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六十六話 ギルド内は慌ただしそうだった

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ギルド長から依頼を受けたあと、早速原因探索に向かおうと思い、部屋から出たところで、何やら慌ただしい音が聞こえてきた。ある者は、大変だ!と叫び、ある者はすぐに向かわないと!と叫び、ある者はなんでそんなことに!?とそれぞれ違うことを叫んでいる。

何があったのだろうか?俺は横にいるエリスと瑞希に何か知らないか聞いてみたが、2人とも知らないようだ。取り敢えず見に行ってみるか。

受付の方に向かい、近くにいた受付嬢を呼び止める。

「すみませーーー」

呼びかけようとしたのだが、受付嬢は余程慌てているのか、俺の言葉が聞こえていないのか、無視しているのか分からないが、スルーされた。仕方がない違う人に聞くか。次は近くにいる冒険者だ。

「すみませーーー」

声をかけようとしたら、今回も同じようにスルーされた。

「プッ...」

後ろにいる瑞希から、笑い声が聞こえる。
別に、無視られてるわけじゃ無いですけど!違うから!...たぶん。
俺が無視られているかどうかは置いておき、どうやって現状把握するかを考える。
仕方がない、もう1回声をかけてみるか…。

「すみません」

「あぁ?なんだ?」

おお、今回は反応してくれた。よかった。

「何で皆はこんなにバタバタしてるんですか?」

「知らねえのか?今、ダンジョン街の方で、魔物が大量発生したらしい。しかもその魔物がダンジョンから出てきたやつなんだってよ」

へー、それは大変だな。そらバタバタするわな。どうしようか…俺達も行くべきかな。と俺が今後の方針を考えていると、エリスが後ろから俺の前へと出てきた。

「それは本当なの!」

「ああ、本当らしい」

「そんなことがあるの...?」

エリスはそう呟いて、考える素振りを見せた。

「エリス、どうしたんだ?」

「ダンジョンの魔物は基本外に出てこないの。ただ例外もあって、魔王や、悪龍のように、強い魔物が近くにいる時だけは外に出てくるようになるの」

「と言うことは...」

と言うことは、魔王級の魔物が、ダンジョン街にいるという事だ。やばいな、かなり危険だ。これはやっぱり俺達が行くべきか。

「エリス、瑞希、提案なんだが...」

「「いいよ」」

俺が今から提案しようというところで、二人が声を合わせて提案を肯定した。

「まだ何も言ってないんだが」

「涼太の言うことはだいたいわかるからね」

「リョウタはこういう時は、絶対に助ける人だと思ってるから」

俺ってそんなイメージがあるのか。てっきり、クズというイメージだと思ってた。
なんか、瑞希とエリスからの信頼が嬉しいな。やる気出てきたなー。いっちょやるか!
馬車で行くより走った方が早そうだな。
荷物は...いらないな。すぐ帰ってくるだろうし。


そして俺達は少しだけみんなで話し合いった後、すぐにダンジョン街に向けて出発したのだった───。

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