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序章
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私はかつて、わがまま放題に振る舞ってきた。
自分が気に入らなければ、いかに大切な恋人や親友、はたまた家族に対しても反抗し、理不尽さを押し通した。
周囲からはどう見られていたのだろう…有難いことに私は人間関係には恵まれていたこともあり、特に考えることは無かった。
だが、ある時、恋人と大喧嘩をして、別れ、親友にも言いたい放題、やりたい放題の末に絶交を言い渡された。
私はショックだったが、やっとここで自分というものを省みることができた。
一体、今まで私は何をやっていたのだろう…恋人から三行半を突きつけられたのも、親友と絶縁状態になったのも、そもそも私が相手の意見を全く聞くことも無く、自分本位、自己中心的だったからに他ならないではないか。
私は決めた…自分を変える、変えないといけないのだ!
そこでまずは当たって砕けろという思いで、元彼と何とかコンタクトを取り、平謝りに謝った。
元彼はまさか私が詫びるなんて考えてもいなかったのだろう、驚きで口も聞けなかったが、考えさせて欲しいと言われた。
私は断られるとばかり思っていたので、少しホッとして、あなたの好きな時まで考えてみてと言い残し、ごめんねと再度詫び、帰ろうとすると、元彼が止めた。
君の気持ちは分かった、君は変わろうとしているんだね、じゃあ、僕も君に賭けてみるよとの言葉を貰い、再び付き合うこととなった。
私は嬉しくてポロポロと涙をこぼした…元いや彼はそんな私に当惑しながらも、優しく肩を抱いてくれたので、私は彼の胸に顔を埋めた。
そして、親友とも会い、何度も謝ると、分かったからと言ってくれて、あなた次第だからねとの言葉を続けて貰った。
私は、そうだ、私次第なんだ、私が変われば、皆んなと仲良くできるんだと、改めて自分に強く言い聞かせた。
私は彼に尽くした。
彼が言うことには何でも従った。
彼から旅行に行こうと誘われると、仕事で疲れていても出掛けた。
ある時は従姉妹の結婚式と彼からの誘いがブッキングしてしまったのだが、気を悪くさせてはいけないと思い、どちらも快諾してしまったこともあった。
だが、運良くと言って良いのか、当日は風邪を引いて寝込んでしまい、どちらも円満に断れたため、禍根を残すことは無かったのだが、いつの間にか、私の心に人からの誘いにノーを下すゆとりは消えており、親友に対しても同様だった。
そんなある日だった。
私は1人、食卓に座っていた。
そして、気付くと不思議な感覚にとらわれていた。
凄く気になる…たまたま食卓の上に目立つ傷があったのだが、その傷の存在が頭からこびり付いて離れなくなったのだ。
傷を何とかしなくてはいけない、しかし、傷を元通りにすることは容易では無い…私は焦り、悩んだ。
結局、傷のことが忘れられないまま、私は彼と会った。
傷のことにこだわっていたため、不安な私の気持ちを彼は察し、何かあったの?と尋ねてきたが、私は笑顔で否定した。
その時の私はどんな顔をしていたのだろうか?…きっと、作り笑いのごとく、不自然極まりなかっただろうが、傷のことが気になっていたので、仕方無かった。
私は彼と別れた後、ドッと疲れが出たが、帰宅すると、一目散に食卓の傷に目をやった。
相変わらず傷は取れていない…試しに消しゴムを使ってみたが、消える訳が無かった。
じゃあ、食器用洗剤は?…やはり無理だった。
私は落胆し、ベッドに寝転がったが、傷のことが脳裏に焼き付いてしまっており、体はガチガチに緊張していた…先程は何とか耐え抜いたが、次に彼と会う時はどうすれば良いのだろう、もし傷のことが忘れられない私の不快な気持ちにより、彼に嫌な思いをさせてしまったらどうしよう…私は彼に会うのが怖くなった。
私は親友に相談しようとしたが、どう話せばいいんだ?…テーブルの傷が気になって、不安で堪らないと伝えるのか?
私は首を横に振り、おかしく思われるのが関の山だと思い、ここは我慢することにした。
自分が気に入らなければ、いかに大切な恋人や親友、はたまた家族に対しても反抗し、理不尽さを押し通した。
周囲からはどう見られていたのだろう…有難いことに私は人間関係には恵まれていたこともあり、特に考えることは無かった。
だが、ある時、恋人と大喧嘩をして、別れ、親友にも言いたい放題、やりたい放題の末に絶交を言い渡された。
私はショックだったが、やっとここで自分というものを省みることができた。
一体、今まで私は何をやっていたのだろう…恋人から三行半を突きつけられたのも、親友と絶縁状態になったのも、そもそも私が相手の意見を全く聞くことも無く、自分本位、自己中心的だったからに他ならないではないか。
私は決めた…自分を変える、変えないといけないのだ!
そこでまずは当たって砕けろという思いで、元彼と何とかコンタクトを取り、平謝りに謝った。
元彼はまさか私が詫びるなんて考えてもいなかったのだろう、驚きで口も聞けなかったが、考えさせて欲しいと言われた。
私は断られるとばかり思っていたので、少しホッとして、あなたの好きな時まで考えてみてと言い残し、ごめんねと再度詫び、帰ろうとすると、元彼が止めた。
君の気持ちは分かった、君は変わろうとしているんだね、じゃあ、僕も君に賭けてみるよとの言葉を貰い、再び付き合うこととなった。
私は嬉しくてポロポロと涙をこぼした…元いや彼はそんな私に当惑しながらも、優しく肩を抱いてくれたので、私は彼の胸に顔を埋めた。
そして、親友とも会い、何度も謝ると、分かったからと言ってくれて、あなた次第だからねとの言葉を続けて貰った。
私は、そうだ、私次第なんだ、私が変われば、皆んなと仲良くできるんだと、改めて自分に強く言い聞かせた。
私は彼に尽くした。
彼が言うことには何でも従った。
彼から旅行に行こうと誘われると、仕事で疲れていても出掛けた。
ある時は従姉妹の結婚式と彼からの誘いがブッキングしてしまったのだが、気を悪くさせてはいけないと思い、どちらも快諾してしまったこともあった。
だが、運良くと言って良いのか、当日は風邪を引いて寝込んでしまい、どちらも円満に断れたため、禍根を残すことは無かったのだが、いつの間にか、私の心に人からの誘いにノーを下すゆとりは消えており、親友に対しても同様だった。
そんなある日だった。
私は1人、食卓に座っていた。
そして、気付くと不思議な感覚にとらわれていた。
凄く気になる…たまたま食卓の上に目立つ傷があったのだが、その傷の存在が頭からこびり付いて離れなくなったのだ。
傷を何とかしなくてはいけない、しかし、傷を元通りにすることは容易では無い…私は焦り、悩んだ。
結局、傷のことが忘れられないまま、私は彼と会った。
傷のことにこだわっていたため、不安な私の気持ちを彼は察し、何かあったの?と尋ねてきたが、私は笑顔で否定した。
その時の私はどんな顔をしていたのだろうか?…きっと、作り笑いのごとく、不自然極まりなかっただろうが、傷のことが気になっていたので、仕方無かった。
私は彼と別れた後、ドッと疲れが出たが、帰宅すると、一目散に食卓の傷に目をやった。
相変わらず傷は取れていない…試しに消しゴムを使ってみたが、消える訳が無かった。
じゃあ、食器用洗剤は?…やはり無理だった。
私は落胆し、ベッドに寝転がったが、傷のことが脳裏に焼き付いてしまっており、体はガチガチに緊張していた…先程は何とか耐え抜いたが、次に彼と会う時はどうすれば良いのだろう、もし傷のことが忘れられない私の不快な気持ちにより、彼に嫌な思いをさせてしまったらどうしよう…私は彼に会うのが怖くなった。
私は親友に相談しようとしたが、どう話せばいいんだ?…テーブルの傷が気になって、不安で堪らないと伝えるのか?
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