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消えたカバン
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悦子と親友の国子は学校帰りにアイスクリーム屋に寄り、買ったアイスクリームを近くの公園で食べることにした。
初めはベンチに座って食べていたが、国子が雀を見つけたため、2人はベンチを離れ、アイスクリームのコーンの部分を少し分けてあげた、
その間、5分くらいだっただろうか、ベンチに戻ると、置いておいた国子のカバンが無くなっていた。
悦子らの高校のカバンは指定されたものとなっていて、色は紺色だった。
悦子のカバンは置いてあったが、国子のものは消えていたので、国子はアレ?と言い、悦子もン?と思い、2人は周辺を探し回ったが、どこにも見当たらなかった。
悦子は誰かが持ち去ったのではないかと思い、周りを見渡してみると、ちょうど高校の帰宅時間だったため、公園内の道を1人だったり、数人の女子高生が固まってワイワイ話しながら歩いているのが見えたが、皆、同じようなカバンを持っていたので、国子のカバンかどうか、判別出来なかった。
悦子は頭の中で色々考えていたが、我に帰ると、国子が半べソをかいていた。
悦子は国子の肩を抱きながら、ベンチに座らせて、ハンカチを取り出し、国子の涙を拭ってあげた。
私たちがベンチを離れたのは、ほんの数分だったから、カバンが羽を生やして飛んでいかない限り、勝手に消えてしまうことは有り得ないので、やはり誰かが盗んだとしか思えない……悦子は国子を介抱しながら、考えていた。
やがて、少し落ち着いた国子は悦子に伴われ、歩き出し、学校に戻ってみようかとも思ったが、警察に行く方が良い気がして、交番に向かうことにした。
ヨロヨロと歩く国子を抱き抱えながら、悦子は親友を苦しめた輩に強い憤りを覚えていたものの、グッと気持ちを抑えて、歩いていると、公園を出た少し先に雑木林があるのだが、悦子は何気無く中を覗いてみた。
すると、林を少し入った所に何かが落ちているのが見え、もしやと思った悦子が、国子とともに近付くと、そこには紛れもない国子のカバンが落ちていた。
国子は目を輝かせ、悦子は良かった!と声に出して歩み寄り、何か盗まれていないか、国子はすぐにカバンの中をあさってみたが、どうやら何も失くなってはいないようだった。
ただ、ファスナーが開いていたのを悦子は見逃さなかった。
悦子は国子と別れて、帰宅し、晩御飯を食べ、風呂に入ると、ベッドの中に潜り込んで、考えていた。
誰かが国子のカバンを持ち去ったことは明白であり、中を見たことは間違いないはずだが、何も盗まれていなかった……悦子は何か引っかかっていた。
やがて、悦子は、自分のカバンの中を見ようとベッドを抜け出した。
国子のカバンのことばかり考えていたので、帰宅しても自身のカバンは放ったままにしていたが、中を見てみると、悦子のカバンの中も特に変化は無かった。
悦子は再びベッドに入ると、また考え始めた。
今日は国子との帰り道では、公園に行く前はアイスクリーム屋へ寄っただけだったが、2人でアイスクリームを選び、買っていた間の10分くらいはアイスクリーム屋の外の表のベンチにカバンを置いておいた。
不用心かと思ったが、国子が放り投げるように置いたので、特別、貴重品が入っていなかったため、悦子も国子のカバンと並べて置いたのだが、その間、アイスクリーム屋には誰も来なかった。
となると、誰にも見られずに、私と国子のカバンに触れることが出来た人物がいたかも知れない、と悦子は推理した。
ただ、国子のカバンは盗まれ、中を物色された形跡があったが、中身に変わりは無かった。
悦子は頭を巡らせていたが、やがて、彼女なりの結論に達した。
犯人はアイスクリーム屋の前に置かれていた国子のカバンの中に何かを入れたが、悦子と国子がアイスクリーム屋を後にしようとした際、それぞれのカバンを持つのを見て、勘違いしたことに気が付いた。
つまり、悦子のカバンに入れようとした何かを、間違えて国子のカバンに入れてしまったのではないか……そして、焦った犯人は悦子たちを尾け、悦子らが公園に寄り、ベンチにカバンを置いたので、これ幸いと思い、国子のカバンから何かを取り出そうとしたが、悦子らが戻って来たので、慌てて、国子のカバンを持って、逃げてしまったのではないか……。
そして、誰にも見られないように、雑木林の中で国子のカバンをあさり、何かを取り出し、カバンを置いて、去ったのではないか……。
しかし、推理が正しいか否か、確かめようが無かったので、悦子は諦めて、ため息をついたのだった。
時を同じくして、悦子や国子のクラスメイトである1人の男子高生が、悦子のものと勘違いして、国子のカバンに入れた便箋をビリビリに破り、大きなため息をついていた。
それは悦子に対する思いの丈を込めた手紙であったのだが、悦子は知る由も無かったのである。
