41 / 91
四十話 階層主は可哀想だった
しおりを挟む
下の階層へ降りるとそこは変わらず草木が生えていた。瑞希に8階層へ降りてきたからもう大丈夫だ、と声をかけると瑞希は頭を振りながら叫び気味に話し始めた。
「10階層までの敵は全部虫なの!早く10階層に行って!」
瑞希はそう叫んだ後、更にしっかりと俺に引っ付いてくる。やばい、色々とあたってる。特に胸(2回目)。俺の理性が持たない。
すぐに襲いたいぐらいだ。だが、それはダメだ。俺は無理やりは好きじゃない、というか嫌いだ。
俺が自分と戦っているとエリスが早くいこうよ、と言ってくる。俺はなんとか返事をして進むことにする。だが、今の状態はやばい。敵が出てきても戦える気がしない。
だから俺は瑞希に少し提案しようと思う。
「なあ瑞希、お姫様抱っこじゃダメか?」
これが1番大丈夫だろう。普通の抱っこなら後ろが前になるだけ、おんぶなら更に引っ付くだけ、ならばこれしかない。俺はそう思い提案したのだが、瑞希は顔を真っ赤にして、ブツブツと何かを呟いている。そして、独り言を終えると何かを決意したような顔をして俺を見てきた。
「それでいいよ、頼んでいい?」
俺はおう、と言って瑞希をお姫様抱っこする。だが、これは思っていた以上にやばかった。さっきまでは体があたってやばかったが、今回は顔が近すぎてやばい。
実際にはそこまで近くないのだが、お姫様抱っこ効果によって、瑞希の可愛い顔がとても近く感じる。更に瑞希が真っ赤になった顔で俺をじっと見つめてくるので、すごい恥ずかしい。多分俺の顔も真っ赤だろう。
なぜか、今なら唇ぐらいなら奪っていい気がする。俺がそんなことを考えていると、エリスが少し怒りだした。
「だから進もって言ってるでしょ!」
俺はエリスのその言葉でハッとして、顔を前に向ける。瑞希をずっと見ていたい気もするが、瑞希に虫を見せるわけには行かないのでとにかく集中する。
音を聞き、目で見て、鼻で臭い、肌で感じ、カンを働かせる。全神経を使い、瑞希の視界に虫が入る前に、討伐する。瑞希が目を閉じてたらいいだけの話なのでは?と思うかもしれないがそれではダメだ。瑞希には虫の音すら聞かせない。
俺は10階層に少しでも早く行くために
軽く(エリスにとっては全力)走る。
すると俺のカンが何かがいるとうったえてくる。俺は瑞希に目を瞑っとけよ、と言って全速力で瑞希をお姫様抱っこしながら走る。
そこにはハエの魔物がいた。大きさは30cm程だ。俺は剣でハエを真っ二つにして、そのままエリスのところへ戻る。
それを繰り返す事によって、瑞希には虫の音は聞こえないはずだ。
そうして、軽く(エリスにとっては全力)走ることによって10階層まで10分でつくことが出来た。そう言えば最初に8階層まで行くとか言っていた気がしたが、10階層まで来てしまった。まだ2時間半程しか経っていないんだけどな。
俺は10階層についたので、瑞希を下ろす。
もう少しお姫様抱っこしてたかったな、と俺は思ったがこの階層に虫は出ないらしいので、仕方がない。瑞希は少ししょんぼりとして、俺の手を見ていた。何故なのだろうか。
俺は取り敢えず進むぞ、と言って一本道を進む。前の階層主の時も一本道だったから階層主がいる階層は全て一本道なのだろう、たぶん。
しばらく進むと、5階層より大きな扉が出てきた。そこには大きな文字で10階層とだけ書かれている。瑞希はまだしょんぼりとしているが、扉を開けた。
その部屋は5階層と同じで真っ暗だった。俺とエリスは、前の階層の時と同じように部屋の端っこにいき、瑞希は真ん中に向かって歩いていく。すると部屋が明るくなる。地面は草で覆い尽くされており、壁も蔦が伸びている。
そして、部屋の真ん中には人型の魔物がいた。ステータス鑑定スキルで見てみると、ドリヤードという名前だ。
瑞希はドリヤードを見た瞬間、ファイアボールを打った。すると、ドリヤードは勢いよく燃えて、一瞬で消滅した。
ドリヤードは1歩も動けていない。敵ながら、少し可哀想だ。
そして、ドリヤードが消えたあと、今回もドロップがあったようで、何かが落ちた音が聞こえた。今回のドロップ品は前回と同じポーションだった。何か違う種類のものを見たいんだけどな。
俺は瑞希に労いの言葉をかけた後、下の階層へと進むのだった───。
「10階層までの敵は全部虫なの!早く10階層に行って!」
瑞希はそう叫んだ後、更にしっかりと俺に引っ付いてくる。やばい、色々とあたってる。特に胸(2回目)。俺の理性が持たない。
すぐに襲いたいぐらいだ。だが、それはダメだ。俺は無理やりは好きじゃない、というか嫌いだ。
俺が自分と戦っているとエリスが早くいこうよ、と言ってくる。俺はなんとか返事をして進むことにする。だが、今の状態はやばい。敵が出てきても戦える気がしない。
だから俺は瑞希に少し提案しようと思う。
「なあ瑞希、お姫様抱っこじゃダメか?」
