15 / 18
超子、感謝する
しおりを挟む
「おはよう!」
話は再び超子が高校生の生徒会時に遡る。
超子が元気良く声を掛けた先には副会長であり、超子の幼馴染みで、おかっぱ頭の咲恵がいたのだが、何やら1人ブツブツ呟いていた。
「…咲ちゃん、どうしたの?何かあった?」
超子が再度話し掛けると、咲恵は明らかに不服そうな顔をして、ロングヘアーの超子を見た。
「…おはよう。今日も良い天気ね、なんて呑気なことを言いたいんだけど、生徒会に文句ばかり言ってくる人たちって一体何なの!って怒鳴りたくなるのよ。こっちは一生懸命やってるのにさ…」
すると、咲恵の愚痴が聞こえたのか、横から短髪姿のある部活の部長が顔を覗かせて来た。
「…あら、そうかしら。私の部の活動費から見ると、生徒会のかたがたは随分潤っているように見えるんだけど…」
嫌味ったらしい言葉がスッポリと収まるとはこのことを言うのだろうが、咲恵も負けていなかった。
「…そんなことないわよ。超子も知ってる通り、生徒会室には花さえ置いてないわよ…正確に言えば、一輪挿しで何とか煌びやかにしているの」
咲恵も同じく思い切り嫌味を放った。
部長はウウンと唸ったが、お手上げとでも言うかのように、両手を開いて、上に上げた。
「…ま、いくら言い合っても埒が開かないわね…要は生徒会云々と言うより、社会情勢や政治がうまく機能していないから、こんなことになるのよ。生徒会は学生たちから見れば権力を持っているように見えるけど、あなたたちよりもさらに上の人間がしっかりしていないから、こんなことになるのね…ごめんなさい、私が馬鹿だったわ」
それを聞いた咲恵は何と言ったら良いか分からず、超子を見ると、超子は超子で何やらトークを試みたい様子に見えるくらい、今にも口から言葉の塊が飛び出て来そうだった。
そして、深いため息をつくと、超子は言った。
「…私たち、お互い、言い合っても仕方ないのは賛成だけど、まだまだやれることがあるかも知れないのに、それを考えずに社会や政治のせいにして良いのかと私は思う…確かに色んなことがあるし、不満も言いたくなるだろうけど、まずは今の状況に感謝すべきだと感じるわ。世界中を見渡せば、私たちの年齢で、大変な目に遭っている人たちだっている訳だしね。それに比べれば、私たちって恵まれているわよね。明日、明後日、死ぬか生きるか分からないなんて考えたことなんて無いんだし…さ、不毛な議論はやめて、どうすれば部活を維持するにあたって良くなるか、考えてみましょ」
そう言うと、超子は鞄を持ったまま手を広げ、颯爽と数回転クルクルしたのだが、超子曰く、きまった!と思ったのは彼女自身の幻想としか言いようが無かった。
何故か、超子がハッとして見渡すと、咲恵や部長だけで無く、周りの目がかなり痛かったからだ。
格好良くきめるには場の雰囲気も考えなくてはならない…顔を赤らめた超子は反省しきりだったが、咲恵らは内心笑ってもいて、平和な場であることも間違い無かった。
「君達ね、自分の置かれている立場を有り難てェことだと思わんとダメですよ。寝言を言ったり不満ばかり言っている奴は、人生終わるまで不満を抱き続ける人間になるぞ。社会が悪い、政治が悪いなんて言って、一体何があるんだ。人に貢献できるようになってから言うべきじゃ」との田中氏の言葉を基にして、書かせて頂きました。
話は再び超子が高校生の生徒会時に遡る。
超子が元気良く声を掛けた先には副会長であり、超子の幼馴染みで、おかっぱ頭の咲恵がいたのだが、何やら1人ブツブツ呟いていた。
「…咲ちゃん、どうしたの?何かあった?」
超子が再度話し掛けると、咲恵は明らかに不服そうな顔をして、ロングヘアーの超子を見た。
「…おはよう。今日も良い天気ね、なんて呑気なことを言いたいんだけど、生徒会に文句ばかり言ってくる人たちって一体何なの!って怒鳴りたくなるのよ。こっちは一生懸命やってるのにさ…」
すると、咲恵の愚痴が聞こえたのか、横から短髪姿のある部活の部長が顔を覗かせて来た。
