2 / 120
1-2 落ちて来たイケメン
しおりを挟む
天井になにやらぼんやりと光が見える、と思ったそれは、次第に形をハッキリとさせていき、なんだあれ? 寝惚けてるのか? と、目を擦り再び見たときには、紫色に光る魔法陣となっていた。
「は?」
漫画やアニメでよく見る魔法陣。それが俺の部屋の天井に貼り付いている。
なんだこりゃ、と見上げたまま上半身を起こし近付いてみようとした瞬間、その魔法陣からなにかがにゅっと突き出して来た。
「!?」
その瞬間なにやらぞわりとするが、それよりもその突き出してきたものに釘付けとなった。
黒いものがにゅうっと突き出して来たかと思うと、それはするんと一気に落ちてきた。
まるでウン……いや、その想像はどうなのよ。
そんなアホなことを考えている間にそれはドサッと俺の腹の上に落ちて来た。
「ぐえぇぇっ!!」
腹の上に落ちて来たものは想像以上にデカイ物体だった。し、死ぬ……。
いきなり巨大なものが腹の上に落ち、さっき食べた夕食やらビールやらがリバースするかと思ったわ!!
一瞬意識が飛びかけ、吐きそうになるのを必死に耐え、目の前に現れた物体を見る。
咄嗟に予期せぬ出来事が起こると、人間思考が停止するんだな。恐怖すらなく、ただ「無」だった。
固まったまま自分の上に乗る「それ」を見ていると、それはもぞもぞと動き出した。
ひぃぃぃいい!! う、動いた!? な、なんなんだ!?
こんな巨大なものが動き出すとか恐怖しかないわ! 一気に思考が動き出し、一瞬にして恐怖で身体が強張る。
動き出したそれはもぞもぞと俺の身体を探るようになにかを這わせる。さわさわとなにかに撫でられるかのような感覚にぞわりと鳥肌が立つ。
ギシッと身体が強張り、息を潜め、ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
視線だけを自身の腹へと目を向けると、なにやら黒い塊かと思っていたそれは、布?
黒いビラビラとした布がこんもりとなり俺の上に。なんだこれ?
そしてその塊がむくりと盛り上がったかと思うと、黒い小山の上には赤い色の……ん?
少しうねりのある赤いそれは、なにやら人の髪の毛のような? え?
その赤い物体はキョロキョロと周りを確認するかのように左右に動くと、その反動のまま振り向いた。
物体が振り向くとか、おかしい発言だが、いや、振り向いたんだよ。
なんせそこにはこの世の、というか、俺は今までお目にかかったことのないほどの、超絶美形の顔が乗っかっていた。精悍な顔付きのキリリとした赤髪の男。金色のキラキラと輝く瞳に整い過ぎなくらいの造形。
「え?」
な、なに? どういうこと? 天井の魔法陣からイケメン降って来た? は? 意味分からん。
呆然としていると、その超絶美形の男は俺の存在に気付き、ハッとした顔をした。そして乗っかっていた身体から降りると、俺の方に身体を向き直り再び腰元に股がった。
おい、なんでまた乗る!?
「ちょっ」
なんでまた乗るんだよ! と、文句を言おうとしたら、その男は目を細めふわりと微笑んだ。そして……
「お前が運命の相手か」
そう呟き、いきなり寝そべる俺に覆い被さり、頬に手を伸ばされ撫でられたかと思うと、その超絶美形の顔を近付け唇を奪ったのだ。
「んん!!」
はい! 今、ここ!! てなことがあり、俺がイケメンの横っ腹を殴り飛ばした訳だ。
で、ここからは冒頭に戻る!
俺はベッドの隅にジリジリと後退る。しかし、このイケメンはジリジリと近寄って来る。
「よ、寄るな!!」
「? なぜ?」
「な、なぜ!? なぜって意味分からんわ! なんで傍に寄ろうとする!? そもそもお前誰だよ!? どこから来た!?」
どこから現れたのかは一目瞭然、俺の部屋の天井からですもんね。だからそれは聞かない。
だがしかし、どこの誰かは説明しろ!! 赤髪とか金色の瞳とか意味分からんし!! 外人みたいな顔だが、服装がなんか意味分からんし!
オタクのコスプレイヤーさんか!? アニメオタクの外人さんが日本に来たのか!?
それなら納得……は、出来んな。いきなり俺の部屋の天井から降って来る意味が分からん。
「俺はジウシード・ラルストン。ラルストン領領主だ」
「…………はい? ラルストン領?」
「そう、ラルストン領」
「なにそれ」
意味が分からず唖然としていると、ジウシードと名乗ったイケメンは首を傾げた。
「なにそれ、と言われてもラルストン領領主だとしか……」
そう言いかけ、ふとジウシードはキョロッっと周りを見回した。
「ここは……どこだ?」
今頃かーい!! 俺の唇奪う前に気付け!!
「は?」
漫画やアニメでよく見る魔法陣。それが俺の部屋の天井に貼り付いている。
なんだこりゃ、と見上げたまま上半身を起こし近付いてみようとした瞬間、その魔法陣からなにかがにゅっと突き出して来た。
「!?」
その瞬間なにやらぞわりとするが、それよりもその突き出してきたものに釘付けとなった。
黒いものがにゅうっと突き出して来たかと思うと、それはするんと一気に落ちてきた。
まるでウン……いや、その想像はどうなのよ。
そんなアホなことを考えている間にそれはドサッと俺の腹の上に落ちて来た。
「ぐえぇぇっ!!」
腹の上に落ちて来たものは想像以上にデカイ物体だった。し、死ぬ……。
いきなり巨大なものが腹の上に落ち、さっき食べた夕食やらビールやらがリバースするかと思ったわ!!
一瞬意識が飛びかけ、吐きそうになるのを必死に耐え、目の前に現れた物体を見る。
咄嗟に予期せぬ出来事が起こると、人間思考が停止するんだな。恐怖すらなく、ただ「無」だった。
固まったまま自分の上に乗る「それ」を見ていると、それはもぞもぞと動き出した。
ひぃぃぃいい!! う、動いた!? な、なんなんだ!?
こんな巨大なものが動き出すとか恐怖しかないわ! 一気に思考が動き出し、一瞬にして恐怖で身体が強張る。
動き出したそれはもぞもぞと俺の身体を探るようになにかを這わせる。さわさわとなにかに撫でられるかのような感覚にぞわりと鳥肌が立つ。
ギシッと身体が強張り、息を潜め、ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
視線だけを自身の腹へと目を向けると、なにやら黒い塊かと思っていたそれは、布?
黒いビラビラとした布がこんもりとなり俺の上に。なんだこれ?
そしてその塊がむくりと盛り上がったかと思うと、黒い小山の上には赤い色の……ん?
少しうねりのある赤いそれは、なにやら人の髪の毛のような? え?
その赤い物体はキョロキョロと周りを確認するかのように左右に動くと、その反動のまま振り向いた。
物体が振り向くとか、おかしい発言だが、いや、振り向いたんだよ。
なんせそこにはこの世の、というか、俺は今までお目にかかったことのないほどの、超絶美形の顔が乗っかっていた。精悍な顔付きのキリリとした赤髪の男。金色のキラキラと輝く瞳に整い過ぎなくらいの造形。
「え?」
な、なに? どういうこと? 天井の魔法陣からイケメン降って来た? は? 意味分からん。
呆然としていると、その超絶美形の男は俺の存在に気付き、ハッとした顔をした。そして乗っかっていた身体から降りると、俺の方に身体を向き直り再び腰元に股がった。
おい、なんでまた乗る!?
「ちょっ」
なんでまた乗るんだよ! と、文句を言おうとしたら、その男は目を細めふわりと微笑んだ。そして……
「お前が運命の相手か」
そう呟き、いきなり寝そべる俺に覆い被さり、頬に手を伸ばされ撫でられたかと思うと、その超絶美形の顔を近付け唇を奪ったのだ。
「んん!!」
はい! 今、ここ!! てなことがあり、俺がイケメンの横っ腹を殴り飛ばした訳だ。
で、ここからは冒頭に戻る!
俺はベッドの隅にジリジリと後退る。しかし、このイケメンはジリジリと近寄って来る。
「よ、寄るな!!」
「? なぜ?」
「な、なぜ!? なぜって意味分からんわ! なんで傍に寄ろうとする!? そもそもお前誰だよ!? どこから来た!?」
どこから現れたのかは一目瞭然、俺の部屋の天井からですもんね。だからそれは聞かない。
だがしかし、どこの誰かは説明しろ!! 赤髪とか金色の瞳とか意味分からんし!! 外人みたいな顔だが、服装がなんか意味分からんし!
オタクのコスプレイヤーさんか!? アニメオタクの外人さんが日本に来たのか!?
それなら納得……は、出来んな。いきなり俺の部屋の天井から降って来る意味が分からん。
「俺はジウシード・ラルストン。ラルストン領領主だ」
「…………はい? ラルストン領?」
「そう、ラルストン領」
「なにそれ」
意味が分からず唖然としていると、ジウシードと名乗ったイケメンは首を傾げた。
「なにそれ、と言われてもラルストン領領主だとしか……」
そう言いかけ、ふとジウシードはキョロッっと周りを見回した。
「ここは……どこだ?」
今頃かーい!! 俺の唇奪う前に気付け!!
79
お気に入りに追加
266
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる