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三人の精霊と悪魔教団の書・魔導武闘会編

アーサーとルナ

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コロッセオの中二階にあるVIPルームーー

各国の貴族や国王などが魔法武闘会を観戦している。

シーサーとマーリンはその一人一人に挨拶をしている。ーー謂わゆる社交辞令である。

面倒くさがりのシーサーがなぜ? ーー全ては資金援助の為である。

魔法学校の運営資金、コロッセオの維持管理費など全ていろんな国の資金援助で成り立っているのだ。

とてもアヴァロンのみの資金では到底足りない。ーーでは、魔法武闘会のコロッセオで入場料金を徴収すれば良いと思うのが普通である。

しかし、シーサーは断固としてそれを拒む。

無料の訳ーーそれは次世代の子どもたちに魔法騎士団って、強くてカッコいい憧れの存在になってもらいたい。

そして、将来魔法学校を出て魔法騎士団を目標にしてほしいという願いから無料にこだわっているのだ。

全ては、次世代に継承し繋ぐ為であるーー

★  ★  ★


「大会は方は順調か? 結果はどうなってる」

シーサーはグラス片手に各国の貴族の相手をしている。

「まだCグループよ。 あなたの呼んだ円卓の魔導士たちがステージを毎回破壊してくれてその修復作業に手間をとられてるみたいよ」

シーサーは一目を気にせず大笑いした。

「アイツら、らしいじゃないか。 お祭りは目立ってこそだからな」

「このペースだと一日では全ての試合を消化出来ないわよ。 どうするつもり」

「そうなれば魔法武闘会自体を延長させてもいいじゃない? 」

グラスの中身を口に注ぎ込んで笑ってみせるシーサー。

「はあ? 何言ってるの。 一日延長するれば運営資金がいくらかかると思ってるの」

呆れ顔でシーサーに詰め寄る。ーーシーサーがマーリンの背中に手を回し自分の方に抱き抱えるように引き寄せ耳元で囁いた。

「金なんてどうにでもなるーー」

マーリンの頭をポンと叩きそのまま貴族達の人混みの中に消えていった。


★  ★  ★

「只今、Bグループ選手の救出作業とステージ修復作業中ですのでしばらくお待ちください」


箒や絨毯に乗った救出部隊が忙しなく巨大な穴を行ったり来たりしているーー

改めて見ると凄まじい威力の魔法だーー底が見えない程の巨大な穴ーー広いステージ全面が陥没する程の広さ。

「いやあ、ついついチカラを入れ過ぎちゃったよ」

全く反省の色はなく自己満足といった表情を浮かべている。

「ステージを破壊する必要は全くなかったわよ。 おかげでまた中断よ」

メーディアは呆れて肩をすくめていた。

「アーサーの姿が見えないみたいだがーー」

キルケーが辺りをキョロキョロと見回す。

「さっき、ルナとふたりで行っちゃったの」

エルザが少し顔を膨らませている。

「二人きりで話したいことがあるんだってーー」

リサは不安気な表情を明らさまに浮かべてソワソワして落ち着きがない。

「二人とも大丈夫ですわ。 ルナには好きな人がいてまだその方のことが大好きとおっしゃってたじゃない」

シルフィーは自分にも言い聞かすようにリサとエルザに言い聞かすが全然説得力に欠けていた。

そんな三人を見て微笑ましく見ているメーディア、リリス、キルケーだった。

「アーサーはモテモテだなあ。 こんな可愛い娘を三人も不安にさせて隅に置けないね」

キルケーはケラケラと笑いながらどこかへ行ってしまった。

リリスは、三人の精霊たちの気持ちを考えるとアーサーにお申し訳ないお願いをしてしまったんじゃないかと言う不安に襲われた。


「アーサー様・・・ルナと何話しるの」

リサは不安でいっぱいだったーー


★  ★  ★


先ほどメイザースと話をしていた控え室から少し離れた人通りの少ない場所にルナを呼び出したーー

「どうしたのアーサーさん。 二人きりで何てあの子達がヤキモチ焼いてるわよ」

まさに図星である。ーーアーサーも苦笑いを浮かべた。

「リリスから相談を受けたんだ。 もう少しで前のパートナーと契約が切れて一年経つんだろ」

アーサーの言葉にルナの表情が曇るーー

「ーーだったら何だって言うの? あなたには関係のない話でしょ」

「こんな話を聞いて放っておける訳ないだろ。 友達が消えてしまうと分かっていて黙って見過ごす事なんて出来るわけないじゃないか」

ルナの表情が厳しくなる。

「あなたに何が出来るの。 好きでもないあなたと契約何てすると思う?  私の最初で最後のパートナーはアクセルだけよ。 彼を失った時から私の運命はもう決まっていたし後悔はないわ。だから放っておいて」

アーサーを突き放すように厳しい口調で言い放ったーー

しかしーーアーサーも食い下がる。

「君を失いたくないと思ってる人達もいるよ。 この話をウチの精霊たちが聞いたら何て言うと思う? リリスだって君を失いたくないから俺に頼んで来たんじゃないのか」

「ーーあなたと契約しろって事? 冗談じゃないわ。 私の全ては今もアクセルの物よ、 心から好きでもない人と契約何て死んでも御免よ」

断固としてアーサーとの契約を拒むルナ。

相思相愛と後に聞かされてからは毎日アクセルの墓参りを欠かせたことは無かったし、それこそ毎日一日中墓の前から離れることはない程アクセルを愛していた。

そんな彼女が新しいパートナーと契約をするはずもない。

「俺と契約をする必要はないが行動は共にしてもらう。 ホーエンハイムには当分帰れないと思ってくれ」

「どういう事ーー」

「契約と同じ半径1キロ以内または、俺の指定した範囲内から出ない事を条件とした限定行動制限が条件で君を縛る」

アーサーは目を閉じ真っ白な空間をイメージする。

もう一人の自分が箱を持って来た。

ーー 今の僕ならキミと上手くやれる ーー

箱を開けた瞬間ーースイッチが入る。


ルナが驚きの表情を浮かべたーー

「その瞳は、あの時のーー」

「この金色の瞳エンペラーアイで君を助けたいんだ」

「アーサーさん・・・」


ルナは、下を向いて考えていたーー



「永らくお待たせしました。Cグループ予選が始まります。 選手の皆さんはステージにお集まりください」




ーー ルナの決断・精霊たちの反応は ーー
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