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二十一話 どこに行っても面倒事ばかりだった

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ロイエがブルりと震えた様子を見て、思い出したことがあった。

「森に行った時に誰かが叫んでいたが、誰が叫んでたんだ?」

「え?」

「2人の声を聞いたが、誰の声にも似ていないから」

ロイエは首を傾げる。心当たりがないのだろう。
叫び声は女性っぽかったから、ロイエかと思ったんだがな。

「じゃあラウラか?」

ラウラに問いかけると、考える素振りを見せた。そして、少しの沈黙のあと、手をぽんと鳴らす。

「そう言えばガウスが叫んでましたね」

そう言ってラウラは一人の男を指す。ずっとモジモジして黙っている方だ。因みにもう一人の男はゼストだ。

そんなことより、モジモジしてる男が叫んだとは本当だろうか?
どう聞いても女声だったのだが。

 「本当にこの人が叫んだのか?」

「はい」

ラウラの返事と同時、ガウスが立ち上がった。そのまま俺の方へと近づいてくる。そして、正面に来るとーーー

「本当に私が叫んだのよん」

女性の声にしか聞こえない声でそう言った。まさかの、オネエ?
この見た目で?まじか...。

「そうか、ガウスが叫んだのか...」

「そうなのよー、ほんとあの時怖かったのよー」

声と話し方だけを聞いていたら、女性と話している気分だが、本人を見ると本当に違いすぎる。

ガウスはかなり太っているが、顔だけは何故か太っておらず、その顔は渋い。
それだけでも十分すぎるぐらいなのに、オネエキャラも付いてくるとか面白すぎてまともに話せない。

俺は口を手で抑えて笑いを必死に堪える。
ガウスはそんな様子を見て上目遣いをして俺の方を見てくる。

「ぶはっ」

俺はその行動に笑いを堪えきれず、思い切り吹き出してしまった。というか、これを耐えれる人いるのか?

「なんで笑うのよー」

「と、とりあえず離れてくれ」

と言いながら俺は顔を逸らす。
だがそれが逆効果だったのか、ガウスはさらに近づいてくる。

「なーに?恥ずかしいのー?かわいいわねー」

「違うから離れろ」

「はーい」

ガウスが頬を膨らませながら、離れる。やっと離れてくれた...。
まさかガウスがこんな奴だったとは...。取り敢えずあまり関わらないでおこう、面倒そうだからな。

俺はため息をつく。
最近ため息つく回数増えてるな。
まあ、ほとんどがレイアのせいなんだけどな。

俺はレイアを少し睨みつける。
すると、レイアは俺が睨んでいたことに気づいたのか、首を傾げた。

「どうしたのですか?リョウタさん」

「いいや、何も無いよ」

「それならいいんですけど」

そう、何も無い。別にこいつのせいで面倒事が増えたなんて思っていない。そう、思っていない。

まあそんなことは置いておいて、今どのくらいの位置にいるかが気になってきた。

「エリス、もうすぐ着くか?」

エリスは御者をしているので大きめの声で聞く。

「もうすぐだよ!」

「分かった、ありがとう」

もうすぐなのか。まあまあ近かったな。

「もうすぐらしいから馬車を降りる準備だけしとくぞ」

特に準備をすることはないが、ロイエは骨折しているので準備をすることがある。そういう意味の準備だ。



数分後、無事に街についた。
だが、その街はかなりボロボロになっていた。

「なあ、違うとは思うが、この街って元々こんなのなのか?」

俺の問に皆は首を左右に降る。
これは面倒な予感しかしないな。


こうして俺はまたも面倒事に巻き込まれるのだった───。
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