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0か100か!?
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超子は政治家秘書を目指していたが、生徒会に在籍するうち、まずは身近な教育に取り組みたい意識が強くなり、大学に進学し、教員免許を取得、さらに大学院で専門知識を学び、留学もして、見聞を広めた。
それから、高校時代から付き合い始めた彼と結婚、子供を2人もうけ、共働きのため、昼間は近所に住む両親に子供を世話して貰っていた。
調理や掃除などの家事もこなし、ハードな日常を送っていた超子だったが、家族や教師仲間、生徒に恵まれていたため、充実していた。
そんな超子は生徒会顧問になった訳だが、現生徒会長の下元彩の真っ直ぐに物事を考える純真さは超子の学生時代を彷彿とさせ、懐かしい思いを起こさせた。
超子が担任に色々頼っていたように、やはり彩の担任でもあった超子は何かと彩に気をかけていた。
他の生徒のこともしっかりと見ていたが、彩が生徒会長に立候補すると言い出した時は全力で彩を応援したものだった。
そして、ある放課後、面談室で超子と彩は話していた。
「下元さん、私も生徒会長になった時は担任の先生にあれやこれやと面倒を見て貰ったわ。あなたも遠慮なく何でも言ってね。あ、それでね…」
彩は超子の言葉に身を乗り出した。
「何ですか?」
「うん、あなたは人受けがいいし、何も言うことは無いのだけど、どうも気になることがあってね。下…いえ、彩ちゃん、最近、だいぶ疲れてない?大丈夫?」
超子は自分自身に疲れを感じていたこともあり、他の人に対しても敏感になっていた。
確かに彩の顔は精彩を欠いていた。
「…実は先生が言われた通り、私、最近、少しノイローゼ気味で…あれやこれやと考え過ぎてしまうんです…」
彩のメンタルはさほど強くはないと察していた超子は彩の顔を見つめ、言った。
「…やっぱりそうだったのね。彩ちゃんは真面目な分、自分を追い込みやすいと思っていたから、心配だったのよ。もし良ければ、どんなことで悩んでいるのか、教えてくれないかな?」
超子の優しい言葉に押された形となった彩は、ゆっくりと話し出した。
「…私は超子先生はじめ先生がたや家族、友人や周りの人たちには気にかけて貰っていますし、人間関係の面では問題無いのですが、生徒会の議題に関してはなかなか割り切れなくて…例えば、せっかく助言して貰った超子先生には失礼かと思いましたが、先日決まった図書室に絵を飾るか飾らないかの件(前話の「理想と現実」をご参照下さい)で、飾らない決断をして、隣町の高校に絵を貸し出させてしまい、本当に良かったのかどうか、悩んでしまって…我が校の「決断と実行」の理念を地で行く超子先生なら、こういった時、悩んだり迷ったりしないんだろうなと、偉そうになりますが、感心しているんです。私、本当、割り切れない人間だからなぁ…」
彩は頭を抱え込み、うつむいてしまったので、すかさず超子は彩の肩を抱いた。
「…彩ちゃん、私、そんなに人間出来ていないわよ。まだまだ決断に迷うし、実行を伴わないし…でもね、人間、完璧じゃないから、当たり前だと思うわよ。だけど、私もそうだったように、生徒会長のあなたは決断し、実行に移さなければならない…たいへんだけど、避けられないことよね。それでね、気になったんだけど、あなたの考えだと、0か100かに見えるんだけど、それだと辛くなるのは目に見えてるわよ。特に生徒会長という立場では、余計にね…つまりね、まずは最善の策を提示して、それが駄目なら、次の策、さらにその次の策を示せるようにしておくことが大事だと思うの。まぁ、いわゆる最善と絶対は違うのだから、後のことも考えておかないといけないわ…そう言う私もなかなか上手くいかなかったけど、あなたよりは経験を積んでる身だし、分からなくなったら、いつでも相談に乗るから、遠慮なく言ってね」
超子のスマイルを添えた激励に彩はハイ!と元気よく返事し、可愛い笑顔をのぞかせると、超子もニコニコしながら、大きく頷いた。
そして、前述の絵画については、校長からの一任を取り付けた超子と彩、学芸部長らが隣町の高校に出向き、いつでも良いから次は我が校が絵の借り受けをお願いしたいと話すと、あっさり快諾され、ホッと胸を撫で下ろした超子らであった。
放課後、面談室で超子は彩に言った。
「図書室の書棚は増やす必要があったのは間違いない(「理想と現実」をご参照下さい)ので、最優先にしたのは正しかったし、絵画に関しても軌道に乗ったから、大成功よ…彩ちゃん、自信を持ちなさい」
彩はやはり元気よく笑顔で返事をすると、びっしりと今後の学校に関するアイデアで埋め尽くされた沢山の用紙を鞄の中から取り出したが、あまり無理しないでねと、心の中でつぶやく超子の姿がそこにあった。
