207 / 216
ティータイム
s・BBQ
しおりを挟む
「今日はBBQをするわよ!!」
何の突拍子もなくミーナが言い始める。
「びーびーきゅーなの?」
「違うわよ、バーヴェキューよ」
ヴェの発音が大事だと強くエルザに主張するリサ。
なのなのと、メモを取るエルザ。
「どっちでも良いわよ。
お外で網や鉄板でお肉を焼いて食べるのですわ」
シルフィーはアホ草と二人を無視する。
「お外でご飯たべるの!!」
「そうよ。お外でみんなでワイワイしながら食べるのよ」
ミーナとエルザはすでに大はしゃぎだ。
アーサーは想像しただけで準備と片付けが大変で気が重くなっている。
「アーサーさん、何かノリ悪くない?」
「えっ!そ、そんな事ないですよ。
ははは、タノシミダナ」
「カタコトになってるわよ」
最近のミーナは怖いです。
☆ ☆ ☆
頭に手ぬぐいを巻いて、エプロン姿の気合いの入った男性が腕組みをして仁王立ちをして待っている。
BBQをするのに必要な物が既に用意されていている。
「遅かったな!さあ、始めようか」
「に、兄さん・・・」
気合いの入った男性の正体はフレディだった。
「ミーナに招待されてな、BBQの肉の焼き方には私は少々こだわりがあるだ」
トングを持ちカチカチと音を鳴らしている。
「お兄様カッコイイの」
エルザがフレディを煽る。
フレディも白い歯を見せ格好つける。
「おーいミーナ食材を持って来たぞ」
ミーナのお兄さんが大量の食材を木箱に入れて持って来てくれた。
「こんなにたくさん?僕らだけでは食べきれないよ」
「いやいや、まだまだあるわよ!」
ええーーーっ!!!
そう思った矢先、
「ハアーイ。ミーナ頼まれた物持って来たわよ。あらー、ずいぶん沢山の食材ね」
ミランダは焼肉のタレと書かれたビンを数本持って現れた。
「はい、まだまだ食材は届きますよ。
ミランダ様ありがとうございます」
「まあ、あの人数を集めればこの位は必要かしらね。お代はウチが出すから後で請求してね。ウチの弟がいつも世話になっている御礼よ」
「じゃあ素直にありがとうございます」
ミーナはペロッと舌を出した。
☆ ☆ ☆
フレディはまさに鬼神だったーー。
BBQで一番大切な事は何か・・・
それは、「如何に食材を焦がさずに焼くか」だ。
彼はその一点が、これからのBBQの全てが決まることが分かっていた。
彼のこだわりは火の調節だ。
火おこしからこだわっている。
何と言っても炭火は欠かせない。
炭を丁寧に煙突状に重ねていく。
着火剤の代わりになるのは、天然の着火剤と言われている松ぼっくりを使用する。
途中でエルザに欲しいとねだられたが、完全に拒否してやった!
煙突状にする事で筒の中で上昇気流が起こり常に筒の中に空気が入り込むため、炭に火が行き渡りやすくなのだ。
フレディは団扇でパタパタと扇ぎながら火加減を調節する。
やはり途中でエルザに団扇を奪われそうになるが死守した!
うん、完璧な炎だ。
後は、網のセッティングだ。
高温と低温の二種類の焼き方が出来るようにセッティングするのがポイントだ。
常に同じ高温だと火加減の調整が難しく食材を焦がすリスクが上がる。
低温ゾーンは焼き上がった食材を置いておく場所として使ったり、高温ゾーンで「ヤバい食材が焦げそう!」という問題が発生した時にも慌てず隣の低温ゾーンに退避する事で焦げを防ぐ事が可能となるのだ。
この辺を踏まえておくと、焦がさず美味しいお肉を焼く事が出来るのだ!!
フレディは汗を拭いながら自信満々の笑みを浮かべていた。
気付いた時には彼の周りには誰もいなかったーー。
☆ ☆ ☆
ミーナは城下町のみんなに声をかけた。
今日はキャメロットの城下町を挙げてのBBQ祭りだ。
沢山の人たちが街の中央広場に集まってくる。
リサとミランダが炎の魔法を使い次々に肉を焼いていく。
エルザ、シルフィーが街の人たちに焼いたお肉などを配っている。
みんな笑顔で喜んでくれている。
三人の精霊はすっかり街の子供たちの人気者だ。
ひと通り街のみんなに配り終えると、三人の精霊たちは子供たちと遊んでいた。
ふとチラッと、フレディを見ると、
BBQマニアのような人たちと炎をじっと眺めては肉を少し焼いてを繰り返していた。
あそこには行かないようにしようと心に決めるアーサーだったーー。
「アーサーさん、本当は最初はいつも通りにアーサーさんと精霊ちゃんたちだけでBBQをするつもりだったんです」
ミーナがポツリと打ち明ける。
「ここ最近、楽しい話題がなくて暗くなるような出来事しかなかったからせめてこんな時位はみんなに笑顔になってほしかったんです」
ミーナの顔をじっと見つめる。
この子は本当に人の気遣いが出来る素晴らしい子だと改めて思った。
職業柄なのか常に相手の目線で物事が見えている。
普通の人ではまずそこまで考えられない。
アーサーは伝説の英雄でもミーナには勝てないなと彼女に脱帽していた。
「すいません完敗です」
と、アーサーは頭を下げた。
「えっ?えっ?」
ミーナは何事と慌てていたのは言うまでもない。
ミーナには誰も勝てないという、暖かい春の日のお話です。
何の突拍子もなくミーナが言い始める。
「びーびーきゅーなの?」
「違うわよ、バーヴェキューよ」
ヴェの発音が大事だと強くエルザに主張するリサ。
なのなのと、メモを取るエルザ。
「どっちでも良いわよ。
お外で網や鉄板でお肉を焼いて食べるのですわ」
シルフィーはアホ草と二人を無視する。
「お外でご飯たべるの!!」
「そうよ。お外でみんなでワイワイしながら食べるのよ」
ミーナとエルザはすでに大はしゃぎだ。
アーサーは想像しただけで準備と片付けが大変で気が重くなっている。
「アーサーさん、何かノリ悪くない?」
「えっ!そ、そんな事ないですよ。
ははは、タノシミダナ」
「カタコトになってるわよ」
最近のミーナは怖いです。
☆ ☆ ☆
頭に手ぬぐいを巻いて、エプロン姿の気合いの入った男性が腕組みをして仁王立ちをして待っている。
BBQをするのに必要な物が既に用意されていている。
「遅かったな!さあ、始めようか」
「に、兄さん・・・」
気合いの入った男性の正体はフレディだった。
「ミーナに招待されてな、BBQの肉の焼き方には私は少々こだわりがあるだ」
トングを持ちカチカチと音を鳴らしている。
「お兄様カッコイイの」
エルザがフレディを煽る。
フレディも白い歯を見せ格好つける。
「おーいミーナ食材を持って来たぞ」
ミーナのお兄さんが大量の食材を木箱に入れて持って来てくれた。
「こんなにたくさん?僕らだけでは食べきれないよ」
「いやいや、まだまだあるわよ!」
ええーーーっ!!!
そう思った矢先、
「ハアーイ。ミーナ頼まれた物持って来たわよ。あらー、ずいぶん沢山の食材ね」
ミランダは焼肉のタレと書かれたビンを数本持って現れた。
「はい、まだまだ食材は届きますよ。
ミランダ様ありがとうございます」
「まあ、あの人数を集めればこの位は必要かしらね。お代はウチが出すから後で請求してね。ウチの弟がいつも世話になっている御礼よ」
「じゃあ素直にありがとうございます」
ミーナはペロッと舌を出した。
☆ ☆ ☆
フレディはまさに鬼神だったーー。
BBQで一番大切な事は何か・・・
それは、「如何に食材を焦がさずに焼くか」だ。
彼はその一点が、これからのBBQの全てが決まることが分かっていた。
彼のこだわりは火の調節だ。
火おこしからこだわっている。
何と言っても炭火は欠かせない。
炭を丁寧に煙突状に重ねていく。
着火剤の代わりになるのは、天然の着火剤と言われている松ぼっくりを使用する。
途中でエルザに欲しいとねだられたが、完全に拒否してやった!
煙突状にする事で筒の中で上昇気流が起こり常に筒の中に空気が入り込むため、炭に火が行き渡りやすくなのだ。
フレディは団扇でパタパタと扇ぎながら火加減を調節する。
やはり途中でエルザに団扇を奪われそうになるが死守した!
うん、完璧な炎だ。
後は、網のセッティングだ。
高温と低温の二種類の焼き方が出来るようにセッティングするのがポイントだ。
常に同じ高温だと火加減の調整が難しく食材を焦がすリスクが上がる。
低温ゾーンは焼き上がった食材を置いておく場所として使ったり、高温ゾーンで「ヤバい食材が焦げそう!」という問題が発生した時にも慌てず隣の低温ゾーンに退避する事で焦げを防ぐ事が可能となるのだ。
この辺を踏まえておくと、焦がさず美味しいお肉を焼く事が出来るのだ!!
フレディは汗を拭いながら自信満々の笑みを浮かべていた。
気付いた時には彼の周りには誰もいなかったーー。
☆ ☆ ☆
ミーナは城下町のみんなに声をかけた。
今日はキャメロットの城下町を挙げてのBBQ祭りだ。
沢山の人たちが街の中央広場に集まってくる。
リサとミランダが炎の魔法を使い次々に肉を焼いていく。
エルザ、シルフィーが街の人たちに焼いたお肉などを配っている。
みんな笑顔で喜んでくれている。
三人の精霊はすっかり街の子供たちの人気者だ。
ひと通り街のみんなに配り終えると、三人の精霊たちは子供たちと遊んでいた。
ふとチラッと、フレディを見ると、
BBQマニアのような人たちと炎をじっと眺めては肉を少し焼いてを繰り返していた。
あそこには行かないようにしようと心に決めるアーサーだったーー。
「アーサーさん、本当は最初はいつも通りにアーサーさんと精霊ちゃんたちだけでBBQをするつもりだったんです」
ミーナがポツリと打ち明ける。
「ここ最近、楽しい話題がなくて暗くなるような出来事しかなかったからせめてこんな時位はみんなに笑顔になってほしかったんです」
ミーナの顔をじっと見つめる。
この子は本当に人の気遣いが出来る素晴らしい子だと改めて思った。
職業柄なのか常に相手の目線で物事が見えている。
普通の人ではまずそこまで考えられない。
アーサーは伝説の英雄でもミーナには勝てないなと彼女に脱帽していた。
「すいません完敗です」
と、アーサーは頭を下げた。
「えっ?えっ?」
ミーナは何事と慌てていたのは言うまでもない。
ミーナには誰も勝てないという、暖かい春の日のお話です。
0
お気に入りに追加
633
あなたにおすすめの小説
あれ?なんでこうなった?
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。
…‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!!
そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。
‥‥‥あれ?なんでこうなった?
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる