3 / 25
第1章 幼なじみの転生は気付けない(3) SIDE マリ
しおりを挟む
SIDE マリ
私は幼なじみのケンが好きだ。
それは物心ついた時からずっと。
彼のことが好きだということが、当たり前の人生だった。
彼もまた私のこと好いてくれていると思うのだけど、私が彼を好きになった方が絶対に早い。
でもいつからだろう。
彼と話す機会がどんどん少なくなっていった。
母に相談すると、思春期の男の子はしょうがないと言っていた。
でも一度離れてしまった距離感がもとに戻ることはなかった。
彼の第一志望と同じ大学を受けたけれど、彼が受かったのは滑り止めだけだった。
別々の大学に通うことになったのが、疎遠になる決定的な原因だった。
それでも私は彼を忘れることができず、毎週のように男子達からされる告白を全て断ってきた。
我ながらバカだなと思うけど、どうしても彼を忘れることができなかったのだからしかたない。
親友にそのことを話したら、異星人でも見るような顔であきれられたけど。
そんな私も、今日だけは覚悟を決めてやってきた。
私の親友から彼の友人につないでもらい、ケンが同窓会に来るようしむけてもらった。
彼となにも進展させることができなければ、彼のことはあきらめようと思ったのだ。
でも逆に、そんな想いが私を緊張の糸でがんじがらめにした。
同窓会中、彼と何度も目が合ったのに、お互い話すことができなかったのだ。
それでも私は、同窓会が終わったあと、勇気をふりしぼって彼に話しかけた。
自然に見えた……はずだ。
こっそり手は震えていたけど。
数年ぶりに聞いた彼の声は、私の脳をしびれさせた。
他の女の子達は、彼なんかのどこが良いのと言うけれど、やっぱり好きだ。
好きなものは好きだ。
すっかり舞い上がっていた私は、暴走した車が近づいて来ることに気付けなかった。
そんな私を彼が庇って……あぁ……なんてことだ……。
こんなことあっていいはずがない。
死ぬなら彼ではなく私にしてくれればよかった。
彼なしでどうやって生きていけばいいのか。
血がとまらない。
今すぐ私の血をわけてあげられないのか。
そんなことを思いつつ、頭の中ではもう彼は助からないとわかってしまっていた。
イヤだ、そんなのイヤだ。
イヤだイヤだイヤだ。
しかしその時――
「マリ! 上!」
誰かがそう叫んだのに合わせて振り向くと、ビルの2階にかかった看板が落ちてきた。
やば――
声を発する間もなく、私の意識は闇に落ちた。
私は幼なじみのケンが好きだ。
それは物心ついた時からずっと。
彼のことが好きだということが、当たり前の人生だった。
彼もまた私のこと好いてくれていると思うのだけど、私が彼を好きになった方が絶対に早い。
でもいつからだろう。
彼と話す機会がどんどん少なくなっていった。
母に相談すると、思春期の男の子はしょうがないと言っていた。
でも一度離れてしまった距離感がもとに戻ることはなかった。
彼の第一志望と同じ大学を受けたけれど、彼が受かったのは滑り止めだけだった。
別々の大学に通うことになったのが、疎遠になる決定的な原因だった。
それでも私は彼を忘れることができず、毎週のように男子達からされる告白を全て断ってきた。
我ながらバカだなと思うけど、どうしても彼を忘れることができなかったのだからしかたない。
親友にそのことを話したら、異星人でも見るような顔であきれられたけど。
そんな私も、今日だけは覚悟を決めてやってきた。
私の親友から彼の友人につないでもらい、ケンが同窓会に来るようしむけてもらった。
彼となにも進展させることができなければ、彼のことはあきらめようと思ったのだ。
でも逆に、そんな想いが私を緊張の糸でがんじがらめにした。
同窓会中、彼と何度も目が合ったのに、お互い話すことができなかったのだ。
それでも私は、同窓会が終わったあと、勇気をふりしぼって彼に話しかけた。
自然に見えた……はずだ。
こっそり手は震えていたけど。
数年ぶりに聞いた彼の声は、私の脳をしびれさせた。
他の女の子達は、彼なんかのどこが良いのと言うけれど、やっぱり好きだ。
好きなものは好きだ。
すっかり舞い上がっていた私は、暴走した車が近づいて来ることに気付けなかった。
そんな私を彼が庇って……あぁ……なんてことだ……。
こんなことあっていいはずがない。
死ぬなら彼ではなく私にしてくれればよかった。
彼なしでどうやって生きていけばいいのか。
血がとまらない。
今すぐ私の血をわけてあげられないのか。
そんなことを思いつつ、頭の中ではもう彼は助からないとわかってしまっていた。
イヤだ、そんなのイヤだ。
イヤだイヤだイヤだ。
しかしその時――
「マリ! 上!」
誰かがそう叫んだのに合わせて振り向くと、ビルの2階にかかった看板が落ちてきた。
やば――
声を発する間もなく、私の意識は闇に落ちた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる
レラン
恋愛
前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。
すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?
私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!
そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。
⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎
⚠︎誤字多発です⚠︎
⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎
⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる