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女子高生探偵悦子の独白
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私が探偵に興味を持ち始めたのは、中学生の頃だ。
父が警察官だということがあったのかも知れないが、海外、日本問わず、様々な推理小説を読み漁ったことが大きな理由であることも否めない。
まず初めに読んだのは、エドガー・アラン・ポー原作「モルグ街の殺人」だった。
犯人の意外性を感じ取り、探偵になれば、色んな経験が出来そうだと思った。
次に読んだのは、女流作家、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」。
連続殺人をいかに謎解きしていくか、名探偵エルキュール・ポワロの活躍とともに、おもしろく拝読した。
また、私が女性ということもあるのだろうか、クリスティ作品は大好きである。
「そして誰もいなくなった」、「オリエント急行の殺人」、論争を巻き起こした「アクロイド殺し」……うなるものばかりだ。
他にも、エラリー・クイーンの「Yの悲劇」、S・S・ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」なども読み、ますます私の探偵への興味を加速させた。
日本のものとしては、図書館でも見かける、江戸川乱歩の子供向けの作品群から読み始めた。
「怪人二十面相」、「魔術師」、「影男」……名探偵明智小五郎に出会った瞬間、ビビビときたし、少年探偵団ならぬ少女探偵団をつくりたいとも思った。
後に、クリスティの生んだ老婦人ミス・ジェーン・マープル(「予告殺人」など)との出会いも、女性として嬉しい限りだった。
そして、横溝正史の「犬神家の一族」に出会い、殺人の特異性とはこういうものかと感嘆し、前述のポワロや明智と並ぶ名探偵金田一耕助との出会いも運命的に感じたものだ。
「悪魔の手毬唄」、「獄門島」、「八つ墓村」……横溝作品にも大いに魅力を感じた。
さらに、赤川次郎の「三毛猫ホームズ」シリーズを読み、動物が活躍することにも興味が湧いた。
ちなみに、私は猫でも犬でも無く、ハムスターを飼っているが、そのうち探偵に向いているかを調べるため、訓練しようか迷っている。
他にも様々な作家、作品に触れてきたが、ここのところ勉強が忙しく、あまり読めていないし、女子高生探偵となった今、自分の仕事で手一杯でもあった。
さて、私が最初に解決したのは、小学生のいとこである晴夫君が遭遇した「百点満点答案用紙紛失事件」である。
晴夫君が学校から帰宅するまでの間に消えた、人生で初めて百点を取った答案用紙を私は是が非でも見つけてやろうと躍起となったことが、赤川次郎原作の「セーラー服と機関銃」の主人公のように、快感となってしまった。
事件のキーポイントは、帰宅時に晴夫君が立ち寄った駄菓子屋だった。
彼は答案用紙が入ったランドセルを軒先に置いて、友人たちと楽しんでいたのだが、晴夫君に嫉妬した同級生がこっそり盗んだと推理した。
そして、犯人は答案用紙をずっと持っていると、ばれる恐れがあるので、どこかに捨てたか燃やしたと考えた。
ただ、決定的な証拠は無く、一計を案じた。
まず、事情を説明して、やはり百点を取った、頭の良い晴夫君の友人から同じ答案用紙を拝借した。
次に、犯人を含む同級生たちの前で、名前の部分を隠して、百点満点の答案用紙を見せて、もちろん嘘だったが、答案用紙が発見されたことを周知させた。
さらに、やはり嘘であったが、晴夫君の父親が警察の鑑識課に勤めていることにして、答案用紙についた指紋を調べて貰うと話して貰った。
そして、犯人は焦り、確認するためにも、また答案用紙を盗もうとするはずだと推理し、下校後、晴夫君にわざと一人で駄菓子屋に寄らせ、またランドセルを軒先に置かせた。
案の定、犯人は現れ、晴れて御用となったのだが、まだ小学生だということもあり、晴夫君にこのことは公言しないようにお願いすると、私の気持ちをくんでくれて、了解してくれた。
ちなみに、晴夫君を駄菓子屋に単独で寄らせたのも、犯人を他の同級生たちに分からせないようにするためであったが、もちろん同級生が知らずに立ち寄ることも考えた。
そこは、駄菓子屋のおばちゃんに頼み、うまく取り計らって貰った。
結果、犯人の正体は同級生に知られずに済み、ホッとしただけで無く、その後、晴夫君と犯人が親友の間柄となったことも重なり、喜ばしい案件として、私の記憶に残っている。
といった経緯で、今の私がある訳だが、いくら探偵業が楽しくても、この世から全ての犯罪が無くなることを常に切望している……ものの、残念かな、やはり事件は起こるので、引き受けたら、解決に全力を尽くす所存だ。
(*Prologueに投稿したものを加筆など、多少修正し、再投稿したものです)
父が警察官だということがあったのかも知れないが、海外、日本問わず、様々な推理小説を読み漁ったことが大きな理由であることも否めない。
まず初めに読んだのは、エドガー・アラン・ポー原作「モルグ街の殺人」だった。
犯人の意外性を感じ取り、探偵になれば、色んな経験が出来そうだと思った。
次に読んだのは、女流作家、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」。
連続殺人をいかに謎解きしていくか、名探偵エルキュール・ポワロの活躍とともに、おもしろく拝読した。
また、私が女性ということもあるのだろうか、クリスティ作品は大好きである。
「そして誰もいなくなった」、「オリエント急行の殺人」、論争を巻き起こした「アクロイド殺し」……うなるものばかりだ。
他にも、エラリー・クイーンの「Yの悲劇」、S・S・ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」なども読み、ますます私の探偵への興味を加速させた。
日本のものとしては、図書館でも見かける、江戸川乱歩の子供向けの作品群から読み始めた。
「怪人二十面相」、「魔術師」、「影男」……名探偵明智小五郎に出会った瞬間、ビビビときたし、少年探偵団ならぬ少女探偵団をつくりたいとも思った。
後に、クリスティの生んだ老婦人ミス・ジェーン・マープル(「予告殺人」など)との出会いも、女性として嬉しい限りだった。
そして、横溝正史の「犬神家の一族」に出会い、殺人の特異性とはこういうものかと感嘆し、前述のポワロや明智と並ぶ名探偵金田一耕助との出会いも運命的に感じたものだ。
「悪魔の手毬唄」、「獄門島」、「八つ墓村」……横溝作品にも大いに魅力を感じた。
さらに、赤川次郎の「三毛猫ホームズ」シリーズを読み、動物が活躍することにも興味が湧いた。
ちなみに、私は猫でも犬でも無く、ハムスターを飼っているが、そのうち探偵に向いているかを調べるため、訓練しようか迷っている。
他にも様々な作家、作品に触れてきたが、ここのところ勉強が忙しく、あまり読めていないし、女子高生探偵となった今、自分の仕事で手一杯でもあった。
さて、私が最初に解決したのは、小学生のいとこである晴夫君が遭遇した「百点満点答案用紙紛失事件」である。
晴夫君が学校から帰宅するまでの間に消えた、人生で初めて百点を取った答案用紙を私は是が非でも見つけてやろうと躍起となったことが、赤川次郎原作の「セーラー服と機関銃」の主人公のように、快感となってしまった。
事件のキーポイントは、帰宅時に晴夫君が立ち寄った駄菓子屋だった。
彼は答案用紙が入ったランドセルを軒先に置いて、友人たちと楽しんでいたのだが、晴夫君に嫉妬した同級生がこっそり盗んだと推理した。
そして、犯人は答案用紙をずっと持っていると、ばれる恐れがあるので、どこかに捨てたか燃やしたと考えた。
ただ、決定的な証拠は無く、一計を案じた。
まず、事情を説明して、やはり百点を取った、頭の良い晴夫君の友人から同じ答案用紙を拝借した。
次に、犯人を含む同級生たちの前で、名前の部分を隠して、百点満点の答案用紙を見せて、もちろん嘘だったが、答案用紙が発見されたことを周知させた。
さらに、やはり嘘であったが、晴夫君の父親が警察の鑑識課に勤めていることにして、答案用紙についた指紋を調べて貰うと話して貰った。
そして、犯人は焦り、確認するためにも、また答案用紙を盗もうとするはずだと推理し、下校後、晴夫君にわざと一人で駄菓子屋に寄らせ、またランドセルを軒先に置かせた。
案の定、犯人は現れ、晴れて御用となったのだが、まだ小学生だということもあり、晴夫君にこのことは公言しないようにお願いすると、私の気持ちをくんでくれて、了解してくれた。
ちなみに、晴夫君を駄菓子屋に単独で寄らせたのも、犯人を他の同級生たちに分からせないようにするためであったが、もちろん同級生が知らずに立ち寄ることも考えた。
そこは、駄菓子屋のおばちゃんに頼み、うまく取り計らって貰った。
結果、犯人の正体は同級生に知られずに済み、ホッとしただけで無く、その後、晴夫君と犯人が親友の間柄となったことも重なり、喜ばしい案件として、私の記憶に残っている。
といった経緯で、今の私がある訳だが、いくら探偵業が楽しくても、この世から全ての犯罪が無くなることを常に切望している……ものの、残念かな、やはり事件は起こるので、引き受けたら、解決に全力を尽くす所存だ。
(*Prologueに投稿したものを加筆など、多少修正し、再投稿したものです)
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