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三人の精霊と帝国事変の書
PM21:00・登らない太陽
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片羽の堕天使ルシファーの圧倒的な魔力の前にもはや、勝ち目など無い。
ーーしかし、
パトロクロスの言葉でワンチャンを狙う事に決めたアーサーだった。
「相手が魔法を使って攻撃してきたらチャンスだ!!その時必ず隙が出来る。
そこを狙ってくれ」
「相手の魔法はどーするんだ?」
「魔法は僕が対処するよ」
パトロクロスは自信ありげな表情を浮かべてみせた。
「ふーーん。ルシファーの魔力を分からん馬鹿でも無いのに立ち向かうか。
逃げ出せばまだ追わなかったものを。
やれ!ルシファー」
禁断の魔道書が光輝く。
ルシファーはローゼンクロイツの命令に従い魔法を発動させる。
「子羊の沈黙」
一瞬光輝いたかと思うと音速を超える衝撃波が周囲を襲う。
「魔封剣」
パトロクロスの剣にルシファーの魔法が吸い寄せられる。
「喰らえ!!
お前の魔力の斬撃だーー!!」
ルシファー自身が放った魔力を帯びた無形の斬撃がルシファーを襲う。
「リサ、エルザ、シルフィー僕に力をくれ」
「「「はい!!」」」
アーサーの右手が光輝き、剣が創生され握られる。
「聖剣エクスカリバー!!」
ルシファーがパトロクロスの斬撃のダメージを受けた瞬間にエクスカリバーの一撃をルシファーに与える。
「これが僕が出来る全てだ・・・」
アーサーの魔力は底をついた。
全てをこの一撃に賭けたのだ。
「僕も同じことはもう出来ない」
パトロクロスはボロボロに折れた剣をアーサーに見せて苦笑いを浮かべた。
ルシファーは深いダメージを受けたが、
「アーサー様・・・今の攻撃でまだ敵は動けるようです」
シルフィーは信じられないと、口を開いたまま固まっている。
「万事休す・・・」
「パトロクロス」
オルレインは心配しパトロクロスにしがみ付く。
「ふー、焦りましたよ。
まさか、ルシファーにこれだけのダメージを与えるとは大した者です。
しかし、もう策は無いと見ました。
ルシファー終わらせろ!!」
命令に従い再び魔法を発動させるルシファー。
「くっ、、エルザ!頼む・・・」
「アーサー様の、残りの魔力と私の魔力でどれだけの障壁が出来るかわからないの」
エルザは大地の障壁を貼る。
「魂の鎮魂歌」
カッ!
地面を揺がす振動と衝撃。
エルザの貼った障壁を一瞬で砕く。
「クソ!!」
三人の精霊を抱えて盾になるアーサー。
ルシファーの魔法をまともに受ける。
グハッ。
生身の無防備な人間が悪魔の放つ魔法を受けたのだった。
パトロクロスも同じくオルレインを庇い吹き飛ばされる。
ドシャ。
トマトが潰れるような音が聞こえた。
周りに静けさが戻ったーーーー。
☆ ☆ ☆
「パトロクロス、パトロクロス・・・
しっかりして、目を開けて」
懸命に回復魔法で治療するオルレイン。
「俺はもう・・・助からない」
首を何度も横に振り、
「絶対、私が助ける。
何に代えてもパトロクロスを死なせない」
パトロクロスは回復魔法をかけているオルレインの手を握る。
その握る手はとても弱々しい力だった。
「俺は・・・を知ってた。
どうしても変えたくて、守りたくて、
水の精霊であるお前に近づいたんだ」
目に涙を溜め、悲しい表情で首を横に振るオルレイン。
「俺は・・・お前を利用していただけだ」
その言葉を聞いた瞬間にオルレインの瞳から一筋の雫が零れた。
「そんなこと無い・・・」
「オルレイン、ごめんな」
「何で?なんで謝るの。
まるで私と出逢った事を全部否定しないで」
「・・・・・・」
「私はあなた事が好きだから一緒にいただけよ。例え、あなたが私を利用していたとしても私はあなたと過ごした時間にそんな事は関係無いのよ」
「おるれいん・・・」
「だから・・・私を嫌いにならないで」
「・・・ごめん」
オルレインの手からパトロクロスの手が離れた。
「パトロクロスぅぅぅぅぅぅ」
パトロクロスに抱きつくように泣き崩れるオルレイン。
「私が聞きたかったのはそんな言葉じゃない」
嘘でも好きだって、言って欲しかった。
「アーサー様あああぁぁぁぁ」
絶叫が木霊する。
「あーさーさまあああぁぁぁぁ」
涙が溢れる。
「アーサー様あああぁぁぁぁ」
何が壊れる音がした。
アーサーは崩れる様にして倒れた。
その場に血の海が広がっていた。
生温かいモノの上で寝ている感覚とヌルッとする感覚、そしてドクドクと言う自分の心臓の音だけしかアーサーは分からないでいた。
精霊達が何やら叫んでいるのは、分かるが心臓の音がうるさくて何を言っているのか分からない。
ああ、僕は死ぬのか?
