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超子、子供たちに涙する
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仕事から帰宅すると、長男が泣いていたので、超子はどうしたのかと思い、聞けば、お姉ちゃんにぶたれたと言う。
特に頬が腫れている訳では無かったが、少しばかり赤くなっていた。
何があったの?と尋ねると、意外な言葉が返って来た。
「…お姉ちゃんたらさ、ケチなんだよ。あと何日かでお小遣い日なのに、お金、貸してって言っても断るんだ」
超子は軽く腕組みをしながら、尋ねた。
「…そうなの。何に使うの?ママに言ってくれれば良かったのに」
すると、長男はハッとし、押し黙り、慌てた感じで長女がやって来た。
「…ごめんごめん…あ、ママは心配しなくていいのよ。いつもママにばかりおねだりするのは良くないから、私が貸すわ…」
長女の言葉に、有難うと言い、何故か焦った様子の長男は話し始めた。
「…いつもお世話になっているから、今回はママには頼みたくなかったんだ。だから、お姉ちゃんにお願いしたんだ…お姉ちゃん、もう大丈夫だよ…」
超子は呆気なく解決してしまったことに違和感を覚えたが、丸く収まるに越したことはなかった。
そんな超子の姿を子供たちはじっと見つめていた。
その夜、ひと通り家事を終えた超子は居間のソファに座り、ウトウトしていた。
いつもなら、DVDレコーダーに撮りためておいたドラマを観たり、新聞を読むのだが、疲れていたのか、もう少しで寝る寸前だった。
すると、そっと居間の扉が開いた…超子は気怠さを覚えていたので、深く考えずに目を閉じ続けていたのだが、入って来たのは、子供たちだった。
長女が入り、次に長男…何事かと思っていると、それぞれ何やら後ろ手に忍ばせておいたものを手前に差し出し、そっと超子が座るソファの前のテーブルに置いたかと思うと、一目散に扉を出て、姿を消した。
超子は、何だと思い、テーブルの上に手を伸ばした…そこには手紙とともに、新品らしきコードレス式の電動マッサージ機が入った箱があった。
超子は手紙を開き、目で追った。
「ママへ。いつも有難う。ママはパパが天国に行ってしまったあとも元気に色々とやってくれていますが、たまに寂しそうな顔をしたり、ため息をついたり、腰を痛そうにしているのを見ると、ママもたいへんなんだなと思います。ママ、無理しないで、体の疲れを取ってね」
目からポタリと一粒の雫を溢れ落とすと、超子は電動マッサージ機を手に取り、スイッチを押した…しかし、動かなかった。
どうやら、十分に充電されていないか、電池が入っていないか…超子は愛らしい失敗にクスクス笑った。
母の日は過ぎていたが、子どもたちにしては高価な買い物に感謝しきりの超子であった。
趣旨がずれているかとも思いましたが、子供たちの母親への想いを込め、「カネというものはチマチマ使うより、ここぞというときは一気に使え。その方が、効果は何倍も大きい」との田中氏の言葉を基にして、書かせて頂きました。
特に頬が腫れている訳では無かったが、少しばかり赤くなっていた。
何があったの?と尋ねると、意外な言葉が返って来た。
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超子は軽く腕組みをしながら、尋ねた。
「…そうなの。何に使うの?ママに言ってくれれば良かったのに」
すると、長男はハッとし、押し黙り、慌てた感じで長女がやって来た。
「…ごめんごめん…あ、ママは心配しなくていいのよ。いつもママにばかりおねだりするのは良くないから、私が貸すわ…」
長女の言葉に、有難うと言い、何故か焦った様子の長男は話し始めた。
「…いつもお世話になっているから、今回はママには頼みたくなかったんだ。だから、お姉ちゃんにお願いしたんだ…お姉ちゃん、もう大丈夫だよ…」
超子は呆気なく解決してしまったことに違和感を覚えたが、丸く収まるに越したことはなかった。
そんな超子の姿を子供たちはじっと見つめていた。
その夜、ひと通り家事を終えた超子は居間のソファに座り、ウトウトしていた。
いつもなら、DVDレコーダーに撮りためておいたドラマを観たり、新聞を読むのだが、疲れていたのか、もう少しで寝る寸前だった。
すると、そっと居間の扉が開いた…超子は気怠さを覚えていたので、深く考えずに目を閉じ続けていたのだが、入って来たのは、子供たちだった。
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超子は、何だと思い、テーブルの上に手を伸ばした…そこには手紙とともに、新品らしきコードレス式の電動マッサージ機が入った箱があった。
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「ママへ。いつも有難う。ママはパパが天国に行ってしまったあとも元気に色々とやってくれていますが、たまに寂しそうな顔をしたり、ため息をついたり、腰を痛そうにしているのを見ると、ママもたいへんなんだなと思います。ママ、無理しないで、体の疲れを取ってね」
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どうやら、十分に充電されていないか、電池が入っていないか…超子は愛らしい失敗にクスクス笑った。
母の日は過ぎていたが、子どもたちにしては高価な買い物に感謝しきりの超子であった。
趣旨がずれているかとも思いましたが、子供たちの母親への想いを込め、「カネというものはチマチマ使うより、ここぞというときは一気に使え。その方が、効果は何倍も大きい」との田中氏の言葉を基にして、書かせて頂きました。
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