逢いに行くよ

ぶんゆ

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547日目

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「結局なんもなくこの日まで来ちゃいましたね~」
「ふふん、だから言っただろ?」
「うわ、ドヤってんのまじムカつくっす」
「まあまあ、何も無かった祝いにどこか旅行でも行かない?」

樹は書斎に引っ込むと、数冊の雑誌を抱えて帰ってきた。
リビングの机に置くことを察して湯呑みを片付ける天使。
ばさーっと広げられたのは全て旅行雑誌だった。  

「お前、どこ行きたい?お前がさんざん脅すから明日休みとってんだよ。今日から泊まりがけで行くのもいいし近場で日帰りでもいいよな。
どれがいいかなあ……てかお前見えないけど料金払うべきなのか?払われても困るよなぁ……どう思う?…………おい?」

いつもはしゃべりっ通しの天使がやたら静かなことにきがついて樹は振り向く。
そこにはなんとも言えない困った笑顔で樹を見下ろす天使がいた。

「樹さん……俺、今日帰るんだよ?」










「……っは?」
「言ってなかったすかね?俺の任務期限は今日の夜。俺の任務って佐渡樹の自殺理由をつきとめて解決に導く、なんすけど……まぁできなかった場合は強制退避なんす。」
「きょう……?退避……?」
「今の樹さんなら安心してますけど、万が一にも天使は死体を、死に際を、見ちゃいけないんす。それは死神になってしまうっすから。」
「…………」
「……樹さん?……ごめん、既に言ってると思ってたっす……大丈夫、夜まで時間はあるっすよ……」

天使は跪いて固まってしまった樹の頭をそっと抱え込んだ。


「……じゃあ、樹さん」
「……ああ」
「今の樹さんなら大丈夫!悩み事は解決されたんす!たぶんどっかで!」
「うん、そうだね」
「……死なないでくださいね?死ぬ理由ないですもんね?」
「なぁ、また会えるか?」
「えっ俺すか?」
「当たり前だろ」
「ま~死後の世界なら?天使に寿命も時の流れもないですから気長に天寿をまっとうした樹さんを待ってますよ」
「そっか」
「そっす!」

「「じゃあね、またいつか」」

きつく触れ合わせていた唇はいつしか片方だけが取り残された。
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