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頭の体操②親友、国子の不思議な体験
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「あんた、分かる?」
「いや、すぐには無理よ。でも、その人のこと、本当に知らないんでしょ?」
「うん。気味悪いでしょ?」
「えーと、じゃあ、おさらいするけど、国子がその人と会ったのは、駅の改札よね?」
「おっと、ごめん、間違えた。駅のホームよ。ほら、階段のすぐ近くだけど、分かる?」
「かなーって思ったんだけど……あの辺りって、列車のドアの所から駅の階段に昇り降りするのに一番便利だから、人が集まるしね。それで、何だっけ?」
「北側の方から高齢の男性が歩いて来て、手を振ってきたんだけど、本当、何だったんだろ?」
「国子の方からじゃなくて、相手の方からよね?本当に知らない人?」
「見当も付かないわ……しかも、急によ。びっくりでしょ?」
「こんにちはって言ってきたのよね?」
「さぁ、よく考えたら、ねぇ、だったかな?」
「知らないけど、それはいいとして、国子から見て、だいぶ離れた場所からだったの?」
「数十メートルは離れていたわね……視力がいい人かな?」
「せっかちな感じの人だとも言ったわよね。つまり、急いでいたからかしらね?」
「そうね……と言うより、何か、焦っていたような……次第に汗も出て来たみたいだったけど、何だったんだろう?」
「多分、国子の顔を見て、何かを感じたことは間違いないと思うけど……うーん、しつこくて悪いけど、本当に知らない人よね?」
「ちょっと待って……そうね、やっぱり知らない人だったわね。本当、何だったのかしら?」
「つい、誰かと間違えて、声を掛けちゃったって有り得ないかな?」
「て言うか、有り得る有り得ないの前にさ、何で知らない人と10分も話せる訳?」
「とっても親しい人と似ていたからかもよ?」
「何、言ってるのよ。目の間にいて、分からないはずないじゃない。おかしくない、普通?」
「人間だから、勘違いはあるし、焦っていたり、汗をかいてきたのは、国子と誰かを間違えたことに気付いたからじゃない?」
「抜け目の無い顔をしてたわよ……そんな人が間違えるなんて考えられる?」
「ねぇ、人間だから間違いはあるって言ったからには、私、その線を貫くつもりだけど、いい?」
「呑気な私だけど、いくら間違いでも、10分も知らない人と知ってる振りして話す勇気なんてないわよ。だから、抜け目の無い顔をしていた人なら、なおさら有り得なくない?」
「はっきり言うと、有り得ると思うわよ。抜け目の無い人が、知っている人かと思って声を掛けたら、違う人だった……と言うことは、抜け目が無いのに、人を間違うなんて、恥ずかしくて仕方無かったはずよ。だから、国子を知ってる振りを突き通したのよ。違うかしら?」
「人の子だから、そりゃあ、有り得るかも知れないわ。でも、凄い勇気よね?」
「不思議じゃないわ。高齢の人だったってことは、色んな経験をしてきた人に違いないはずだし、間違えた相手と話すことなど、大したことが無いかも知れないわ。違う?」
「変だとは言い切れないわね。と言っても、焦っている態度だったり、汗をかいていたのは、やっぱり恥ずかしい気持ちがあった証拠とも言えるわよね?」
「本当、それは国子の言う通りだと思うわ。いくら抜け目の無い人でも、勘違いした相手と10分も話す場面なんて、普通じゃ、なかなかお目にかかれないはずだしね。そうなると、問題は内容ね。国子と話を合わせないといけないからね。でしょ?」
「まぁ、でも、そこは何とかなったと思うわよ。ほとんど世間話だったからね。当たり障りの無い会話なら、知らない相手とでも出来るもの。でも、やっぱり私にはそんな勇気は無いけどね。あんたなら、大丈夫そうだけど、自信あるでしょ?」
「皆んな、私のことをそんな目で見るけど、無理よ。さすがにボロが出そうだしね……やっぱりその人は、かなり抜け目の無い人ね。私は抜け目の無い人間じゃないからね。分かるでしょ?」
「無理よ、そんな嘘ついても……あんたなんか、抜け目の無い人間の塊みたいじゃん。抜け目の無い人間の権化って言ってもいいくらいじゃない?」
「目茶苦茶、私は抜けてるわよ。だから、色んな推理が出来るのよ。抜け目が無いと言うことは、凝り固まっているはずだから、逆に幅が狭いんじゃないかしら?」
「もっともな話に聞こえるけど、何かおかしい気もするのよね。まぁ、優等生のあんたが言うことだから、正しいはずよね?」
「やめてよ、恥ずかしいじゃない。話を戻すと、きっと、こうね。ホームで見かけた国子を知り合いと思って、声を掛けたら、間違いだったことに気付いたけど、知らない振りをして、話し続けた……でいいわね?」
「夢の中での話みたいだけどね。オッケーよ。じゃあ、カラオケ行く?」
「喜んでお伴するわ……で、どこのカラオケ?」
※各「」の1番初めの文字をつなげると、あ~や行までの文言となり、「」の最後の文字は、全て、?で統一しました。
*Prologueに投稿したものを多少修正し、再投稿したものです。
「いや、すぐには無理よ。でも、その人のこと、本当に知らないんでしょ?」
「うん。気味悪いでしょ?」
「えーと、じゃあ、おさらいするけど、国子がその人と会ったのは、駅の改札よね?」
「おっと、ごめん、間違えた。駅のホームよ。ほら、階段のすぐ近くだけど、分かる?」
「かなーって思ったんだけど……あの辺りって、列車のドアの所から駅の階段に昇り降りするのに一番便利だから、人が集まるしね。それで、何だっけ?」
「北側の方から高齢の男性が歩いて来て、手を振ってきたんだけど、本当、何だったんだろ?」
「国子の方からじゃなくて、相手の方からよね?本当に知らない人?」
「見当も付かないわ……しかも、急によ。びっくりでしょ?」
「こんにちはって言ってきたのよね?」
「さぁ、よく考えたら、ねぇ、だったかな?」
「知らないけど、それはいいとして、国子から見て、だいぶ離れた場所からだったの?」
「数十メートルは離れていたわね……視力がいい人かな?」
「せっかちな感じの人だとも言ったわよね。つまり、急いでいたからかしらね?」
「そうね……と言うより、何か、焦っていたような……次第に汗も出て来たみたいだったけど、何だったんだろう?」
「多分、国子の顔を見て、何かを感じたことは間違いないと思うけど……うーん、しつこくて悪いけど、本当に知らない人よね?」
「ちょっと待って……そうね、やっぱり知らない人だったわね。本当、何だったのかしら?」
「つい、誰かと間違えて、声を掛けちゃったって有り得ないかな?」
「て言うか、有り得る有り得ないの前にさ、何で知らない人と10分も話せる訳?」
「とっても親しい人と似ていたからかもよ?」
「何、言ってるのよ。目の間にいて、分からないはずないじゃない。おかしくない、普通?」
「人間だから、勘違いはあるし、焦っていたり、汗をかいてきたのは、国子と誰かを間違えたことに気付いたからじゃない?」
「抜け目の無い顔をしてたわよ……そんな人が間違えるなんて考えられる?」
「ねぇ、人間だから間違いはあるって言ったからには、私、その線を貫くつもりだけど、いい?」
「呑気な私だけど、いくら間違いでも、10分も知らない人と知ってる振りして話す勇気なんてないわよ。だから、抜け目の無い顔をしていた人なら、なおさら有り得なくない?」
「はっきり言うと、有り得ると思うわよ。抜け目の無い人が、知っている人かと思って声を掛けたら、違う人だった……と言うことは、抜け目が無いのに、人を間違うなんて、恥ずかしくて仕方無かったはずよ。だから、国子を知ってる振りを突き通したのよ。違うかしら?」
「人の子だから、そりゃあ、有り得るかも知れないわ。でも、凄い勇気よね?」
「不思議じゃないわ。高齢の人だったってことは、色んな経験をしてきた人に違いないはずだし、間違えた相手と話すことなど、大したことが無いかも知れないわ。違う?」
「変だとは言い切れないわね。と言っても、焦っている態度だったり、汗をかいていたのは、やっぱり恥ずかしい気持ちがあった証拠とも言えるわよね?」
「本当、それは国子の言う通りだと思うわ。いくら抜け目の無い人でも、勘違いした相手と10分も話す場面なんて、普通じゃ、なかなかお目にかかれないはずだしね。そうなると、問題は内容ね。国子と話を合わせないといけないからね。でしょ?」
「まぁ、でも、そこは何とかなったと思うわよ。ほとんど世間話だったからね。当たり障りの無い会話なら、知らない相手とでも出来るもの。でも、やっぱり私にはそんな勇気は無いけどね。あんたなら、大丈夫そうだけど、自信あるでしょ?」
「皆んな、私のことをそんな目で見るけど、無理よ。さすがにボロが出そうだしね……やっぱりその人は、かなり抜け目の無い人ね。私は抜け目の無い人間じゃないからね。分かるでしょ?」
「無理よ、そんな嘘ついても……あんたなんか、抜け目の無い人間の塊みたいじゃん。抜け目の無い人間の権化って言ってもいいくらいじゃない?」
「目茶苦茶、私は抜けてるわよ。だから、色んな推理が出来るのよ。抜け目が無いと言うことは、凝り固まっているはずだから、逆に幅が狭いんじゃないかしら?」
「もっともな話に聞こえるけど、何かおかしい気もするのよね。まぁ、優等生のあんたが言うことだから、正しいはずよね?」
「やめてよ、恥ずかしいじゃない。話を戻すと、きっと、こうね。ホームで見かけた国子を知り合いと思って、声を掛けたら、間違いだったことに気付いたけど、知らない振りをして、話し続けた……でいいわね?」
「夢の中での話みたいだけどね。オッケーよ。じゃあ、カラオケ行く?」
「喜んでお伴するわ……で、どこのカラオケ?」
※各「」の1番初めの文字をつなげると、あ~や行までの文言となり、「」の最後の文字は、全て、?で統一しました。
*Prologueに投稿したものを多少修正し、再投稿したものです。
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