「政治家にはオール・オア・ナッシングというのはない。まず最善手を指し、次善、三善の策を考えることだ」との田中氏の言葉を基にして、書かせて頂きました。
それから、高校時代から付き合い始めた彼と結婚、子供を2人もうけ、共働きのため、昼間は近所に住む両親に子供を世話して貰っていた。
調理や掃除などの家事もこなし、ハードな日常を送っていた超子だったが、家族や教師仲間、生徒に恵まれていたため、充実していた。
そんな超子は生徒会顧問になった訳だが、現生徒会長の下元彩の真っ直ぐに物事を考える純真さは超子の学生時代を彷彿とさせ、懐かしい思いを起こさせた。
超子が担任に色々頼っていたように、やはり彩の担任でもあった超子は何かと彩に気をかけていた。
他の生徒のこともしっかりと見ていたが、彩が生徒会長に立候補すると言い出した時は全力で彩を応援したものだった。
そして、ある放課後、面談室で超子と彩は話していた。
「下元さん、私も生徒会長になった時は担任の先生にあれやこれやと面倒を見て貰ったわ。あなたも遠慮なく何でも言ってね。あ、それでね…」
彩は超子の言葉に身を乗り出した。
「何ですか?」
「うん、あなたは人受けがいいし、何も言うことは無いのだけど、どうも気になることがあってね。下…いえ、彩ちゃん、最近、だいぶ疲れてない?大丈夫?」
超子は自分自身に疲れを感じていたこともあり、他の人に対しても敏感になっていた。
確かに彩の顔は精彩を欠いていた。
「…実は先生が言われた通り、私、最近、少しノイローゼ気味で…あれやこれやと考え過ぎてしまうんです…」
彩のメンタルはさほど強くはないと察していた超子は彩の顔を見つめ、言った。
「…やっぱりそうだったのね。彩ちゃんは真面目な分、自分を追い込みやすいと思っていたから、心配だったのよ。もし良ければ、どんなことで悩んでいるのか、教えてくれないかな?」
超子の優しい言葉に押された形となった彩は、ゆっくりと話し出した。
「…私は超子先生はじめ先生がたや家族、友人や周りの人たちには気にかけて貰っていますし、人間関係の面では問題無いのですが、生徒会の議題に関してはなかなか割り切れなくて…例えば、せっかく助言して貰った超子先生には失礼かと思いましたが、先日決まった図書室に絵を飾るか飾らないかの件(前話の「理想と現実」をご参照下さい)で、飾らない決断をして、隣町の高校に絵を貸し出させてしまい、本当に良かったのかどうか、悩んでしまって…我が校の「決断と実行」の理念を地で行く超子先生なら、こういった時、悩んだり迷ったりしないんだろうなと、偉そうになりますが、感心しているんです。私、本当、割り切れない人間だからなぁ…」
彩は頭を抱え込み、うつむいてしまったので、すかさず超子は彩の肩を抱いた。
「…彩ちゃん、私、そんなに人間出来ていないわよ。まだまだ決断に迷うし、実行を伴わないし…でもね、人間、完璧じゃないから、当たり前だと思うわよ。だけど、私もそうだったように、生徒会長のあなたは決断し、実行に移さなければならない…たいへんだけど、避けられないことよね。それでね、気になったんだけど、あなたの考えだと、0か100かに見えるんだけど、それだと辛くなるのは目に見えてるわよ。特に生徒会長という立場では、余計にね…つまりね、まずは最善の策を提示して、それが駄目なら、次の策、さらにその次の策を示せるようにしておくことが大事だと思うの。まぁ、いわゆる最善と絶対は違うのだから、後のことも考えておかないといけないわ…そう言う私もなかなか上手くいかなかったけど、あなたよりは経験を積んでる身だし、分からなくなったら、いつでも相談に乗るから、遠慮なく言ってね」
超子のスマイルを添えた激励に彩はハイ!と元気よく返事し、可愛い笑顔をのぞかせると、超子もニコニコしながら、大きく頷いた。
そして、前述の絵画については、校長からの一任を取り付けた超子と彩、学芸部長らが隣町の高校に出向き、いつでも良いから次は我が校が絵の借り受けをお願いしたいと話すと、あっさり快諾され、ホッと胸を撫で下ろした超子らであった。
放課後、面談室で超子は彩に言った。
「図書室の書棚は増やす必要があったのは間違いない(「理想と現実」をご参照下さい)ので、最優先にしたのは正しかったし、絵画に関しても軌道に乗ったから、大成功よ…彩ちゃん、自信を持ちなさい」
彩はやはり元気よく笑顔で返事をすると、びっしりと今後の学校に関するアイデアで埋め尽くされた沢山の用紙を鞄の中から取り出したが、あまり無理しないでねと、心の中でつぶやく超子の姿がそこにあった。
「政治家にはオール・オア・ナッシングというのはない。まず最善手を指し、次善、三善の策を考えることだ」との田中氏の言葉を基にして、書かせて頂きました。
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