81 / 91
七十八話 初級魔法ですら異常だった
しおりを挟む「はぁーーー!」
声を上げながら魔族に切りかかる女性、勿論瑞希だ。そして、瑞希の攻撃を防ごうとする魔族。だがその行動は瑞希に対しては無意味で簡単に切り裂かれた。
「次!」
そう言って瑞希は次の魔族へとそこら中にいる魔物を倒しつつも向かっていく。
敵の数は数百体といるが、瑞希が押されている様子はない。別に敵が弱いからという訳では無いのに、だ。それだけ瑞希は十分に強い。
「数多すぎじゃない?」
疲れている訳では無いが、瑞希はそう呟いた。流石に多すぎて面倒なのだろう。
「涼太早く来てー!」
瑞希はそう叫ぶのだった。
*
「瑞希が助けを求めてる!」
涼太がいきなりそんなことを言った。涼太には瑞希の声が聞こえたのだ。ただエリスには聞こえていないので、こいつは何を言ってるんだ?とでも言うような目で涼太を見ている。だが涼太はそんなことは気にもせず、まずは瑞希の位置を確認する。そして、確認が終わったあと、
『ファイアボール』
とただの初級魔法を唱えるのだった。ただ異常な魔力で作られたファイアボールだ。ただの初級魔法ではない。
ただそんなこと涼太は気にしていない。
「もう1発『ファイアボール』」
1発でも十分であろうファイアボールをもう一度放った涼太。そして、そのファイアボールによって殆どの敵は殲滅されたのだった。
*
「魔王様!魔法が飛んできます!」
「ただの魔法だろう?」
「いえ、それが…」
異常な魔法です、と言おうとしたが魔王に睨まれてしまい発言できなくなる魔族。
これ以上言うと殺すぞ?とでも言うように。何故なら人間の使う魔法など効くわけがないと思っているからだ。それなのに何度も言われるのは鬱陶しいと思っているのだ。
そう、魔王は油断しているのだ。そして、そんな魔王の元に人間が放った魔法が届く。
「なんだ、これは?」
急いで防御魔法を張る魔王。だが、間に合わない。
「なんなのだ、この魔法は…」
そう呟きながら、魔王はファイアボールの中に飲み込まへていったのだった。
*
自分の上を通った火球を見て、瑞希は後ろを振り返った。
「涼太!」
振り返った先には涼太とエリスがいる。瑞希は近くにいる敵を倒しながら二人の元へと走りよった。
「今の魔法、助けてくれたんだろうけど、私に当たったり、周りに被害が出たらどうするの!」
「そこはちゃんと考えてやってるよ」
涼太はそういったあと、説明を始めた。
簡単に言うと、敵の位置を把握して、敵だけに当たるように魔法を撃ったんだそうだ。ただ瑞希の近くの敵は瑞希に当たるとダメだから、と倒せていなかったらしい。
「まあ、考えてくれてたならいいけど」
俺の説明を聞いて、納得した瑞希。
こうして、大量の魔族は殲滅されたのだった───。
0
お気に入りに追加
2,690
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
新人神様のまったり天界生活
源 玄輝
ファンタジー
死後、異世界の神に召喚された主人公、長田 壮一郎。
「異世界で勇者をやってほしい」
「お断りします」
「じゃあ代わりに神様やって。これ決定事項」
「・・・え?」
神に頼まれ異世界の勇者として生まれ変わるはずが、どういうわけか異世界の神になることに!?
新人神様ソウとして右も左もわからない神様生活が今始まる!
ソウより前に異世界転生した人達のおかげで大きな戦争が無い比較的平和な下界にはなったものの信仰が薄れてしまい、実はピンチな状態。
果たしてソウは新人神様として消滅せずに済むのでしょうか。
一方で異世界の人なので人らしい生活を望み、天使達の住む空間で住民達と交流しながら料理をしたり風呂に入ったり、時にはイチャイチャしたりそんなまったりとした天界生活を満喫します。
まったりゆるい、異世界天界スローライフ神様生活開始です!
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
公爵令嬢は父の遺言により誕生日前日に廃嫡されました。
夢見 歩
ファンタジー
日が暮れ月が昇り始める頃、
自分の姿をガラスに写しながら静かに
父の帰りを待つひとりの令嬢がいた。
リリアーヌ・プルメリア。
雪のように白くきめ細かい肌に
紺色で癖のない綺麗な髪を持ち、
ペリドットのような美しい瞳を持つ
公爵家の長女である。
この物語は
望まぬ再婚を強制された公爵家の当主と
長女による生死をかけた大逆転劇である。
━━━━━━━━━━━━━━━
⚠︎ 義母と義妹はクズな性格ですが、上には上がいるものです。
⚠︎ 国をも巻き込んだ超どんでん返しストーリーを作者は狙っています。(初投稿のくせに)
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる