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3-1 運命の相手
しおりを挟む「俺はアルヴェスタという王国の人間だ。おそらくアキラから見た異世界、こことは違う次元の世界、そこにある国から魔法陣の転移でやって来た」
ジウシードは順を追って説明し出す。
ジウシードの住む世界、アルヴェスタ王国は三つの領地から成り立っているらしい。
「俺が治めるラルストン、それからアヴァルガンとナダスバウド。それらの領主の祖先である初代領主が三人で力を合わせ、戦い、そしてアルヴェスタを建国したと言われていてな。その三人が国を作るときに、誰が国王になるか揉めたらしいのだ」
「揉めた……」
「で、喧嘩になった」
「は?」
なんだ、喧嘩って。子供の喧嘩か? 国を作るのに?
ジウシードも同様に思っているのか、苦笑しつつ溜め息を吐いた。
「そして喧嘩になり、三人で争い、収拾が付かなくなったことで、三人は偉大なる魔導師に助言を求めた」
「はあ」
間抜けな返答しか出なかった。
「魔導師は三人のうち誰がふさわしいか、試練を与えそれを乗り越えた者が王となるのはどうだろう、と提案した。それが今現在にも続いている」
「へぇ」
真っ直ぐこちらを見ているジウシード。ん? 続きは?
「で?」
「? で? とは?」
「は? え? それで終わり?」
俺の理解能力の問題ではないはず! 全く意味が分からん。
「その祖先三人のうち、誰が王になるかで揉めたんだよな?」
「あぁ」
「で、誰がふさわしいかの試練がある、と。そしてそれが今現在にも続いている」
「そうだ」
「で?」
「? だから、で? とは?」
キョトンとするジウシード。噛み合わねーな! 俺が可笑しいのか!? い、いや、そんなことはないはず! きっと誰でも理解不能なはずだ!
「いやだから! で、その試練がなんなんだよ! それが俺にキ、キスしたこととなんの関係が!?」
ジウシードが領主だということは、その国王になるための試練を受けている最中ということか? だからといって俺にキスする意味は分からんし!!
「お前が俺の運命の相手だからだ」
「最初に戻っただけ!! それ、もう何度も聞いたから!!」
「俺たち領主は次期国王選定の儀で運命の相手を見付ける」
「は?」
ジウシードはじりっと俺ににじり寄る。そして熱い眼差しを向けた。俺はそれにビビり、ソファの端から落ちる勢いで腰が引けた。
「次期国王選定の儀は運命の相手を見付けるところから始まる。専用魔法陣がその人間の運命の相手の居場所まで俺たち領主を運ぶんだ。そしてその相手と結ばれたなら、再び魔法陣が現れ、無事帰還出来る仕組みになっている」
「…………」
な、なんだか聞き捨てならない言葉があったような……。
「結ばれたなら……? そ、それはどういう風に……」
嫌な予感しかしないが一応聞いてみる……。
「心もだが、もちろん肉体的に、だ」
「!?」
声にならない声が響き渡ったことは言うまでもない。
「はぁぁぁああ!? い、意味分からんわ!! に、肉体的に、って……俺は男だぞ!?」
「? 男同士でも問題ない。まあ、俺もアキラを見た瞬間は驚いたが、しかし、運命の相手へと導かれるのだ。間違いはないはずだ」
問題ないんですか……って、いや、俺を見た瞬間驚いたとか言ってんじゃん!! 普通驚くよな!! うん、可笑しいだろ!! 男同士で運命の相手とか!!
「き、きっと間違いだろ。男同士なんてありえないし、ハハ」
「いや、間違いない。魔法陣が失敗するなど聞いたことはないからな。そもそも男同士だとなにか問題あるか?」
「い、いやいやいや!! 問題ありまくりだろ!! に、肉体的に結ばれるって!!」
「ここがあるじゃないか」
そう言ってジウシードは俺に手を伸ばしたかと思うと、尻の辺りをさわっと撫でた。ぞわぁぁぁああ!!
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