上 下
17 / 31
料理人で冒険者もやってるお話~出会い編~

料理人はでかいモンスターには勝てるらしいです。

しおりを挟む
「え?あ、あの・・・。スライムの倒し方ですか?普通に剣で切るだけですけど・・・。」

男の子は俺の質問に戸惑いつつも答える。しかし、そんなんで倒せるなら苦労はしない。きっと何か種が・・・

「いやいやいや、切っても倒せないって!切り傷がすぐに再生されて倒れないって!」

俺の必死な反論に、男の子はなんでだろう・・・、と悩み、そして何かに閃いたように顔を上げた。

「あ!ひょっとしてお兄さん。ダガー使いです?それならスライムを倒すには難しいですよ?私の長剣ロングソード以上の大きさの武器じゃないと倒せないと思います。」

Sランク冒険者でもない限り、と言葉を続けたので、俺は冷や汗を掻く。

「へ、へー。そうなんだ。教えてくれてありがとうね。」

俺が男の子に感謝して、スライム討伐を諦めようとした時、

ドシン、ドシン、ドシン・・・。

大きな足音が聞こえた。またドラゴンかな?と、思ったけど少し違ったので、その足音が鳴っている方を見る。

その先には、青い皮膚、大きな1つ目、そして5mはあるであろう巨大な筋肉質の肉体。そんなでかい奴がこっちに向かって歩いていた。

「ムンド、速く逃げて!あれはサイクロプスよ!ランクBモンスターだから私たちにどうこうできる相手ではないわ!」

男の子と一緒に行動していた女の子が叫んだ。どうやらあの子モンスターは危険らしい。

「わかった!そっちに行くよ!おい、お兄さん!速く逃げようよ!あれは俺たち初心者冒険者がどうこうできるモンスターじゃないよ。ほら、速く!」

ムンドと呼ばれた男の子が俺の袖を引っ張り、逃げることをお勧めする。しかし、俺は、あの巨大な体だったら、俺の攻撃を避けれないんじゃね?と思い、男の子の手を振り払い、サイクロプスと呼ばれた巨大なモンスターに向かって歩く。

「お兄さん!」

男の子が青い顔をして俺のことを呼んでいるが気にしない。

そして、俺はサイクロプスのすぐそばまで歩いた。サイクロプスは、俺が近くに来るのを見て、手に持っている棍棒を俺に向かって思いっきり振り下ろす。

俺はそれを交わし、サイクロプスの懐に入る。サイクロプスは動かない。それを見て俺はニヤッと笑い、包丁でサイクロプスの腹を切った。サイクロプスの胴体は真っ二つに切れ、黒い煙となって消える。

俺はその様子を見て、あれ?ドラゴンの時は黒い煙なんて出なかったのにと疑問に思った。

消えたサイクロプスの死体のところには、巨大な石、でかい角が残されていた。俺はその石と角をそれぞれ片手で持つ。そして、先ほどの男の子のところに歩いて行った。

「なあ、この石と角ってどうすればいいの?」

男の子は、口をぽかーんと開けて、俺の方を見る。

「ん?おい、大丈夫か?」

俺は男の子の足元に一旦角と石を置いて、男の子の顔のまえで片手を振って見る。

「お、おお。・・・ねえ、お兄さんって一体何者?」

意識を取り戻した男の子はそう俺に聞いてきた。

「あ?王様の専属冒険者だけど?」

俺はそう言って頭をかいた。そして、頭をかいた方の手につけられているギルドリングの宝石を見て男の子は目を大きくする。

「Sランク冒険者じゃないか!」

男の子はそう叫んだ。

しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...