(*Prologueに投稿したものを多少修正し、再投稿したものです)
初めはベンチに座って食べていたが、国子が雀を見つけたため、2人はベンチを離れ、アイスクリームのコーンの部分を少し分けてあげた、
その間、5分くらいだっただろうか、ベンチに戻ると、置いておいた国子のカバンが無くなっていた。
悦子らの高校のカバンは指定されたものとなっていて、色は紺色だった。
悦子のカバンは置いてあったが、国子のものは消えていたので、国子はアレ?と言い、悦子もン?と思い、2人は周辺を探し回ったが、どこにも見当たらなかった。
悦子は誰かが持ち去ったのではないかと思い、周りを見渡してみると、ちょうど高校の帰宅時間だったため、公園内の道を1人だったり、数人の女子高生が固まってワイワイ話しながら歩いているのが見えたが、皆、同じようなカバンを持っていたので、国子のカバンかどうか、判別出来なかった。
悦子は頭の中で色々考えていたが、我に帰ると、国子が半べソをかいていた。
悦子は国子の肩を抱きながら、ベンチに座らせて、ハンカチを取り出し、国子の涙を拭ってあげた。
私たちがベンチを離れたのは、ほんの数分だったから、カバンが羽を生やして飛んでいかない限り、勝手に消えてしまうことは有り得ないので、やはり誰かが盗んだとしか思えない……悦子は国子を介抱しながら、考えていた。
やがて、少し落ち着いた国子は悦子に伴われ、歩き出し、学校に戻ってみようかとも思ったが、警察に行く方が良い気がして、交番に向かうことにした。
ヨロヨロと歩く国子を抱き抱えながら、悦子は親友を苦しめた輩に強い憤りを覚えていたものの、グッと気持ちを抑えて、歩いていると、公園を出た少し先に雑木林があるのだが、悦子は何気無く中を覗いてみた。
すると、林を少し入った所に何かが落ちているのが見え、もしやと思った悦子が、国子とともに近付くと、そこには紛れもない国子のカバンが落ちていた。
国子は目を輝かせ、悦子は良かった!と声に出して歩み寄り、何か盗まれていないか、国子はすぐにカバンの中をあさってみたが、どうやら何も失くなってはいないようだった。
ただ、ファスナーが開いていたのを悦子は見逃さなかった。
悦子は国子と別れて、帰宅し、晩御飯を食べ、風呂に入ると、ベッドの中に潜り込んで、考えていた。
誰かが国子のカバンを持ち去ったことは明白であり、中を見たことは間違いないはずだが、何も盗まれていなかった……悦子は何か引っかかっていた。
やがて、悦子は、自分のカバンの中を見ようとベッドを抜け出した。
国子のカバンのことばかり考えていたので、帰宅しても自身のカバンは放ったままにしていたが、中を見てみると、悦子のカバンの中も特に変化は無かった。
悦子は再びベッドに入ると、また考え始めた。
今日は国子との帰り道では、公園に行く前はアイスクリーム屋へ寄っただけだったが、2人でアイスクリームを選び、買っていた間の10分くらいはアイスクリーム屋の外の表のベンチにカバンを置いておいた。
不用心かと思ったが、国子が放り投げるように置いたので、特別、貴重品が入っていなかったため、悦子も国子のカバンと並べて置いたのだが、その間、アイスクリーム屋には誰も来なかった。
となると、誰にも見られずに、私と国子のカバンに触れることが出来た人物がいたかも知れない、と悦子は推理した。
ただ、国子のカバンは盗まれ、中を物色された形跡があったが、中身に変わりは無かった。
悦子は頭を巡らせていたが、やがて、彼女なりの結論に達した。
犯人はアイスクリーム屋の前に置かれていた国子のカバンの中に何かを入れたが、悦子と国子がアイスクリーム屋を後にしようとした際、それぞれのカバンを持つのを見て、勘違いしたことに気が付いた。
つまり、悦子のカバンに入れようとした何かを、間違えて国子のカバンに入れてしまったのではないか……そして、焦った犯人は悦子たちを尾け、悦子らが公園に寄り、ベンチにカバンを置いたので、これ幸いと思い、国子のカバンから何かを取り出そうとしたが、悦子らが戻って来たので、慌てて、国子のカバンを持って、逃げてしまったのではないか……。
そして、誰にも見られないように、雑木林の中で国子のカバンをあさり、何かを取り出し、カバンを置いて、去ったのではないか……。
しかし、推理が正しいか否か、確かめようが無かったので、悦子は諦めて、ため息をついたのだった。
時を同じくして、悦子や国子のクラスメイトである1人の男子高生が、悦子のものと勘違いして、国子のカバンに入れた便箋をビリビリに破り、大きなため息をついていた。
それは悦子に対する思いの丈を込めた手紙であったのだが、悦子は知る由も無かったのである。
(*Prologueに投稿したものを多少修正し、再投稿したものです)
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