そう思ったら徐々に瞼が重くなってきた。
「アーサー様起きてください。
目を覚まして!!」
「あーさーさまあああぁぁぁぁ」
「オルレイン!回復魔法をお願いします」
シルフィーはオルレインに呼びかける。
オルレインはパトロクロスの前で何やらぶつぶつと語りかけていた。
「私が助けるから、私が助けるから、
私が助けるから、私が助けるから」
必死に回復魔法をかけ続けている。
「オルレイン、聞いてますか?
アーサー様にも回復魔法をーー」
シルフィーがオルレインとパトロクロスの近くに駆け寄ると、
「パトロクロスに回復魔法を何度も、何度もやっているのに目を開けてくれないのよ」
シルフィーには分かったーー。
もうパトロクロスが二度と目を覚さない事に。
「パトロクロス起きてお願い。
私は水の精霊なんだから回復魔法は得意なんだから」
オルレインがパトロクロスの胸に手を当て回復魔法を唱えるとーー、
シルフィーはオルレインの手を掴む。
「何するのーー」
シルフィーは涙を流しながら首を横に振る。
オルレインはようやく現実を受け止めた。
本当は分かっていた。
ただ、現実を受け止められなかった。
信じたくなかった。
愛する人を失う悲しさがこれほど大きいとは知らなかったからだ。
パトロクロスは死んだ。
オルレインはその場に泣き崩れたーー。
「ねえ、シルフィー。
アーサーさま冷たいの温めなきゃなの」
「私の炎の魔法で周りを温かくすれば大丈夫かな?」
泣きながら一生懸命看病をするリサとエルザ。
シルフィーがその言葉を聞きオルレインから離れてリサとエルザそしてアーサーの元に戻った。
シルフィーの目に写ったのは・・・
唇を紫色にし蒼白くなったアーサーだった。
「シルフィー、アーサー様冷たいの。
なんで・・・なんで・・・なの」
「私、また魔法が使えないの。
炎が出せないのよ」
リサ、エルザ・・・
「・・・聞いて」
シルフィーは目から溢れ出る涙を止める事は出来なかった。
震える唇から信じたくない言葉を口にする。
「アーサー様はーーーー」
「ヤダ!!!聞きたくない」
リサは耳を塞ぎ座り込む。
「リサ・・・」
二人のやり取りに動揺するエルザ。
「ねえ、シルフィー早くアーサー様を」
シルフィーはエルザの両肩を掴み、泣きながら、
「アーサー様はもう・・・目を覚まさないわ」
「嘘だあ、さっきアーサー様、
エルザの頭なでなでしてくれたの。
・・・本当だもん。
嘘じゃ・・・ないもん」
わんわんと泣き崩れるエルザ。
シルフィーはリサの肩に手を置いた。
リサはシルフィーに抱きついて号泣する。
アーサーは死んだ。
ーー PM23:00 ーー
ーーしかし、
パトロクロスの言葉でワンチャンを狙う事に決めたアーサーだった。
「相手が魔法を使って攻撃してきたらチャンスだ!!その時必ず隙が出来る。
そこを狙ってくれ」
「相手の魔法はどーするんだ?」
「魔法は僕が対処するよ」
パトロクロスは自信ありげな表情を浮かべてみせた。
「ふーーん。ルシファーの魔力を分からん馬鹿でも無いのに立ち向かうか。
逃げ出せばまだ追わなかったものを。
やれ!ルシファー」
禁断の魔道書が光輝く。
ルシファーはローゼンクロイツの命令に従い魔法を発動させる。
「子羊の沈黙」
一瞬光輝いたかと思うと音速を超える衝撃波が周囲を襲う。
「魔封剣」
パトロクロスの剣にルシファーの魔法が吸い寄せられる。
「喰らえ!!
お前の魔力の斬撃だーー!!」
ルシファー自身が放った魔力を帯びた無形の斬撃がルシファーを襲う。
「リサ、エルザ、シルフィー僕に力をくれ」
「「「はい!!」」」
アーサーの右手が光輝き、剣が創生され握られる。
「聖剣エクスカリバー!!」
ルシファーがパトロクロスの斬撃のダメージを受けた瞬間にエクスカリバーの一撃をルシファーに与える。
「これが僕が出来る全てだ・・・」
アーサーの魔力は底をついた。
全てをこの一撃に賭けたのだ。
「僕も同じことはもう出来ない」
パトロクロスはボロボロに折れた剣をアーサーに見せて苦笑いを浮かべた。
ルシファーは深いダメージを受けたが、
「アーサー様・・・今の攻撃でまだ敵は動けるようです」
シルフィーは信じられないと、口を開いたまま固まっている。
「万事休す・・・」
「パトロクロス」
オルレインは心配しパトロクロスにしがみ付く。
「ふー、焦りましたよ。
まさか、ルシファーにこれだけのダメージを与えるとは大した者です。
しかし、もう策は無いと見ました。
ルシファー終わらせろ!!」
命令に従い再び魔法を発動させるルシファー。
「くっ、、エルザ!頼む・・・」
「アーサー様の、残りの魔力と私の魔力でどれだけの障壁が出来るかわからないの」
エルザは大地の障壁を貼る。
「魂の鎮魂歌」
カッ!
地面を揺がす振動と衝撃。
エルザの貼った障壁を一瞬で砕く。
「クソ!!」
三人の精霊を抱えて盾になるアーサー。
ルシファーの魔法をまともに受ける。
グハッ。
生身の無防備な人間が悪魔の放つ魔法を受けたのだった。
パトロクロスも同じくオルレインを庇い吹き飛ばされる。
ドシャ。
トマトが潰れるような音が聞こえた。
周りに静けさが戻ったーーーー。
☆ ☆ ☆
「パトロクロス、パトロクロス・・・
しっかりして、目を開けて」
懸命に回復魔法で治療するオルレイン。
「俺はもう・・・助からない」
首を何度も横に振り、
「絶対、私が助ける。
何に代えてもパトロクロスを死なせない」
パトロクロスは回復魔法をかけているオルレインの手を握る。
その握る手はとても弱々しい力だった。
「俺は・・・を知ってた。
どうしても変えたくて、守りたくて、
水の精霊であるお前に近づいたんだ」
目に涙を溜め、悲しい表情で首を横に振るオルレイン。
「俺は・・・お前を利用していただけだ」
その言葉を聞いた瞬間にオルレインの瞳から一筋の雫が零れた。
「そんなこと無い・・・」
「オルレイン、ごめんな」
「何で?なんで謝るの。
まるで私と出逢った事を全部否定しないで」
「・・・・・・」
「私はあなた事が好きだから一緒にいただけよ。例え、あなたが私を利用していたとしても私はあなたと過ごした時間にそんな事は関係無いのよ」
「おるれいん・・・」
「だから・・・私を嫌いにならないで」
「・・・ごめん」
オルレインの手からパトロクロスの手が離れた。
「パトロクロスぅぅぅぅぅぅ」
パトロクロスに抱きつくように泣き崩れるオルレイン。
「私が聞きたかったのはそんな言葉じゃない」
嘘でも好きだって、言って欲しかった。
「アーサー様あああぁぁぁぁ」
絶叫が木霊する。
「あーさーさまあああぁぁぁぁ」
涙が溢れる。
「アーサー様あああぁぁぁぁ」
何が壊れる音がした。
アーサーは崩れる様にして倒れた。
その場に血の海が広がっていた。
生温かいモノの上で寝ている感覚とヌルッとする感覚、そしてドクドクと言う自分の心臓の音だけしかアーサーは分からないでいた。
精霊達が何やら叫んでいるのは、分かるが心臓の音がうるさくて何を言っているのか分からない。
ああ、僕は死ぬのか?
そう思ったら徐々に瞼が重くなってきた。
「アーサー様起きてください。
目を覚まして!!」
「あーさーさまあああぁぁぁぁ」
「オルレイン!回復魔法をお願いします」
シルフィーはオルレインに呼びかける。
オルレインはパトロクロスの前で何やらぶつぶつと語りかけていた。
「私が助けるから、私が助けるから、
私が助けるから、私が助けるから」
必死に回復魔法をかけ続けている。
「オルレイン、聞いてますか?
アーサー様にも回復魔法をーー」
シルフィーがオルレインとパトロクロスの近くに駆け寄ると、
「パトロクロスに回復魔法を何度も、何度もやっているのに目を開けてくれないのよ」
シルフィーには分かったーー。
もうパトロクロスが二度と目を覚さない事に。
「パトロクロス起きてお願い。
私は水の精霊なんだから回復魔法は得意なんだから」
オルレインがパトロクロスの胸に手を当て回復魔法を唱えるとーー、
シルフィーはオルレインの手を掴む。
「何するのーー」
シルフィーは涙を流しながら首を横に振る。
オルレインはようやく現実を受け止めた。
本当は分かっていた。
ただ、現実を受け止められなかった。
信じたくなかった。
愛する人を失う悲しさがこれほど大きいとは知らなかったからだ。
パトロクロスは死んだ。
オルレインはその場に泣き崩れたーー。
「ねえ、シルフィー。
アーサーさま冷たいの温めなきゃなの」
「私の炎の魔法で周りを温かくすれば大丈夫かな?」
泣きながら一生懸命看病をするリサとエルザ。
シルフィーがその言葉を聞きオルレインから離れてリサとエルザそしてアーサーの元に戻った。
シルフィーの目に写ったのは・・・
唇を紫色にし蒼白くなったアーサーだった。
「シルフィー、アーサー様冷たいの。
なんで・・・なんで・・・なの」
「私、また魔法が使えないの。
炎が出せないのよ」
リサ、エルザ・・・
「・・・聞いて」
シルフィーは目から溢れ出る涙を止める事は出来なかった。
震える唇から信じたくない言葉を口にする。
「アーサー様はーーーー」
「ヤダ!!!聞きたくない」
リサは耳を塞ぎ座り込む。
「リサ・・・」
二人のやり取りに動揺するエルザ。
「ねえ、シルフィー早くアーサー様を」
シルフィーはエルザの両肩を掴み、泣きながら、
「アーサー様はもう・・・目を覚まさないわ」
「嘘だあ、さっきアーサー様、
エルザの頭なでなでしてくれたの。
・・・本当だもん。
嘘じゃ・・・ないもん」
わんわんと泣き崩れるエルザ。
シルフィーはリサの肩に手を置いた。
リサはシルフィーに抱きついて号泣する。
アーサーは死んだ。
ーー PM23:00 ーー
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