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ダイイング・メッセージ!?
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「ダイイング・メッセージ(殺人事件の被害者が「誰に殺されたか」を伝えようと、死に際に取ったメッセージ性のある行動:ネット参照)って、知ってる?」
国子は親友で、女子高生探偵である悦子に聞いた。
「当たり前よ」
悦子が膨れっ面をしたのを見て、言葉の端々にいつも探偵としてのプライドを感じるんだけど、と思い、国子は笑った。
「何よ?」
「ううん、何でもない」
そう言って、国子は笑いをこらえた。
「それで、ダイイング・メッセージがどうかしたの?」
「そうそう、ダイイングじゃないんだけどね、何かが隠されているなって思ったことがあってね。先日、3丁目のコンビニの前で民子(同級生)が泣いてたのよ」
「あんなとこで?何でかしら?」
「私も聞いたんだけど、なかなか答えてくれなくて……で、やっと話してくれたんだけどね。ダイイング・メッセージって知ってる?って、聞いてきたのよ」
「民子があなたに?何で?」
「分かんない……その時、ダイイング・メッセージって知らなかったからさ、何それ?って聞いたら、ダイイングじゃないけど、きっと彼は私に伝えたかったんだ、って言うのよ。彼って誰?って聞いたんだけど、黙っちゃってさ。とにかく落ち着かせようとして、コンビニに行って、氷バーを買ってきたの」
「何故、氷バーを?」
「氷バーだったら、頭を冷やして、落ち着くかなって、思ったのよ。そしたら、民子ったら、そんな物、いらないって言って、走って行っちゃったのよ。訳分かんないでしょ?」
「そうね……民子はコンビニの前で泣いてたんだよね?」
「うん」
「どうして、あんな人目につくところで泣いてたのかしらね?せめて、コンビニのトイレの中とかだったら分かるけど……」
「うーん、コンビニに入りたくなかったとか?」
「ん?何だか意味深な意見ね」
「そうかなぁ……あ、思い出した!」
「何?」
「民子ったら、コンビニのイケメン店員をじっと見てたわ」
「じゃあ、その店員を見ながら、泣いてたの?」
「うん、多分」
「そっか……と言うことは、その店員とは顔を合わせたくなかったのかもね。だから、外で泣いてたのかな」
「それ、あんたの推理?」
「そんな偉そうなものじゃないけどね……じゃあ、私、少し探ってみるよ」
「いよいよ、あんたの出番ですな」
とりあえず、その日、2人はそれぞれ帰宅した。
数日経った放課後、悦子は国子を誘って、校舎裏に行き、話し始めた。
「一昨日、例のコンビニの前に行って、携帯をいじりながら、誰かと待ち合わせしている振りをして、イケメン店員の様子を伺っていたら、彼、レジ打ち、品出し、外のゴミ箱のゴミ回収をしてた。多分、民子も同じ光景を見てたんだと思う。しばらく経って、イケメン君は仕事があがって、出てきたんだけど、店内にいた女子高生のお客と一緒に帰って行ったのよ」
「それじゃあ、2人は付き合っているのかな?」
「多分ね。恋人同士に見えたもの。それで、昨日も行ってみたの」
「粘るねぇ。何か、収穫あった?」
「特に無し。ただ、イケメン君が前日と同じ行動を取っていたのは分かった。レジ打ち、品出し、ゴミ回収、そして、彼女と一緒……ちなみに、民子が泣いてる時も、女子高生っぽい子、いた?」
「分かんなかったわ」
「まぁ、それはいいとして、国子、あなたが氷バーを買ってきたら、民子は走って行っちゃったのよね?」
「うん、そう」
「多分だけど、民子が、「きっと彼は私に伝えたかったんだ」って言ってた彼って、イケメン君のことだと思うの。民子は外からじっと見てたんだしね」
「そうね」
「それで、氷バーを見て、去ったのは、氷バーにメッセージが込められてたからなのよ」
「メッセージ?」
「そう。で、考えてみたの。ただ、全部、私の想像で確証は無いから、笑わないでね」
「う、うん」
「民子はイケメン君と付き合っていたと思うの。だけど、彼には別に好きな人、例の女子高生ね、ができた。でも、民子は彼を忘れられず、コンビニの前にいて、彼も民子がいるのを知ってた。それで、彼はゴミ回収をするため、外に出てきた時、手に氷バーを持っていて、ゴミ袋に捨てた。民子はそれを見て、泣いた……」
「は?氷バーを捨てるのを見て、泣いたの?何でーな?」
「だから笑わないでって言ったのよ!ここからはもっと笑わないで欲しいんだけど、氷バーはアイスでしょ。で、そのアイスをゴミ袋に捨てた訳よね。つまり、アイス捨てるとなる。それで、ちょっと強引かも知れないけど、スと捨が重なるから、縮めて、アイステルになる。で、さらに変換して、愛捨てるとなる。つまり、(民子の)愛を捨てる=民子と別れるということよ。その証拠に、民子は国子が買ってきた氷バー、つまりアイスを見て、たまらなくなって、走って行っちゃったじゃない」
「……」
