優等生不良ちゃん

四国ユキ

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ちょっとした後日談

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 その後の日常はめまぐるしく、美枝が家に来てから気がつけば二年が経っていた。高校を無事に卒業し、私は就職。美枝は駅ビルのテナントでアルバイトを始め、社員登用があるらしく、今年社員になった。そのお祝いということでささやかなパーティを開くことにした。それと、もう一つ……。
「美枝ちゃん、おめでとう」
 お祖母ちゃんは相変わらず元気で健康上の問題は何もない。美枝のことは美枝ちゃんと呼び、美枝は私と同じように「お祖母ちゃん」と呼んでいる。美枝はお祖母ちゃんの呼び方に困っていたが、お祖母ちゃん曰く「家族なんだからお祖母ちゃんと呼びなさい」と。
 そう、家族だ。
「お祖母ちゃん、もう一つ報告があってね」
「何だい」
「えっとね……」
 お祖母ちゃんに報告するのは前もって美枝と決めていたが、緊張する。
「えっと、結婚します……」
 お祖母ちゃんが目を丸くし、横で美枝が顔を赤らめている。美枝も何か言ってよ……。
「相手は?」
「横にいます……」
「春子と結婚します。絶対幸せにするので」
 お祖母ちゃんが安心したように笑顔になった。
「ようやく打ち明けてくれたかい、二人のこと」
 どういうこと? ……それってつまり。
「私たちの関係知ってたの? その、付き合ってること……」
「勿論」
「いつからですか……」
 私も美枝も隠してきたつもりなのだが、どこでバレたんだろうか。もしかして夜の声……? それはあまりにも恥ずかしすぎる。
「最初から。春子が美枝ちゃんを初めて家に連れてきたときからだよ」
「本当に?」
「本当ですか?」
 私と美枝が同時に驚きの声を上げる。あのときは確か、友達としか言わなかったと思うけど、どうして。
「二人のお互いを慈しむような視線。あれは昔の自分を見てるみたいだったよ」
 お祖母ちゃんが本当に好きだった人と、私たちの関係を重ねているのだろうか。だから最初からお祖母ちゃんにはお見通しだったわけか。
「二人とも、お互いを幸せにする、なんて肩肘張らないで。もしかしたらどっちかが不幸になるかもしれないからね。二人で幸せになるんだよ」
 私はポケットから指輪を取り出した。安いお給料を貯め、どうにか買った指輪だ。
 美枝もポケットから指輪を取り出した。私たちはお互いの指に指輪を嵌め、抱擁を交わした。
「おめでとう」
 お祖母ちゃんが涙声になり、大きな拍手をくれた。
「よろしくね、美枝」
「こちらこそ」
 これからも三人でずっと一緒にいたい。私は強く願った。
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