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十七話 馬車到着のタイミングは完璧だった

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さて、戦う前に襲われている人を安全な場所に連れていかないと。
ということで俺は、ワイバーン達を倒す前に、襲われている人の移動から始める。
ちなみに、襲われている人は三人いる。

「おい、こっちに来い!」

俺は草木の中から開けたところに出て叫ぶ。その声に全員が反応して、俺の方向へ振り返る。

「助けてくれるんですか!?」

「ああ、そうだ。だから早くこっちに来い!」

「ありがとうございます!」

助けてくれると分かった瞬間、涙を流しながら走ってくる3人。
冷静な状態なら、1人で助けれるわけないだろ!とツッコむだろうが、今はそんな余裕はなさそうだ。

走ってきた3人は俺のところに来ると、腕に抱きついてくる。
よっぽど怖かったのだろう。
そんなことよりも、確認を取らねば。

「襲われているのは、この3人だけだな?」

見える範囲ではこの3人しかいない。だが、3人は頭を左右に振った。

「まだ、まだもう1人います!」

「どこにだ!」

「ワイバーン達で隠れていて分かりません...」

ワイバーン達で隠れている、それはつまり、ワイバーン達に囲まれているという事だ。

すぐに助けに行かなければ、だが、今助けた人達をどうにかしなければならない。

悩んでる時間もないし、どうしようかと俺が困っていたその時、馬車の音が聞こえてきた。

「タイミング良すぎだろ...」

本当にナイスタイミングだ。
俺は助けた人達を抱えて、馬車の方へと走る。かなり速度を出したのでワイバーンはこっちについてきていない。

馬車はすぐ近くにいたので、3人をすぐに引き渡せた。

「エリス、この人達を頼んだぞ」

「任せて!」

その返事を聞いた俺は、ワイバーンの方へと向かっていった。



ワイバーンは先程の開けたところから動いていない。森の中には入ってこないのだろうか?

そんなことよりも、早くワイバーンを倒さなければ、もう一人が死んでしまう。

俺は剣を構える。今回は素手より剣の方が楽そうだからだ。
魔法を使いたいが、魔法は使えない。どこに人がいるかわからないからな。

さて、剣を構えたら戦闘開始だ!

俺はワイバーン達の方へと走る。
ワイバーンは俺が見えていないのか、かなり近づいても全く反応しない。そのまま剣でワイバーンの首を刎ねる。

そこでやっとワイバーンは気づいた。俺がワイバーンの前にいて、首を刎ねられている事に。

ドスンという音を立ててワイバーンが倒れる。
その音に反応するワイバーン達。
辺りを見て原因を探しているワイバーン。だが、原因らしい原因はどこにもない。

当たり前だ、俺はワイバーンが倒れる前に次の標的へと走り出しているのだから。

次の敵も首を狙い剣を払う。
もちろん誰も反応できない。
奥へ奥へと首を刎ねながら突き進んでいく。

「どこにいるんだよ!」

正直どこにいるか全くわからない。敵を倒していたら見つかると思っていたが、思ったより手間がかかる。

俺はイライラをぶつけるようにワイバーンの頭を次々にはねていく。

10体目を倒し終えた頃だろうか、どこからか唸り声のようなものが聞こえてきた。とても小さい声だ。

「そっちか!」

俺はそう叫びながら、声が聞こえた方向にいるワイバーンへ剣を振るう。もちろん一撃でワイバーンは倒れる。

「見つけた...」

ワイバーンが倒れた先に、傷だらけの女性が倒れていた。
まだ、息はしていそうだ。

俺はその様子を見て安堵の息を漏らすのだった───。
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