「……あー、本当、恥ずかしい!さ、もういいから、民子を誘って、カラオケにでも行くわよ!」
(*Prologueに投稿したものを多少修正し、再投稿したものです)
国子は親友で、女子高生探偵である悦子に聞いた。
「当たり前よ」
悦子が膨れっ面をしたのを見て、言葉の端々にいつも探偵としてのプライドを感じるんだけど、と思い、国子は笑った。
「何よ?」
「ううん、何でもない」
そう言って、国子は笑いをこらえた。
「それで、ダイイング・メッセージがどうかしたの?」
「そうそう、ダイイングじゃないんだけどね、何かが隠されているなって思ったことがあってね。先日、3丁目のコンビニの前で民子(同級生)が泣いてたのよ」
「あんなとこで?何でかしら?」
「私も聞いたんだけど、なかなか答えてくれなくて……で、やっと話してくれたんだけどね。ダイイング・メッセージって知ってる?って、聞いてきたのよ」
「民子があなたに?何で?」
「分かんない……その時、ダイイング・メッセージって知らなかったからさ、何それ?って聞いたら、ダイイングじゃないけど、きっと彼は私に伝えたかったんだ、って言うのよ。彼って誰?って聞いたんだけど、黙っちゃってさ。とにかく落ち着かせようとして、コンビニに行って、氷バーを買ってきたの」
「何故、氷バーを?」
「氷バーだったら、頭を冷やして、落ち着くかなって、思ったのよ。そしたら、民子ったら、そんな物、いらないって言って、走って行っちゃったのよ。訳分かんないでしょ?」
「そうね……民子はコンビニの前で泣いてたんだよね?」
「うん」
「どうして、あんな人目につくところで泣いてたのかしらね?せめて、コンビニのトイレの中とかだったら分かるけど……」
「うーん、コンビニに入りたくなかったとか?」
「ん?何だか意味深な意見ね」
「そうかなぁ……あ、思い出した!」
「何?」
「民子ったら、コンビニのイケメン店員をじっと見てたわ」
「じゃあ、その店員を見ながら、泣いてたの?」
「うん、多分」
「そっか……と言うことは、その店員とは顔を合わせたくなかったのかもね。だから、外で泣いてたのかな」
「それ、あんたの推理?」
「そんな偉そうなものじゃないけどね……じゃあ、私、少し探ってみるよ」
「いよいよ、あんたの出番ですな」
とりあえず、その日、2人はそれぞれ帰宅した。
数日経った放課後、悦子は国子を誘って、校舎裏に行き、話し始めた。
「一昨日、例のコンビニの前に行って、携帯をいじりながら、誰かと待ち合わせしている振りをして、イケメン店員の様子を伺っていたら、彼、レジ打ち、品出し、外のゴミ箱のゴミ回収をしてた。多分、民子も同じ光景を見てたんだと思う。しばらく経って、イケメン君は仕事があがって、出てきたんだけど、店内にいた女子高生のお客と一緒に帰って行ったのよ」
「それじゃあ、2人は付き合っているのかな?」
「多分ね。恋人同士に見えたもの。それで、昨日も行ってみたの」
「粘るねぇ。何か、収穫あった?」
「特に無し。ただ、イケメン君が前日と同じ行動を取っていたのは分かった。レジ打ち、品出し、ゴミ回収、そして、彼女と一緒……ちなみに、民子が泣いてる時も、女子高生っぽい子、いた?」
「分かんなかったわ」
「まぁ、それはいいとして、国子、あなたが氷バーを買ってきたら、民子は走って行っちゃったのよね?」
「うん、そう」
「多分だけど、民子が、「きっと彼は私に伝えたかったんだ」って言ってた彼って、イケメン君のことだと思うの。民子は外からじっと見てたんだしね」
「そうね」
「それで、氷バーを見て、去ったのは、氷バーにメッセージが込められてたからなのよ」
「メッセージ?」
「そう。で、考えてみたの。ただ、全部、私の想像で確証は無いから、笑わないでね」
「う、うん」
「民子はイケメン君と付き合っていたと思うの。だけど、彼には別に好きな人、例の女子高生ね、ができた。でも、民子は彼を忘れられず、コンビニの前にいて、彼も民子がいるのを知ってた。それで、彼はゴミ回収をするため、外に出てきた時、手に氷バーを持っていて、ゴミ袋に捨てた。民子はそれを見て、泣いた……」
「は?氷バーを捨てるのを見て、泣いたの?何でーな?」
「だから笑わないでって言ったのよ!ここからはもっと笑わないで欲しいんだけど、氷バーはアイスでしょ。で、そのアイスをゴミ袋に捨てた訳よね。つまり、アイス捨てるとなる。それで、ちょっと強引かも知れないけど、スと捨が重なるから、縮めて、アイステルになる。で、さらに変換して、愛捨てるとなる。つまり、(民子の)愛を捨てる=民子と別れるということよ。その証拠に、民子は国子が買ってきた氷バー、つまりアイスを見て、たまらなくなって、走って行っちゃったじゃない」
「……」
「……あー、本当、恥ずかしい!さ、もういいから、民子を誘って、カラオケにでも行くわよ!」
(*Prologueに投稿したものを多少修正し、再投稿したものです)
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