これが1番大丈夫だろう。普通の抱っこなら後ろが前になるだけ、おんぶなら更に引っ付くだけ、ならばこれしかない。俺はそう思い提案したのだが、瑞希は顔を真っ赤にして、ブツブツと何かを呟いている。そして、独り言を終えると何かを決意したような顔をして俺を見てきた。
「それでいいよ、頼んでいい?」
俺はおう、と言って瑞希をお姫様抱っこする。だが、これは思っていた以上にやばかった。さっきまでは体があたってやばかったが、今回は顔が近すぎてやばい。
実際にはそこまで近くないのだが、お姫様抱っこ効果によって、瑞希の可愛い顔がとても近く感じる。更に瑞希が真っ赤になった顔で俺をじっと見つめてくるので、すごい恥ずかしい。多分俺の顔も真っ赤だろう。
なぜか、今なら唇ぐらいなら奪っていい気がする。俺がそんなことを考えていると、エリスが少し怒りだした。
「だから進もって言ってるでしょ!」
俺はエリスのその言葉でハッとして、顔を前に向ける。瑞希をずっと見ていたい気もするが、瑞希に虫を見せるわけには行かないのでとにかく集中する。
音を聞き、目で見て、鼻で臭い、肌で感じ、カンを働かせる。全神経を使い、瑞希の視界に虫が入る前に、討伐する。瑞希が目を閉じてたらいいだけの話なのでは?と思うかもしれないがそれではダメだ。瑞希には虫の音すら聞かせない。
俺は10階層に少しでも早く行くために
軽く(エリスにとっては全力)走る。
すると俺のカンが何かがいるとうったえてくる。俺は瑞希に目を瞑っとけよ、と言って全速力で瑞希をお姫様抱っこしながら走る。
そこにはハエの魔物がいた。大きさは30cm程だ。俺は剣でハエを真っ二つにして、そのままエリスのところへ戻る。
それを繰り返す事によって、瑞希には虫の音は聞こえないはずだ。
そうして、軽く(エリスにとっては全力)走ることによって10階層まで10分でつくことが出来た。そう言えば最初に8階層まで行くとか言っていた気がしたが、10階層まで来てしまった。まだ2時間半程しか経っていないんだけどな。
俺は10階層についたので、瑞希を下ろす。
もう少しお姫様抱っこしてたかったな、と俺は思ったがこの階層に虫は出ないらしいので、仕方がない。瑞希は少ししょんぼりとして、俺の手を見ていた。何故なのだろうか。
俺は取り敢えず進むぞ、と言って一本道を進む。前の階層主の時も一本道だったから階層主がいる階層は全て一本道なのだろう、たぶん。
しばらく進むと、5階層より大きな扉が出てきた。そこには大きな文字で10階層とだけ書かれている。瑞希はまだしょんぼりとしているが、扉を開けた。
その部屋は5階層と同じで真っ暗だった。俺とエリスは、前の階層の時と同じように部屋の端っこにいき、瑞希は真ん中に向かって歩いていく。すると部屋が明るくなる。地面は草で覆い尽くされており、壁も蔦が伸びている。
そして、部屋の真ん中には人型の魔物がいた。ステータス鑑定スキルで見てみると、ドリヤードという名前だ。
瑞希はドリヤードを見た瞬間、ファイアボールを打った。すると、ドリヤードは勢いよく燃えて、一瞬で消滅した。
ドリヤードは1歩も動けていない。敵ながら、少し可哀想だ。
そして、ドリヤードが消えたあと、今回もドロップがあったようで、何かが落ちた音が聞こえた。今回のドロップ品は前回と同じポーションだった。何か違う種類のものを見たいんだけどな。
俺は瑞希に労いの言葉をかけた後、下の階層へと進むのだった───。
0
お気に入りに追加
2,690
あなたにおすすめの小説
天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。
朱本来未
ファンタジー
魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。
天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。
ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。
新人神様のまったり天界生活
源 玄輝
ファンタジー
死後、異世界の神に召喚された主人公、長田 壮一郎。
「異世界で勇者をやってほしい」
「お断りします」
「じゃあ代わりに神様やって。これ決定事項」
「・・・え?」
神に頼まれ異世界の勇者として生まれ変わるはずが、どういうわけか異世界の神になることに!?
新人神様ソウとして右も左もわからない神様生活が今始まる!
ソウより前に異世界転生した人達のおかげで大きな戦争が無い比較的平和な下界にはなったものの信仰が薄れてしまい、実はピンチな状態。
果たしてソウは新人神様として消滅せずに済むのでしょうか。
一方で異世界の人なので人らしい生活を望み、天使達の住む空間で住民達と交流しながら料理をしたり風呂に入ったり、時にはイチャイチャしたりそんなまったりとした天界生活を満喫します。
まったりゆるい、異世界天界スローライフ神様生活開始です!
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる