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七十四話 瑞希は完璧だった

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悪龍が俺に向かって突撃してきたはいいが、ステータスを結合から更に敵のスピードが遅く見える。それに比べて俺のスピードはステータス結合で上がっているので、軽く、本当にかるーく地面をけるだけで、誰の目にも止まらぬ速さで走れる。

「ど、どこへ消えた」

悪龍はそう呟きながら、空へと飛んだ。上へ逃げればなんとかなると考えたのだろうか。それならば、撃ち落としてやろう。

『ファイアボール』

俺の異常な量の魔力により、巨大な球となったファイアボールを悪龍に向かって投げる。悪龍はかなり高所にいる。だが、こちらにとっては好都合だ。低い場所にいられると周りにも被害が出る可能性が高くなるからな。と、悪龍に感謝していると悪龍へとファイアボールがぶつかった。

「ぐあぁぁぁぁぁぁあ」

悪龍の呻き声が聞こえてくる。
ここで、悪龍はファイアボールを避け無かったのか?なぜ?と思う者もいるだろう。
だが、悪龍は避け無かったのではない。避けられなかったのだ。俺の飛ばしたファイアボールは巨大なだけでなく、目標へ向かっていくスピードも異常な程に早いのだ。つまり、悪龍には俺のファイアボールが見えていなかったということだ。

解説はここら辺で終わりにして、悪龍をさっさと片付けよう。ふと思ったが、悪龍の扱いが雑魚と変わらないな。まあ、俺のステータスなら仕方ないか。

「よし悪龍、おさらばだな」

悪龍からは返事がない。あれ?なんで?

「おーい悪龍ー?」

沈黙が続く。悪龍の声が...聞こえてこない。そして悪龍はピクリとも動かない。そして悪龍は焦げいる。
ここから考えられること、それは───

「おい悪龍!死んでないよな!そんな終わり方していいのか!?」

いや雑魚扱いとは言ったが、まさか死んでるのか!?まだかっこよく決めてないんだが!?
俺は生きているという可能性を信じて悪龍へと近づく。近づいたはいいが、生死判別ってどうやってするんだ?

「おーい、瑞希!」

俺は結界の中にいる瑞希に呼びかける。瑞希はエリスと一緒に俺の方を見ていたからか、すぐに俺の声に気づいた。

「なにー?」

「生死判別ってどうしたらいいんだ?」

「鑑定で見たらわかるよ」

鑑定スキルって結構便利なんだな!取り敢えず使おう。

『鑑定』

悪龍(東)の死体

Lv.12500

HP 0
MP 7200000
STR 18500000
DEF 12000000
AGI 8200000

本当に死んでるのかよ!俺のファイアボールやばすぎだろ。ファイアボールって一番はじめに覚える魔法のはずなんだけどな...。これからはポンポン使えないな。まあ、ステータスを下げれば終わりなんだが。
さて、不本意だが悪龍を討伐したし結界から出てきてもらうか。

「悪龍倒し終えたぞー!」

結界の方へ向かって叫ぶと瑞希が外へと出てきたが、それ以外は誰も外へ出てこようとしない。勿論エリスもだ。何でだろうか?

「なんで結界からでないだ?」

「え、だって、え?悪龍が死んでるわけないじゃん?」

エリスはあたかも俺が嘘を言っているかのように言ってきた。本当のことを言った迄なんだがな。

「大丈夫だぞ?しっかり死んでるし」

「そんな訳ないじゃん!」

流石にトラウマとあってか、出てくる気配がない。どうしたものか...。

「瑞希、どうにか死んだことを証明できないか?」

「うーん...あ、そう言えば私のアイテムボックスを使ったら証明できるよ」

「そうなのか?」

「うん、任せて」

瑞希は自信満々に胸を張った。これは任せても大丈夫だな。まだ何もしていないが、問題解決だ。瑞希なら間違いない。

「じゃあ頼んだぞ」

「うん!」

瑞希は悪龍へと近づいて手を向けた。

「エリスさん、今からアイテムボックスを使うので見ててくださいね!」

「瑞希さん!悪龍にそんなに近づいたら危ないよ!」

エリスは瑞希の話を聞こうとしないのか、頭に入っていないのか全く話が噛み合わない。

「さて、見ててくださいね。3、2、1『収納』」

瑞希が収納と呟いた瞬間、悪龍が瑞希の手へと吸い込まれていった。そして、その様子を見ていた結界の中の人々は続々と外へ出てきた。どういう証明をしたんだろうか。

「瑞希、なんでみんなが出てきたんだ?」

「あのね、アイテムボックスは生きている生物を入れれないの。でも、死体なら入れられる。つまり、入ったということは死体だから大丈夫っていう証明方法だよ」

なるほど、流石は瑞希。失敗はしないだろうと思っていたが完璧だ。エリスもしっかり外へ出てきている。


こうして俺は悪龍との戦闘を終えたのだった───。
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