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三人の精霊と帝国事変の書
大臣と勇騎士
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帝国。正式名称はアストレア帝国。
現在の国王は、ハロルド三世が国を治めている。
帝国が世界の中心にいられるのは何と言っても世界最強と恐れられている帝国騎士団があるからだ。
今まで幾度の対戦を勝ち抜き、無敗の強さを誇ってきた正に帝国の誇りである。
数々の小国を吸収し拡大する事で手に入れた莫大な領土と資金力。
これも全て帝国騎士団の努力の結晶である。
その中でも現在の帝国騎士団が歴代最強と言われている。
帝国騎士団長・トーマス・ガルフォード
聖騎士・ダグラス・クルーニー
聖騎士・ロッシ・ロレッサ
そして、伝説のサーガ以来の勇騎士の称号を手に入れた男。
勇騎士・ヴィル・クランツェ
この男がいるからこそ最強と言われていると言っても良い。
数々の激戦での戦果を上げてきた功績は素晴らしいに尽きる。
帝国騎士団=、ヴィル・クランツェと言っても良い程だ。
☆
なぜ、ヴィル・クランツェは最強と言われているのか。
帝国騎士団は正に正統派騎士団である。
馬で駆け抜け、剣で斬り裂き、槍で突く。昔ながらの戦術・戦法が主流だ。
しかし、今は魔法の時代。
正統派騎士団など魔法の前では、赤ん坊同然だ。
そんな中現れた次世代の騎士がヴィル・クランツェである。
剣の腕前に加え、魔法も操ることができる。
更に、特異能力も備わっている正に万能型だ。
次世代の騎士の象徴だ。
ヴィルの出現と同時にようやく帝国も魔法の育成に取りかかるのだった。
ーーしかし、それは逆に魔法への恐怖を改めて知る結果となったのだった。
他国が魔法育成へシフトチェンジを早々行っていた中で、帝国はかなり遅れていた。
この遅れはそう簡単に取り戻すことは出来ない。
そこで、帝国は魔法発展を遅らせる為にとった苦渋の策、それが魔女狩りだった。
☆ ☆ ☆
帝国はハロルド三世が国王であり、国の象徴である。
しかし、国の政治的な役目を担っていたのは、大臣オドロフである。
彼は、ハロルド三世の側近で常にハロルド三世の隣におり助言をしている。
もはや、ハロルド三世の言葉と言うよりもハロルド三世の口を通じて大臣オドロフが発言しているのと変わりない。
ハロルド三世もオドロフに絶大な信頼を寄せている。何をするのにもオドロフの助言を求めている状態だった。
一種のマインドコントロールされている状況だ。
☆
一線を超えた独裁政策に国民からは非難の声が上がっていた。
我慢の限界を超えた国民が暴徒化し帝国城を包囲していた。
石や物を投げつける国民たち。
三日三晩続いた国民の怒りは最悪の形で幕を下ろしたーー。
遂に、国民から死者が出たのだ。
「あんた・・・目を覚ましておくれよ、あんたぁぁぁぁ」
腹を刺された男性はそのまま冷たくなった。男性の妻はその亡骸に覆い被さり泣き崩れた。
暴徒化していた国民たちからは血の気が冷めまるで葬式のように静まり返った。
国民に刃を向けた帝国に、もはや何を言っても無駄だとその場にいた全員が思った。
帝国は国民の事など何も考えていないと、貴族の一部の人間が裕福であればそれで良いのだと。
「ハロルド、私の言う通り静まり返って暴徒化など治ったであろう」
「うむ、オドロフさすがじゃ。お主の言う通りにすれば皆良い方向に向かっておる」
「これからも私の言う通りにすれば帝国は安泰です」
オドロフの影は笑っていた。
表向きは帝国の為、しかし裏の顔はオドロフは自我を支配されていた。
帝国を自分たちの思い通りに動かし、この世を手に入れる。
魔女狩りは正に、オドロフを使いハロルド三世に正式に魔女狩り政策を発表し世界中の魔女を惨殺する荒業に出たのだ。
勿論、帝国からの発令のため非難の的は皆、帝国だ。
世界中から誹謗中傷を受けたが、そんなのはどうでも良いことだ。
オドロフには目的がある。
彼を操っている人物からの命令。
『魔女狩り』を遂行せよと。
------------------------------
大臣オドロフに呼び出されるヴィル。
「ヴィル・クランツェお前に任務を言いわたす」
「はい」
「クリスタルパレスの式典の際に魔女狩りを遂行せよ」
「ーーーーっ」
「ヴィル・クランツェ返事は?」
「はい。ーー必ず」
「この任務を成功させた暁にはお前の勇騎士への称号を世界政府に推薦する」
「ま、誠ですか?必ず成功させてみせます!」
☆
王の間を後にすると、薄暗い廊下に影が伸びるようにシルエットが浮かび上がる。
「ククク、そんなに勇騎士の称号がほしいんですか?」
「ローゼンクロイツか」
「薔薇必要なんでしょ」
「ああ、悪いが今回も使わせてもらうぞ」
「ええ、構いませんよ。お好きなだけお使いください」
「感謝する」
「あっ、そおそお。もしかしたらスッゴイお宝がクリスタルパレスの塔に隠してあるかもしれないって聞いた事あったなーー」
ローゼンクロイツはヴィルに近づき耳元で、
「独り言だ・け・ど・ね」
ヴィルの肩をポンと叩きその場を去って行った。
ーーそして 魔女狩りは執行されたのだったーー
現在の国王は、ハロルド三世が国を治めている。
帝国が世界の中心にいられるのは何と言っても世界最強と恐れられている帝国騎士団があるからだ。
今まで幾度の対戦を勝ち抜き、無敗の強さを誇ってきた正に帝国の誇りである。
数々の小国を吸収し拡大する事で手に入れた莫大な領土と資金力。
これも全て帝国騎士団の努力の結晶である。
その中でも現在の帝国騎士団が歴代最強と言われている。
帝国騎士団長・トーマス・ガルフォード
聖騎士・ダグラス・クルーニー
聖騎士・ロッシ・ロレッサ
そして、伝説のサーガ以来の勇騎士の称号を手に入れた男。
勇騎士・ヴィル・クランツェ
この男がいるからこそ最強と言われていると言っても良い。
数々の激戦での戦果を上げてきた功績は素晴らしいに尽きる。
帝国騎士団=、ヴィル・クランツェと言っても良い程だ。
☆
なぜ、ヴィル・クランツェは最強と言われているのか。
帝国騎士団は正に正統派騎士団である。
馬で駆け抜け、剣で斬り裂き、槍で突く。昔ながらの戦術・戦法が主流だ。
しかし、今は魔法の時代。
正統派騎士団など魔法の前では、赤ん坊同然だ。
そんな中現れた次世代の騎士がヴィル・クランツェである。
剣の腕前に加え、魔法も操ることができる。
更に、特異能力も備わっている正に万能型だ。
次世代の騎士の象徴だ。
ヴィルの出現と同時にようやく帝国も魔法の育成に取りかかるのだった。
ーーしかし、それは逆に魔法への恐怖を改めて知る結果となったのだった。
他国が魔法育成へシフトチェンジを早々行っていた中で、帝国はかなり遅れていた。
この遅れはそう簡単に取り戻すことは出来ない。
そこで、帝国は魔法発展を遅らせる為にとった苦渋の策、それが魔女狩りだった。
☆ ☆ ☆
帝国はハロルド三世が国王であり、国の象徴である。
しかし、国の政治的な役目を担っていたのは、大臣オドロフである。
彼は、ハロルド三世の側近で常にハロルド三世の隣におり助言をしている。
もはや、ハロルド三世の言葉と言うよりもハロルド三世の口を通じて大臣オドロフが発言しているのと変わりない。
ハロルド三世もオドロフに絶大な信頼を寄せている。何をするのにもオドロフの助言を求めている状態だった。
一種のマインドコントロールされている状況だ。
☆
一線を超えた独裁政策に国民からは非難の声が上がっていた。
我慢の限界を超えた国民が暴徒化し帝国城を包囲していた。
石や物を投げつける国民たち。
三日三晩続いた国民の怒りは最悪の形で幕を下ろしたーー。
遂に、国民から死者が出たのだ。
「あんた・・・目を覚ましておくれよ、あんたぁぁぁぁ」
腹を刺された男性はそのまま冷たくなった。男性の妻はその亡骸に覆い被さり泣き崩れた。
暴徒化していた国民たちからは血の気が冷めまるで葬式のように静まり返った。
国民に刃を向けた帝国に、もはや何を言っても無駄だとその場にいた全員が思った。
帝国は国民の事など何も考えていないと、貴族の一部の人間が裕福であればそれで良いのだと。
「ハロルド、私の言う通り静まり返って暴徒化など治ったであろう」
「うむ、オドロフさすがじゃ。お主の言う通りにすれば皆良い方向に向かっておる」
「これからも私の言う通りにすれば帝国は安泰です」
オドロフの影は笑っていた。
表向きは帝国の為、しかし裏の顔はオドロフは自我を支配されていた。
帝国を自分たちの思い通りに動かし、この世を手に入れる。
魔女狩りは正に、オドロフを使いハロルド三世に正式に魔女狩り政策を発表し世界中の魔女を惨殺する荒業に出たのだ。
勿論、帝国からの発令のため非難の的は皆、帝国だ。
世界中から誹謗中傷を受けたが、そんなのはどうでも良いことだ。
オドロフには目的がある。
彼を操っている人物からの命令。
『魔女狩り』を遂行せよと。
------------------------------
大臣オドロフに呼び出されるヴィル。
「ヴィル・クランツェお前に任務を言いわたす」
「はい」
「クリスタルパレスの式典の際に魔女狩りを遂行せよ」
「ーーーーっ」
「ヴィル・クランツェ返事は?」
「はい。ーー必ず」
「この任務を成功させた暁にはお前の勇騎士への称号を世界政府に推薦する」
「ま、誠ですか?必ず成功させてみせます!」
☆
王の間を後にすると、薄暗い廊下に影が伸びるようにシルエットが浮かび上がる。
「ククク、そんなに勇騎士の称号がほしいんですか?」
「ローゼンクロイツか」
「薔薇必要なんでしょ」
「ああ、悪いが今回も使わせてもらうぞ」
「ええ、構いませんよ。お好きなだけお使いください」
「感謝する」
「あっ、そおそお。もしかしたらスッゴイお宝がクリスタルパレスの塔に隠してあるかもしれないって聞いた事あったなーー」
ローゼンクロイツはヴィルに近づき耳元で、
「独り言だ・け・ど・ね」
ヴィルの肩をポンと叩きその場を去って行った。
ーーそして 魔女狩りは執行されたのだったーー
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