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三十一話 レイアは面倒な奴だった

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レイアのせいでカエルが敵意を向けてきたので、俺は剣を抜く。というか、さっきレイアは可愛いと言ってカエルに向かっていたが、どこが可愛いのだろう。
皆がカエルと聞いてイメージするであろう黄緑色のカエルならばまだ分かる。ニホンアマガエルというのだったか。それならまだ可愛い。だが敵はドブガエルのような見た目をしている。どこが可愛いのかわからない。

まあそんなことはどうでもいい。カエルに敵意を向けられていることに変わりはないのだから。面倒だな、と思いながら俺は走り始める。そしてカエルを切る。

段々とゲコゲコと鳴いていた声が消えていき、数分後さっきまでうるさかった近辺が一気に静まり返った。

「リョウタ...さん...」

絶望したような顔で俺を見てくるレイア。何があったのだろうか。

「リョウタさんはなんでこんなに可愛い生き物を殺したんですか!?」

うわ、面倒くさいやつだ。レイアはことごとく面倒なやつだ。

「魔物だからだ」

「魔物だからって殺すんですか!」

殺すわ!って叫びたかったが、また敵にこられても面倒なので堪える。魔物を討伐しろと言ったのはこのアホレイアだと言うのに、こいつは何を言ってるんだ。

魔物カエルは俺達に敵意を完璧に向けていた。だから討伐した」

俺には敵意なんてわからない。だがこれだけのカエルが敵意を向けてきていればさすがの俺でもわかる。ともあれ、敵意を向けてきたのだ、倒すのが当たり前だろうということを伝えたいのだ。
流石に敵意を向けてきたといえば、レイアは反論してこないと思ったのだ。だが現実はそう上手くは行かない。

「敵意を向けていても、話し合えば何とかなるかもしれないじゃないですか!」

ああ、失念していた。こいつは正真正銘のアホなんだった。レイア=アホ、この方程式は俺の中では既に成り立っているはずだったんだがな。仕方ない、無視という方針で行くか。召喚された時はこんなアホに見えなかったんだがな...。

「さてカエルも討伐したし、進むぞ」

そう言って俺は歩き始める。後ろでレイアが何か言っているが気にしない。アホに構っていてはキリがないからな。ちなみにだが、結構の数のカエルを倒したがレベルは上がらなかった。

それから歩くこと1時間、スライムやリザードに出会ったが、特に苦戦することもなくヒュドラの住処へとついた。ヒュドラの見た目は蛇のようだが、違う場所がある。勿論頭だ。そいつは九つの頭がそいつには生えているのだ。
このヒュドラは一つの頭を切り落とせば、二つの頭が生えてくるという性質がある。では、そんなやつをどうやって倒すのかと言うと傷口を火で焼くことだ。そうすることによって、再生しなくなる。ということは、まず頭を切り落とさなければならない。
俺はヒュドラの視野の外で静かに剣を抜く。そしてエリスも、剣を抜く。だがエリスは護衛だ。勿論レイアの。


こうして俺達のヒュドラ討伐準備が整ったのだった───。
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