「…あら、そうかしら。私の部の活動費から見ると、生徒会のかたがたは随分潤っているように見えるんだけど…」
嫌味ったらしい言葉がスッポリと収まるとはこのことを言うのだろうが、咲恵も負けていなかった。
「…そんなことないわよ。超子も知ってる通り、生徒会室には花さえ置いてないわよ…正確に言えば、一輪挿しで何とか煌びやかにしているの」
咲恵も同じく思い切り嫌味を放った。
部長はウウンと唸ったが、お手上げとでも言うかのように、両手を開いて、上に上げた。
「…ま、いくら言い合っても埒が開かないわね…要は生徒会云々と言うより、社会情勢や政治がうまく機能していないから、こんなことになるのよ。生徒会は学生たちから見れば権力を持っているように見えるけど、あなたたちよりもさらに上の人間がしっかりしていないから、こんなことになるのね…ごめんなさい、私が馬鹿だったわ」
それを聞いた咲恵は何と言ったら良いか分からず、超子を見ると、超子は超子で何やらトークを試みたい様子に見えるくらい、今にも口から言葉の塊が飛び出て来そうだった。
そして、深いため息をつくと、超子は言った。
「…私たち、お互い、言い合っても仕方ないのは賛成だけど、まだまだやれることがあるかも知れないのに、それを考えずに社会や政治のせいにして良いのかと私は思う…確かに色んなことがあるし、不満も言いたくなるだろうけど、まずは今の状況に感謝すべきだと感じるわ。世界中を見渡せば、私たちの年齢で、大変な目に遭っている人たちだっている訳だしね。それに比べれば、私たちって恵まれているわよね。明日、明後日、死ぬか生きるか分からないなんて考えたことなんて無いんだし…さ、不毛な議論はやめて、どうすれば部活を維持するにあたって良くなるか、考えてみましょ」
そう言うと、超子は鞄を持ったまま手を広げ、颯爽と数回転クルクルしたのだが、超子曰く、きまった!と思ったのは彼女自身の幻想としか言いようが無かった。
何故か、超子がハッとして見渡すと、咲恵や部長だけで無く、周りの目がかなり痛かったからだ。
格好良くきめるには場の雰囲気も考えなくてはならない…顔を赤らめた超子は反省しきりだったが、咲恵らは内心笑ってもいて、平和な場であることも間違い無かった。
「君達ね、自分の置かれている立場を有り難てェことだと思わんとダメですよ。寝言を言ったり不満ばかり言っている奴は、人生終わるまで不満を抱き続ける人間になるぞ。社会が悪い、政治が悪いなんて言って、一体何があるんだ。人に貢献できるようになってから言うべきじゃ」との田中氏の言葉を基にして、書かせて頂きました。
1
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
(R18) 女子水泳部の恋愛事情(水中エッチ)
花音
恋愛
この春、高校生になり水泳部に入部した1年生の岡田彩香(おかだあやか)
3年生で部長の天野佳澄(あまのかすみ)
水泳部に入部したことで出会った2人は日々濃密な時間を過ごしていくことになる。
登場人物
彩香(あやか)…おっとりした性格のゆるふわ系1年生。部活が終わった後の練習に参加し、部長の佳澄に指導してもらっている内にかっこよさに惹かれて告白して付き合い始める。
佳澄(かすみ)…3年生で水泳部の部長。長めの黒髪と凛とした佇まいが特徴。部活中は厳しいが面倒見はいい。普段からは想像できないが女の子が悶えている姿に興奮する。
絵里(えり)…彩香の幼馴染でショートカットの活発な女の子。身体能力が高く泳ぎが早くて肺活量も高い。女子にモテるが、自分と真逆の詩織のことが気になり、話しかけ続け最終的に付き合い始める。虐められるのが大好きなドM少女。
詩織(しおり)…おっとりとした性格で、水泳部内では大人しい1年生の少女。これといって特徴が無かった自分のことを好きと言ってくれた絵里に答え付き合い始める。大好きな絵里がドMだったため、それに付き合っている内にSに目覚める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる