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五十六話 レベルの上がりようは異常だった(改稿します)

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早速現状について整理していこうと思う。
まず、ここに来る前に何をしていたかだな。
確か、ダンジョンの50階層で下に行くための階段を探していたはずだ。そして、壁にもたれたら壁が崩れて落ちていったんだったか?
その後は確かどこかの部屋に出て、部屋の中を見てまわったんだっけな?
確かそんな感じだった気がする。
まあ、過去の振り返りはこんなもので終わるとしよう。そして、振り返りを終えたところでいきなり脳内に直接


『レベルが203になりました』
                    省略
『異常的 1がLv.5になりました』
『レベルが251になりました』
                    省略 
『異常的 1がLv.6になりました』
『レベルが301になりました』
                    省略
『異常的 1がLv.7になりました』
『レベルが351になりました』
『レベルが352になりました』

と響いた。なぜ今頃なのだろうか?という疑問はあるがそれは考えてもわからないだろうから置いておく。それよりも、神殺しの特権の効果のおかげか、一気に150レベルも上がった。これでまたステータスがおかしくなっているだろう。だが、今は確認しないでおく。今はそんなことをしている場合ではない。

今するべき事は、ここはどこなのかという疑問を解消することだ。ついでにさっきの幻聴は本当に幻聴なのかということもだな。

俺は取り敢えず立ち上がり、汚れのない部屋を見て歩く。見て歩くと言っても特に何かあるわけでもない。あたり一面が同じ光景なので、変な場所がないかというのを探している。だが、何も無い。手詰まりだ。

仕方がない、一番よくわかっていない幻聴について考えるか。だが、それは考える必要がなくなった。何故ならまたも幻聴が聞こえたからだ。


「頭で精霊について思い浮かべながら、魔力を目に集中させて下さい、そうすれ...」

途中で切れてしまったが、精霊について考えながら、魔力を目に集中させろ、ということだけは分かった。
だが、何のためにそんなことをしなければいけないのだろうか?そもそもこれは幻聴ではなかったのだろうか?
俺はそう思ったが、打てる手は全て打った方がいいので、取り敢えず目に魔力を集中させる。すると脳内に直接


『スキル 精霊眼 Lv.1を取得しました』

と響いた。初めてLv.1のスキルを取得できて少し喜びつつも、俺はよくわからないスキルを入手して、少し首を傾げた。だが、このスキルの効果はすぐに発揮された。
今まで誰もいなかったはずの部屋に、小さな小さな人形の生き物が浮かんでいるのだ。
それもかなりの数がだ。


「見えるようになりましたか?次は精霊を意識しつつ、耳に魔力を...」

今回も途中で切れた。だが、なんとなくだが理解できる。多分さっきと同じことを耳でやればいいのだろう。俺は耳に魔力を集中させてから、精霊を頭に浮かべる。すると脳内に直接


『スキル 精霊耳 Lv.1を取得しました』

と響いた。するとそのスキルを入手した途端、俺の耳に大量の声が聞こえるようになった。
『遂に来たね!』やら『あの方が...』やら『平均的だね...』やらが聞こえてきた。
最後のヤツ、俺の事をわかってやがるな。
まあ、そんなことよりもこの声は何なのだろうか?おれがそんなことをかんがえていると、周りより一際大きい声が部屋の中に響く。


『静かにしてください!』

久しぶりに聞いたこの言葉。小学校でよく聞いた気がするな。だが今はそんなことはどうでもいい。今までうるさかった声が全て収まり、1人?の小さな人形の生き物が俺の元へとやって来た。


「お久しぶ...ではなくて、初めまして」

最初お久しぶりと言いそうになっていたが、俺はこの生き物にあった覚えはない。だが、お久しぶりという言葉はしっくりとくる気がする。
あれだろうか?最近患者が増えてきた、厨二病だろうか?前世の記憶があるとか何とか...いや、辞めておこう。俺は厨二病ではない。
取り敢えず、返事を返しておこう。普通にだぞ?


「初めまして、あなたは?」

「私...いえ、私達は精霊です」

うん、何となく分かってたよ?だってスキル名からしてそうじゃん。精霊眼に精霊耳だぞ?どう考えても精霊関係だろ。
それで精霊がなんでこんなところにいるのだろうか?


「ここで何をやってるんですか?」

敬語なのは気にしないでほしい。理由はなんとなくだ。


「私達はここに閉じ込められているのです」

「閉じ込められている?」

「はい」

精霊はとても辛そうな顔をしている。小さいので表情は分かりづらいが、辛そうな事はわかる。俺は何故閉じ込められているのを聞くと、悲しげに語り始めた。


「昔は普通に外で暮らしていたのですが、誰かに捕えられてしまいました。そして、その誰かは私達をダンジョンの魔力供給源にしようとしたのです。まあ、されてしまったのですが...。そして、ここは私達から魔力を奪い取るための場所です」

「そうなのか」

魔力を奪い取るだけのために、精霊を閉じ込めるなんて、日本のただの高校生からしてみれば、考えられないことだ。だが、ここは異世界なので、そんなこともあるかもしれない。だが、俺はこの精霊達をほおっておけなかった。


「ここから、精霊達全員を出す方法はないんですか?」

「あるにはあるのですが...、それには大量の魔力が必要になります」

精霊達は一瞬目を輝かやかせたが、魔力の事について思い出したのか、すぐに暗い顔になってしまった。 


「で、ですが、1人若しくは2人ぐらいは出せると思うんですよ」

そう言って精霊は小さな体で土下座をしてきた。その様子を見て周りの精霊達がざわつき出した。それを土下座している精霊は辞めさせてから、俺に話しかけてくる。


「なので、何人かの精霊と契約して、ここから出してあげてください。お願いします」

契約か...、異世界らしくなってきたじゃないか!やっぱり異世界といえば、精霊だよな。よし、今すぐ契約しよう。俺の魔力があれば全員と契約出来るのではないだろうか?
早速試してみようか。


「少し試したいことがあるんですけど、全員と契約して見てもいいですか?」

「え?そ、それは危険です。魔力が無くなってしまうかと知れません」

「大丈夫ですよ」

俺はそういった後、精霊との契約について教えてもらう。精霊の契約には、スキル 『精霊契約』が必要らしいので取得する。そして、ひたすらそのスキルを使い精霊と契約していく。すると無事に全ての精霊と契約できた。
そして、あまり疲労もない。やはり俺のステータスは異常なんだなと実感した。


「ま、まさか、本当に全精霊と契約できるとは...」

精霊が愕然としている。
契約精霊数は250人?だ。どうやって確認したかと言うと、ステータス画面に表示されていたのだ。かなりの数が部屋に閉じ込められていたんだな、と思いつつどうやってこの部屋から出るのかを聞く。


「ここからどうやって出るんですか?」

「それを言う前に、敬語はやめてください。主様がそれでは、私達の立場がよくわからなくなってしまいます」

んー、確かに主が敬語が使うのは変だな。
精霊も敬語はやめてくれと言ってるし、普通に喋るか。


「じゃあこれからはこの喋り方で行かしてもらう」

「はい!」

「じゃあ、早速ここから出る方法を教えてくれるか?」

「はい!」

そう言って精霊はこの部屋から出る方法を説明し始めたのだった───。
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