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第3章: 三人の精霊と俺の時空ラビリンス
2度目のホーエンハイムの攻防①
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川の流れる音がまるでメロディーを奏でているように心地よい。
たまに吹くそよ風がほほを優しく撫でる。
ホーエンハイムの領地内の森を城に向かって歩くアーサー。
その周りをふわふわと三人の精霊がはしゃぎながら飛び回っている。
トランスポートを使い予想以上に早くホーエンハイムに着くことが出来た。
前の世界でもまだホーエンハイムにクルセーダーズは攻めて来ていないはずだ。
アーサーの中で不安がいくつかあったのだ。
一つ目は、本当にクルセーダーズは攻めてくるのか?
神聖教はトランスポートを造って世界中に提供するほどの教団なのだ。
その教団が国に戦争を仕掛けるとは思えないのだ。
二つ目は、母メリジェーヌが生きていた事。
前の世界ではクリスタルパレスで魔女狩りに遭い死亡していた。
この世界では魔女狩りは無かったのか?
「ホーエンハイムに敵が来なければルナは、アクセルと契約しないからその方が都合が良いのは確かなのだが」
「そうですわね。その方が平和的ですし面倒なことにはなりません」
森を抜けると、見慣れたホーエンハイムの城が現れた。
城を護衛しているのはやはり猫族だ。
この辺りは前の世界と変わらない。
アーサー達が門兵に近づくと、
「ホーエンハイムの城にようこそにゃ。
通行証の提示をお願いしますにゃ」
通行証?
前の世界ではそんな物なかったな。
「えっと、今無いんです。
キャメロットのアーサーと言う者ですが、
アクセル王子とお話がしたいんですが」
「キャメロットのアーサー様・・・
少々お待ちくださいにゃ」
門兵は少し驚いたような顔をして、
何事かを別の兵士に告げる。
数分、城の門の前で立たされると裏口に案内されそこから入れてもらえる事に。
「キャメロットのアーサー様、
アクセル王子がお会いしてくれるそうですにゃ。今からご案内いたしますにゃ」
この案内してくれる猫兵士を俺たちは知っている。
キャットハンズの三毛猫のミケだ。
三人の精霊も知ってはいるがあえてそこは触れないでいた。
ホーエンハイム城のエントランスでアクセル王子が出迎えてくれた。
その傍らに可愛らしい猫の姿、メルルだ。
「やあ、初めましてホーエンハイムの王子アクセルだ」
手を差し出すアクセル。
「キャメロットのアーサーです」
堅く握手を交わす。
初めましてアクセルと会ったのだが、
なぜか随分前からの知り合いのような感覚がする。
「君と今日初めて会ったのだが、不思議とそんな感じがしないな」
アーサーが思っていた事を先に口にするアクセル。
「はい。私も同じことを思っていました」
アクセルがアーサーの顔を見ながら、
「君とは良い友人に慣れそうだ」
と、ニシシシと白い歯を見せ笑った。
☆
アーサーたちは応接間に通された。
三人の精霊は落ち着きなくキョロキョロと何かを捜している。
「私に何か話があって来たのだろう?」
「はい。お話があります。
信じてもらえるかどうか分かりませんが」
アーサーが真剣な眼差しでアクセルを見つめる。
「君とは良い友人になれると先ほど言ったばかりじゃないか。友の言葉を信じぬ事はない。申してみろ」
前の世界からリセットして来たこと。
前の世界では新聖教クルセーダーズにホーエンハイムは戦争を仕掛けられていた事。
その際にアクセルは命を落とした事。
光の精霊ルナと契約した事。
最終的な世界の崩壊の話をした。
アクセルは思いっきり顔に信じられないと書いてあった。モロに顔に出るタイプだ。
「全然信じられないが嘘を言ってるようには見えないが・・・」
あからさまに動揺するアクセル。
嘘をつけないタイプらしい。
「アクセル王子にはリリスという魔女の幼馴染はいますか?」
「魔法王国クリスタルパレスのお姫様なの」
「魔法王国?とかクリスタルパレスとかは良く分からないが、君たちの知っているリリスかは分からないがいるよ」
やはり魔法王国クリスタルパレスは存在しないのか?
「まあ・・・君の話が全て間違いではないんだが少し今のホーエンハイムの現状と酷似しているところはある」
コホンと咳払いするアクセル。
多分だがアーサーを変人か何かと思ったに違いない。
「キャメロットの天才魔導士とは君のことなんだろ?君の噂は耳にしてるよ」
どんな噂が流れてるんだ?
他国まで知っている程アーサーは有名なのか。
アクセルは話を続ける、
「先ほど話したリリスを狙って他国が我が国を侵略しようと試みているのだ」
やはりリリスは狙われていた。
この辺りの役回りは前回のままなのか。
「リリスが狙われる理由は何でしょうか?」
「彼女は魔法が使えるからだ。
故に魔女と間違えられている」
アクセルは指をパチンと鳴らすと、
メルルが応接間の入り口を開けた。
扉の前には、前回の世界と全く変わらない
リリスの姿がそこにあった。
魔女の特徴である、紫の髪と青い瞳はそのままである。
「初めまして、リリスです。
そしてこの子は私の親友のーー、」
リリスの背後から光り輝く精霊が現れた。
「光の精霊ルナです。お見知り置き」
黄色のメイド服を着て、両足をクロスさせスカートの両端を摘み上げた。
「ルナ!!」
思わず大声を上げるリサ。
その声に反応するルナ。
「リサ・・・」
思わず固まるルナ。
その背後には知っている二つの顔。
「エルザ、シルフィー・・・」
恐る恐る、
「私たちのこと覚えてる?」
不安を押し殺し精一杯の笑顔を見せるリサ。
・・・・・・。
しばらく沈黙が流れ、
「夢の中であなた達と出会ってたの。
精霊学校時代はあんなに嫌ってたのに。
でもね・・・夢の中では凄く仲良しで、
沢山お喋りをして、沢山笑って、一緒に泣いて・・・」
ルナの目に涙が溜まる。
「ーー悲しい別れをしたの」
ルナの目から一筋の雫が溢れる。
それを見た精霊たちも同じように涙が溢れる。
「・・・知ってるよ。全部知ってる」
「私たちは出会った時から友達なの」
「もうサヨナラは御免ですわ」
三人は涙を溢れさせながら笑顔を見せる。
もう止めどなく流れる涙を止める事が出来なかった。
もう二度と会えないと思っていた大切な友達。
それが今、目の前にいるのだ。
衝動を抑えきれずルナに抱き付く三人。
覚えている・・・
この感じ。
この記憶。
この香り・温もり・この笑顔。
あの時も三人をいっぱい泣かせてしまった。
「リサ、エルザ、シルフィー・・・」
三人は「何?」と、顔を上げてルナを見つめる。
「会いたかった」
☆
「アーサー君が訪ねて来てくれて嬉しいのだが、余り時間がなくてなくて相手を出来ないかもしれない。
いつ相手国が攻めてくるか分からんからな」
アクセルは深くため息を吐いた。
「アクセル、ホーエンハイムを狙う国とはどこなんだい?」
アクセルは渋い顔をしリリスとメルルに視線を送る。
リリスとメルルはアクセルに「お話ください」と言わんばかりのアイコンタクトをする。
「聖堂騎士団・・・アヴァロン王国だよ」
えええええええ!!
驚きを通りこしたーーーー。
ーー この世界は何かが違う ーー
たまに吹くそよ風がほほを優しく撫でる。
ホーエンハイムの領地内の森を城に向かって歩くアーサー。
その周りをふわふわと三人の精霊がはしゃぎながら飛び回っている。
トランスポートを使い予想以上に早くホーエンハイムに着くことが出来た。
前の世界でもまだホーエンハイムにクルセーダーズは攻めて来ていないはずだ。
アーサーの中で不安がいくつかあったのだ。
一つ目は、本当にクルセーダーズは攻めてくるのか?
神聖教はトランスポートを造って世界中に提供するほどの教団なのだ。
その教団が国に戦争を仕掛けるとは思えないのだ。
二つ目は、母メリジェーヌが生きていた事。
前の世界ではクリスタルパレスで魔女狩りに遭い死亡していた。
この世界では魔女狩りは無かったのか?
「ホーエンハイムに敵が来なければルナは、アクセルと契約しないからその方が都合が良いのは確かなのだが」
「そうですわね。その方が平和的ですし面倒なことにはなりません」
森を抜けると、見慣れたホーエンハイムの城が現れた。
城を護衛しているのはやはり猫族だ。
この辺りは前の世界と変わらない。
アーサー達が門兵に近づくと、
「ホーエンハイムの城にようこそにゃ。
通行証の提示をお願いしますにゃ」
通行証?
前の世界ではそんな物なかったな。
「えっと、今無いんです。
キャメロットのアーサーと言う者ですが、
アクセル王子とお話がしたいんですが」
「キャメロットのアーサー様・・・
少々お待ちくださいにゃ」
門兵は少し驚いたような顔をして、
何事かを別の兵士に告げる。
数分、城の門の前で立たされると裏口に案内されそこから入れてもらえる事に。
「キャメロットのアーサー様、
アクセル王子がお会いしてくれるそうですにゃ。今からご案内いたしますにゃ」
この案内してくれる猫兵士を俺たちは知っている。
キャットハンズの三毛猫のミケだ。
三人の精霊も知ってはいるがあえてそこは触れないでいた。
ホーエンハイム城のエントランスでアクセル王子が出迎えてくれた。
その傍らに可愛らしい猫の姿、メルルだ。
「やあ、初めましてホーエンハイムの王子アクセルだ」
手を差し出すアクセル。
「キャメロットのアーサーです」
堅く握手を交わす。
初めましてアクセルと会ったのだが、
なぜか随分前からの知り合いのような感覚がする。
「君と今日初めて会ったのだが、不思議とそんな感じがしないな」
アーサーが思っていた事を先に口にするアクセル。
「はい。私も同じことを思っていました」
アクセルがアーサーの顔を見ながら、
「君とは良い友人に慣れそうだ」
と、ニシシシと白い歯を見せ笑った。
☆
アーサーたちは応接間に通された。
三人の精霊は落ち着きなくキョロキョロと何かを捜している。
「私に何か話があって来たのだろう?」
「はい。お話があります。
信じてもらえるかどうか分かりませんが」
アーサーが真剣な眼差しでアクセルを見つめる。
「君とは良い友人になれると先ほど言ったばかりじゃないか。友の言葉を信じぬ事はない。申してみろ」
前の世界からリセットして来たこと。
前の世界では新聖教クルセーダーズにホーエンハイムは戦争を仕掛けられていた事。
その際にアクセルは命を落とした事。
光の精霊ルナと契約した事。
最終的な世界の崩壊の話をした。
アクセルは思いっきり顔に信じられないと書いてあった。モロに顔に出るタイプだ。
「全然信じられないが嘘を言ってるようには見えないが・・・」
あからさまに動揺するアクセル。
嘘をつけないタイプらしい。
「アクセル王子にはリリスという魔女の幼馴染はいますか?」
「魔法王国クリスタルパレスのお姫様なの」
「魔法王国?とかクリスタルパレスとかは良く分からないが、君たちの知っているリリスかは分からないがいるよ」
やはり魔法王国クリスタルパレスは存在しないのか?
「まあ・・・君の話が全て間違いではないんだが少し今のホーエンハイムの現状と酷似しているところはある」
コホンと咳払いするアクセル。
多分だがアーサーを変人か何かと思ったに違いない。
「キャメロットの天才魔導士とは君のことなんだろ?君の噂は耳にしてるよ」
どんな噂が流れてるんだ?
他国まで知っている程アーサーは有名なのか。
アクセルは話を続ける、
「先ほど話したリリスを狙って他国が我が国を侵略しようと試みているのだ」
やはりリリスは狙われていた。
この辺りの役回りは前回のままなのか。
「リリスが狙われる理由は何でしょうか?」
「彼女は魔法が使えるからだ。
故に魔女と間違えられている」
アクセルは指をパチンと鳴らすと、
メルルが応接間の入り口を開けた。
扉の前には、前回の世界と全く変わらない
リリスの姿がそこにあった。
魔女の特徴である、紫の髪と青い瞳はそのままである。
「初めまして、リリスです。
そしてこの子は私の親友のーー、」
リリスの背後から光り輝く精霊が現れた。
「光の精霊ルナです。お見知り置き」
黄色のメイド服を着て、両足をクロスさせスカートの両端を摘み上げた。
「ルナ!!」
思わず大声を上げるリサ。
その声に反応するルナ。
「リサ・・・」
思わず固まるルナ。
その背後には知っている二つの顔。
「エルザ、シルフィー・・・」
恐る恐る、
「私たちのこと覚えてる?」
不安を押し殺し精一杯の笑顔を見せるリサ。
・・・・・・。
しばらく沈黙が流れ、
「夢の中であなた達と出会ってたの。
精霊学校時代はあんなに嫌ってたのに。
でもね・・・夢の中では凄く仲良しで、
沢山お喋りをして、沢山笑って、一緒に泣いて・・・」
ルナの目に涙が溜まる。
「ーー悲しい別れをしたの」
ルナの目から一筋の雫が溢れる。
それを見た精霊たちも同じように涙が溢れる。
「・・・知ってるよ。全部知ってる」
「私たちは出会った時から友達なの」
「もうサヨナラは御免ですわ」
三人は涙を溢れさせながら笑顔を見せる。
もう止めどなく流れる涙を止める事が出来なかった。
もう二度と会えないと思っていた大切な友達。
それが今、目の前にいるのだ。
衝動を抑えきれずルナに抱き付く三人。
覚えている・・・
この感じ。
この記憶。
この香り・温もり・この笑顔。
あの時も三人をいっぱい泣かせてしまった。
「リサ、エルザ、シルフィー・・・」
三人は「何?」と、顔を上げてルナを見つめる。
「会いたかった」
☆
「アーサー君が訪ねて来てくれて嬉しいのだが、余り時間がなくてなくて相手を出来ないかもしれない。
いつ相手国が攻めてくるか分からんからな」
アクセルは深くため息を吐いた。
「アクセル、ホーエンハイムを狙う国とはどこなんだい?」
アクセルは渋い顔をしリリスとメルルに視線を送る。
リリスとメルルはアクセルに「お話ください」と言わんばかりのアイコンタクトをする。
「聖堂騎士団・・・アヴァロン王国だよ」
えええええええ!!
驚きを通りこしたーーーー。
ーー この世界は何かが違う ーー
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