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Message02: 鏡面戦線 (前戦)

☆Branch no.4

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僕たちは今、無法地帯と化した第三支部で共同任務にあたっている。

イズミさんの指示で第四支部の連中と一緒に組んでいるのだが、第四支部の連中は第十二支部の僕等は眼中になく好き放題勝手に動き回りやりたい放題やっている。

「ーー何なのアイツら、共同任務の意味ないじゃない」
「そうっスよ、全部アイツらがゾンビもクリーチャーも倒してしまってこっちはただ見てるだけっすよ」

エリカと柊から不満が漏れるのも無理はない。

「残党の一掃任務は第四支部に任せて僕等は逃げ遅れたりした自宅警備員等の捜索任務にあたろう」

「何か納得出来ないですね」
カイトは暴れまくってる第四支部の連中に目をやりながら肩を落とした。

第三支部は、新種のクリーチャーにより自宅警備員が壊滅し社会ゾンビやクリーチャーが野放しの状態だ。

現実世界ではセントラルコントロールからの指令で一番近い地区が討伐していたがそれも手間がかかるので今回の一掃任務が通達されたのだ。

新たに第三支部に自宅警備員を配置すれば良いのだが、現状が鏡面戦線で支部同士の潰し合いのような状態ならどこかの支部が管轄エリカを広げてもらった方が中央本部も良いと考えたに違いない。

「か、神崎さん。あれ」
柊が指差す先には震えてしゃがみ込む人影がいた。

「チェンジしてない・・・一般人?」
僕たちは慎重に近寄って行くと、

「カンザキィ何勝手にやってんだ」
黒崎とその側近二名が喧嘩腰にやって来て因縁をふっかけてきた。

「一般人が鏡面世界に迷い込んでしまっているみたいだ。自宅警備員のチルドレンコード登録がなければ基本的には鏡面世界に入れない筈、何かの手違いかあるいは他に入れる方法があるのか調べる必要があると思う」
僕は一般人の保護と中央本部への報告の必要性を説くが黒崎はーー

「そんな奴等放っておけよ。 ちゃっちゃと任務終わらせようぜ」
全く僕の話を聞いていない。

「ーー放っておけって・・・自宅警備員でもない普通の一般市民だぞ。 この鏡面世界について何か知ってるかもしれないじゃないか」

「ーーならお前らの班がそいつの世話をしてやれば良い。 俺らの班は先に行く」

僕らが震えている男性の元に近づき始めた時、 再び黒崎が背後から声をかけてきた。

「カンザキぃ、 知ってるか? 鏡面世界で人間が死ぬと社会ゾンビになるかも知れないって噂をーー」

「聞いたことはあるよ。 それがどうした?」

「そいつで試させてくれよ。 コイツがここで死んで現実世界で社会ゾンビになって復活すれば噂が証明される。 めでたく社会ゾンビ撲滅に近づくわけだ」

「・・・何を自分が言っているのか分かって言っているのか? 人殺しを自分でしようとしているんだぞ? 僕らは市民を守るのが任務だ。 この人は渡せない!」

「カンザキぃ、適正Aランクか何か知らねえが調子に乗り過ぎなんだよ! いつかテメエとは殺り合いてえとは思ってたんだよ」

黒崎は僕に向かってナイフを構える。

「今は共同任務のはずだ、荒らそうなんて馬鹿げてる。 目的は同じじゃないか・・・」

「馬鹿げてる? カンザキぃ、馬鹿げてるの俺じゃなくこの世の中だ!常識なんて最初から通用しないんだよ」

黒崎はナイフを僕に振りかざした。

ーー間一髪のところで柊がサーベルで黒崎のナイフを受け止めた。

「神崎さん、油断しないでコイツらガチで殺り合うつもりですよ」 

「あん?雑魚は引っ込んでろよ!!」
柊の腹に黒崎が蹴りを入れるーー

「ガハッーー」
ーー吹き飛ぶ柊。

「大丈夫か柊?」
僕の目の前に柊が倒れこんできた。

「ーーっだ、大丈夫っす」
良かったと胸を撫で下ろしていると、

「カケちゃん、第四支部の連中陣形を形成して攻めて来るつもりよ! 」
エリカの言葉を聞きすぐに現状を確認した。

第四支部のメンバーは既に目の前に姿はなかったーー

( 囲まれて包囲されたらヤバイ・・・ )

「第十二支部、撤収だ! ちなっちゃん範囲防御壁をーーカイト一般市民を保護してこの場を離脱するぞ!!」

「「  了解!! 」」

第十二支部メンバーは、全員指示通りですの行動に出た。

千夏が防御壁を貼り敵の奇襲に備える。
カイトは一般市民を抱え保護する。
エリカが敵兵の観測をする。
僕と柊で攻めてきた敵を撃退するーーいつもの陣形だ。

「魔導反応、二時方向より二発来ます! 千夏頼むわよ」

千夏をコクリと頷き、防御壁に集中した。

二発の砲弾を見事回避したーー

「やはり仕掛けて来たな!エリカ囲まれたか?  第四支部は何名鏡面世界に入っている?」

「今、空間座標の範囲を広げて正確な人数を確認してみるね」

その間も絶え間なく第四支部からの襲撃は続いているが魔導障壁で全て回避している。

「ーー!! ヤバっ、小部隊を二つ編成してる挟みうちに合ってるわよ。第四支部、数十二」

「なんとか、鏡面世界から離脱してこの人を助けたい・・・」
「ゴリ押しっすか?」

「カケちゃん、このまま行ったら誘い込まれるわよ」

「カンザキぃ、逃げるのかよ。ランクAが聞いて呆れるぜ」
黒崎が叫び声をあげながら追ってくる。

「ちっ、吠えるヤツほど何とかって言うぜ!黒崎ぃぃぃ!!」

「何だやっとヤル気になったのか、ああ?カンザキぃ」

僕は足を止め、追ってくる黒崎と睨み合っている。

「神崎さん、どうするッスか?まさか後方部隊をーー」

「まさか、黒崎の性格ならタイマンを仕掛けてくる。黒崎さえ殺れば他のメンバーは手を出しは来ないはず。

「カケちゃん、黒崎は限りなくランクAに近い能力の持ち主よ。特に攻撃の破壊力だけならランクAよ。一撃喰らうだけでも危険よ」

「任せろ!黙らせてやる」

「誰が誰を黙らせるだと、カンザキぃぃ調子に乗るなよ!!」
黒崎はナイフを振りかざしてきたーー

僕は、ランキング一位で手に入れていたソードを手にし、黒崎の一撃を受け止めた。

「ぐっーーーー」
( 何て重い一撃なんだ・・・ )

「普通の武器なら今の一撃で粉々なんだけどな!術式でも練りこんであんのか」

「柊、みんなを連れて離脱だ!!先行け!!」
僕は、黒崎のナイフを弾き返すと振り返らずに叫んだ。

「離脱だあ? オイ!絶対離脱させんなよ」
黒崎は他のメンバーに命令する。

「神崎さん頼んますよ!こっちは任せて下さい」
「カケちゃん信じてるよ」
第十二支部のメンバーは一斉に僕とは逆方向に走り出した。

「ヤロー共絶対行かせるなよ!」
黒崎のドスの効いた声が第三支部一帯に響き渡ったーー


神崎カケル 対 黒崎ショーゴタイマン勝負。

逃げる第十二支部 
追う第四支部

今、勝負の狼煙が上がったーー



*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  




リーダー 黒崎 ショーゴB++

メンバー: シンジB    タケシB   
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