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三人の精霊と帝国事変の書
動き出す世界
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とある日常。
「タピオカミルクティー!!」
「安定のおいしさなの」
「ミーナは天才ね!!」
未だにブームのタピオカミルクティーをストローで|啜る《すする』笑顔の精霊たち。
香ばしい香りが店内に広がる。
「はい、どーぞ」
「ありがとうミーナ」
ミーナが運んでくれたコーヒーを口に含む。
相変わらずの香ばしく、爽やかな、酸味のある、とぎすまされた大人のコーヒーだ。
暫しゆっくりした時間を過ごしていると、勢いよく店の扉が乱暴に開く。
ミーナが来店の挨拶をするよりも先に、
「アーサーは来てる?」
「あっ、はい。奥に」
コツコツと、甲高いハイヒールの音が近づいてくる。
「姉さん、お元気そうで」
その言葉に「ふんっ」と返事をし、ドカンと椅子に腰を下ろした。赤いロングスカートから伸びる細い足をクロスさせテーブルに置いた。
相変わらずの態度の悪さだ。
「今日は何のご用件でしょうか?」
「国際指名手配の件だけど、アレ解除されたわよ」
「ああ、、そーなんですか。良かったです」
( 指名手配されてたの、すっかり忘れてた)
「まあ、バルティカ戦線の活躍を考えれば当然と言えば当然なんだけどね」
いつの間にか頼んでいたタピオカミルクティーを飲んでいる。
「活躍って僕は何もしてないですよ」
( 姉さんもこういうの飲むんだ )
「世界新聞社にスクープされて紙面の一面を飾ってて何を言ってるのやら。
それはそうと、ちょっと良くない話が出てて今日はそれを伝えるのが本題よ」
「良くない話・・・ですか」
( 僕と話をする合間、合間にタピオカの話を精霊たちとするのをやめてほしいんだが)
「そうよ。今、魔法省ではこの話題で持ち切りなのよ。
何でもレムリア国って余り聞いた事のない国が何でも反帝国バンディッツに接触し極秘会談を開いたとか」
「バンディッツと?」
「ええ。レムリア国は魔法省に未加入の国でほとんど今まで目立った活動はしてない国なのよ」
ストローでくるくるとタピオカをかき混ぜるミランダ。
「そんな国がなぜバンディッツと?
バンディッツは手を貸すんですか?
って、レムリアはバンディッツと手を組んで何を始めようとしてるんですか」
ミランダがストーープと、ストローを加えて両手を前に出す。
「あくまで、ウワサよ。その真相を確かめたければ自分で情報を集める事ね。
もうあなたもいろんな所から情報を集められるようになったんじゃないの?」
「はあ・・・情報ですか」
その後、ミランダは精霊たちとミーナとおしゃべりを楽しみ去って行ったーー。
「また何か分かったら連絡するわ。
それから、前にも言ったけどメイザースは信用しないでね。彼は完璧過ぎるから」
ハイヒールの甲高い音が店内に残った。
☆ ☆ ☆
「それは通信用の水晶ですわね」
水晶を眺めているアーサーに背後からシルフィー覗き込み、水晶に眼鏡顔が写り込む。
「ああ。姉さんに言われなきゃ真っ先にメイザースさんに連絡していたかもしれない」
「先ほどの喫茶店の件ですわね。確かーー」
「完璧過ぎる・・・」
アーサーが深妙な顔つきになる。
水晶に眉間にシワの寄った自分の顔が写っている。
「どう言った意味何でしょう?」
シルフィーは腕組みをし、ふわふわとアーサーの周りを回っている。
「何やってるの!」
「なの、なの!!」
アーサーとシルフィーが真剣に悩んでいると、リサ、エルザの能天気コンビが空気も読まずに現れた。
「あっ!水晶だあ。誰に連絡するの?
リリス?」
「えっ??」
アーサーはハッとリサの顔を見た。
「何でリリスだって思ったの?」
「ん?だってリリスが一番話を聞いてくれるもん。優しいし」
「えっ、けど相談って言ったらメイザースさんじゃないかな?そうは思わなかったの」
「うんんん、メイザースさんって何か私たちが質問をする内容を最初から知っていて、
それをただシナリオ通り喋っている感じがする」
それを聞いて、エルザも「なのなの」と頷いていた。
これの発言にはアーサーもシルフィーも開いた口が塞がらなかった。
「リサは感が良いとは思っていましたわ。
空気が読めるとか、人の心情が読めるとか。まさかこう言った発言をしてくれるとは思ってませんでしたわ」
シルフィーが珍しくリサを褒め称える。
リサは満更でもない顔で照れている。
「メイザースさんが最初から話の内容を知っている・・・か。
発想を変えると、僕らの行動を知っている」
「ーーですね。お姉様が完璧過ぎるの意味が分かってきますわね」
シルフィーが眼鏡をかけ直し、辺りを見回す。
「いつどこで誰に聞かれて、見られているか分からないですわ」
「メイザースさん・・・いつから?」
アーサーとシルフィーが唇を噛んでいると、
エルザが何食わぬ顔で一言。
「アーサー様のお姉ちゃんが最初から言ってたなの」
ーー 秘密結社アルファに肩入れするなーー
「タピオカミルクティー!!」
「安定のおいしさなの」
「ミーナは天才ね!!」
未だにブームのタピオカミルクティーをストローで|啜る《すする』笑顔の精霊たち。
香ばしい香りが店内に広がる。
「はい、どーぞ」
「ありがとうミーナ」
ミーナが運んでくれたコーヒーを口に含む。
相変わらずの香ばしく、爽やかな、酸味のある、とぎすまされた大人のコーヒーだ。
暫しゆっくりした時間を過ごしていると、勢いよく店の扉が乱暴に開く。
ミーナが来店の挨拶をするよりも先に、
「アーサーは来てる?」
「あっ、はい。奥に」
コツコツと、甲高いハイヒールの音が近づいてくる。
「姉さん、お元気そうで」
その言葉に「ふんっ」と返事をし、ドカンと椅子に腰を下ろした。赤いロングスカートから伸びる細い足をクロスさせテーブルに置いた。
相変わらずの態度の悪さだ。
「今日は何のご用件でしょうか?」
「国際指名手配の件だけど、アレ解除されたわよ」
「ああ、、そーなんですか。良かったです」
( 指名手配されてたの、すっかり忘れてた)
「まあ、バルティカ戦線の活躍を考えれば当然と言えば当然なんだけどね」
いつの間にか頼んでいたタピオカミルクティーを飲んでいる。
「活躍って僕は何もしてないですよ」
( 姉さんもこういうの飲むんだ )
「世界新聞社にスクープされて紙面の一面を飾ってて何を言ってるのやら。
それはそうと、ちょっと良くない話が出てて今日はそれを伝えるのが本題よ」
「良くない話・・・ですか」
( 僕と話をする合間、合間にタピオカの話を精霊たちとするのをやめてほしいんだが)
「そうよ。今、魔法省ではこの話題で持ち切りなのよ。
何でもレムリア国って余り聞いた事のない国が何でも反帝国バンディッツに接触し極秘会談を開いたとか」
「バンディッツと?」
「ええ。レムリア国は魔法省に未加入の国でほとんど今まで目立った活動はしてない国なのよ」
ストローでくるくるとタピオカをかき混ぜるミランダ。
「そんな国がなぜバンディッツと?
バンディッツは手を貸すんですか?
って、レムリアはバンディッツと手を組んで何を始めようとしてるんですか」
ミランダがストーープと、ストローを加えて両手を前に出す。
「あくまで、ウワサよ。その真相を確かめたければ自分で情報を集める事ね。
もうあなたもいろんな所から情報を集められるようになったんじゃないの?」
「はあ・・・情報ですか」
その後、ミランダは精霊たちとミーナとおしゃべりを楽しみ去って行ったーー。
「また何か分かったら連絡するわ。
それから、前にも言ったけどメイザースは信用しないでね。彼は完璧過ぎるから」
ハイヒールの甲高い音が店内に残った。
☆ ☆ ☆
「それは通信用の水晶ですわね」
水晶を眺めているアーサーに背後からシルフィー覗き込み、水晶に眼鏡顔が写り込む。
「ああ。姉さんに言われなきゃ真っ先にメイザースさんに連絡していたかもしれない」
「先ほどの喫茶店の件ですわね。確かーー」
「完璧過ぎる・・・」
アーサーが深妙な顔つきになる。
水晶に眉間にシワの寄った自分の顔が写っている。
「どう言った意味何でしょう?」
シルフィーは腕組みをし、ふわふわとアーサーの周りを回っている。
「何やってるの!」
「なの、なの!!」
アーサーとシルフィーが真剣に悩んでいると、リサ、エルザの能天気コンビが空気も読まずに現れた。
「あっ!水晶だあ。誰に連絡するの?
リリス?」
「えっ??」
アーサーはハッとリサの顔を見た。
「何でリリスだって思ったの?」
「ん?だってリリスが一番話を聞いてくれるもん。優しいし」
「えっ、けど相談って言ったらメイザースさんじゃないかな?そうは思わなかったの」
「うんんん、メイザースさんって何か私たちが質問をする内容を最初から知っていて、
それをただシナリオ通り喋っている感じがする」
それを聞いて、エルザも「なのなの」と頷いていた。
これの発言にはアーサーもシルフィーも開いた口が塞がらなかった。
「リサは感が良いとは思っていましたわ。
空気が読めるとか、人の心情が読めるとか。まさかこう言った発言をしてくれるとは思ってませんでしたわ」
シルフィーが珍しくリサを褒め称える。
リサは満更でもない顔で照れている。
「メイザースさんが最初から話の内容を知っている・・・か。
発想を変えると、僕らの行動を知っている」
「ーーですね。お姉様が完璧過ぎるの意味が分かってきますわね」
シルフィーが眼鏡をかけ直し、辺りを見回す。
「いつどこで誰に聞かれて、見られているか分からないですわ」
「メイザースさん・・・いつから?」
アーサーとシルフィーが唇を噛んでいると、
エルザが何食わぬ顔で一言。
「アーサー様のお姉ちゃんが最初から言ってたなの」
ーー 秘密結社アルファに肩入れするなーー
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