されを好む人間です。固定カプにこだわりがある方には不向きです。 作者の歪んだ嗜好そのままに書かれる物語です。ご理解の上、閲覧ください。 複数攻め・総受けが好きな人のために書きました! 同じ嗜好の人を求めています!!

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

処理中です...