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ナナナは交尾がしたい
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「ボクだけしてない」
とナナナが俺の仕事部屋に入って来るなり、そう言った。
何の話をしているんだろう? と思っていた。
「アニーも愛様もしているのに、ボクだけ妻なのにしていない」
とナナナが言う。
獣人の女の子は拗ねて、抗議《こうぎ》に来たのだ。
ナナナは頬を膨らませている。
「何の話?」と俺は尋ねた。
「交尾だよ。交尾」
とナナナが言った。
シー、と俺は人差し指で静かにしろのジェスチャーをした。
尋ねた俺も悪かった。
日中は色んな人が出入りする。だから誰かに聞かれる恐れもあった。
「コッチにおいで」
と俺が言う。
扉の前で立っていたナナナが俺のところに来る。
なぜか彼女は膝をついて、俺の太ももに顔を埋める。懐いているワンちゃんみたい。
でも頬は膨らんでいた。
ホッペを人差し指で押して、彼女の口の中に含まれていた空気を抜いた。
アニーから、そういう事をしたことを聞いたんだろう。
そして拗ねてしまったんだろう。
トントントン、と扉がノックされた。
ヤバい、と俺は思った。
何もしていないけど、こんな姿を誰かに見られたら、何かをしていたように思われる。
机の下にナナナを隠した。
彼女は俺の太ももに顔を押し付けていた。
部屋の扉を開けて中に入って来たのは財務大臣のユーという男である。元々、金貸し屋の商売をしていた男である。ほぼほぼ毎日、俺のところに顔を出している。消えるお金を使用していたことによって街がどれだけ活性化されているのか、インフレ率がどれだけ上昇しているのか、逐一《ちくいち》話合っているのだ。
インフレ率が上がれば金融引き締めをしなければいけない。金融引き締めというのは金貸し屋が貸す金利を引き上げるということである。実はお金というのは細かい微調整をしながら運営されている物なのである。
俺が財務大臣と話し合っている時、……ナナナにとっては、つまらない話だったんだと思う。
ナナナは俺の太ももをスリスリしていた。
俺は茶色いスーツを愛用している。もちろん耐久性抜群のスーツである。スーツの上からだと、触られていても、それほど感じない。
財務大臣からはナナナは見えない。
俺の机は正面からでは足元が見えない作りになっている。
ナナナが俺のベルトに手をかけた。
コイツは何を考えているんだよ? と思った。
下を向くとナナナがニヤ~と笑っていた。
「全ての街の就業率は上昇しております」
とユーが言った。
就業率というのは、仕事に付いている人のことを言う。
街が活性化されたことにより、商会は設備投資を行い、それに伴《ともな》って従業員を増やしたのだろう。
「安定した時に失業率が上がることも予想されます。何か手はうちますか?」
とユーが尋ねた。
「うたない」と俺は答える。「法律で従業員を守る制度を作ることはできるだろうけど、流動性がなくなってしまう」
流動性というのは、他の物へ交換が簡単にできる性質のことである。
「ですが、雇用を守らないと安定した時に離職率が上がりますよ」
「俺がいた日本は法律で従業員を守っていたんだよ。社会が流動性を失った国だったんだ。流動性が無くなると従業員の給料が上がらない。給料が上がらないと物の値段が上がらない。物の値段が上がらないと海外に色んな物が買われていく。優秀な人材も、優秀な製品も、優秀な技術も全て海外に持っていかれてしまうんだ。それに従業員の雇用を守るために次は会社を守らなければいけなくなってしまう。本来なら潰れるべき会社も国が守らなくちゃいけなくなってしまう。ゾンビ会社が出来上がってしまうんだよ」
と俺は言った。
これは雇用を守るデメリットである。もちろんメリットも存在する。
俺は街を活性化させて国として盤石《ばんじゃく》な経済を作ろうとしている。
指針としては街の活性化を止める法律は作りたくなかった。
「なるほど」と財務大臣が納得する。
「流動性を保つのであれば、雇用を守る法律は作ってはいけませんね」
ナナナはベルトを外して、ズボンのチャックまで下ろしていた。
そしてズボンの中に彼女が手を突っ込んだ。
大切な仕事の話をしている時に、なにをこの子はしてるんだよ?
俺は頭を抱えた。
「どうなされましたか?」
と財務大臣が尋ねた。
「いや、何でもない。少し頭が痛いだけだ」
と俺が言う。
「大丈夫ですか?」
と本当にユーが心配してくれる。
「大丈夫。大丈夫」と俺が言った。
「お忙しいですからお体に気をつけてください」
「ありがとう」と俺は言った。
ナナナは俺の大切なところを触っている。
本当に何やってんだよ?
「それでは、失礼させていただきます」
と財務大臣が出ていく。
ふーー、と俺は息を吐いた。
「ナナナ」と俺が言う。
「仕事中だぞ。何やってんだ?」
「でも王様」と彼女が言った。「すごく興奮してるよ?」
ナナナは俺の大切なところを触りながら言った。
「美味しい、美味しい、していい?」
と彼女が尋ねた。
「ダメ」と俺が言う。
プー、と彼女が頬を膨らませる。
「今晩はナナナと一緒に寝る日だったよね?」と俺は尋ねた。
ポクリ、とナナナが頷いた。
「それじゃあ今日やろう」と俺が言う。
「交尾?」
と彼女が尋ねる。
「交尾」と俺は答えた。
「それまで我慢してくれ。仕事がたくさん残っているんだ」
とナナナが俺の仕事部屋に入って来るなり、そう言った。
何の話をしているんだろう? と思っていた。
「アニーも愛様もしているのに、ボクだけ妻なのにしていない」
とナナナが言う。
獣人の女の子は拗ねて、抗議《こうぎ》に来たのだ。
ナナナは頬を膨らませている。
「何の話?」と俺は尋ねた。
「交尾だよ。交尾」
とナナナが言った。
シー、と俺は人差し指で静かにしろのジェスチャーをした。
尋ねた俺も悪かった。
日中は色んな人が出入りする。だから誰かに聞かれる恐れもあった。
「コッチにおいで」
と俺が言う。
扉の前で立っていたナナナが俺のところに来る。
なぜか彼女は膝をついて、俺の太ももに顔を埋める。懐いているワンちゃんみたい。
でも頬は膨らんでいた。
ホッペを人差し指で押して、彼女の口の中に含まれていた空気を抜いた。
アニーから、そういう事をしたことを聞いたんだろう。
そして拗ねてしまったんだろう。
トントントン、と扉がノックされた。
ヤバい、と俺は思った。
何もしていないけど、こんな姿を誰かに見られたら、何かをしていたように思われる。
机の下にナナナを隠した。
彼女は俺の太ももに顔を押し付けていた。
部屋の扉を開けて中に入って来たのは財務大臣のユーという男である。元々、金貸し屋の商売をしていた男である。ほぼほぼ毎日、俺のところに顔を出している。消えるお金を使用していたことによって街がどれだけ活性化されているのか、インフレ率がどれだけ上昇しているのか、逐一《ちくいち》話合っているのだ。
インフレ率が上がれば金融引き締めをしなければいけない。金融引き締めというのは金貸し屋が貸す金利を引き上げるということである。実はお金というのは細かい微調整をしながら運営されている物なのである。
俺が財務大臣と話し合っている時、……ナナナにとっては、つまらない話だったんだと思う。
ナナナは俺の太ももをスリスリしていた。
俺は茶色いスーツを愛用している。もちろん耐久性抜群のスーツである。スーツの上からだと、触られていても、それほど感じない。
財務大臣からはナナナは見えない。
俺の机は正面からでは足元が見えない作りになっている。
ナナナが俺のベルトに手をかけた。
コイツは何を考えているんだよ? と思った。
下を向くとナナナがニヤ~と笑っていた。
「全ての街の就業率は上昇しております」
とユーが言った。
就業率というのは、仕事に付いている人のことを言う。
街が活性化されたことにより、商会は設備投資を行い、それに伴《ともな》って従業員を増やしたのだろう。
「安定した時に失業率が上がることも予想されます。何か手はうちますか?」
とユーが尋ねた。
「うたない」と俺は答える。「法律で従業員を守る制度を作ることはできるだろうけど、流動性がなくなってしまう」
流動性というのは、他の物へ交換が簡単にできる性質のことである。
「ですが、雇用を守らないと安定した時に離職率が上がりますよ」
「俺がいた日本は法律で従業員を守っていたんだよ。社会が流動性を失った国だったんだ。流動性が無くなると従業員の給料が上がらない。給料が上がらないと物の値段が上がらない。物の値段が上がらないと海外に色んな物が買われていく。優秀な人材も、優秀な製品も、優秀な技術も全て海外に持っていかれてしまうんだ。それに従業員の雇用を守るために次は会社を守らなければいけなくなってしまう。本来なら潰れるべき会社も国が守らなくちゃいけなくなってしまう。ゾンビ会社が出来上がってしまうんだよ」
と俺は言った。
これは雇用を守るデメリットである。もちろんメリットも存在する。
俺は街を活性化させて国として盤石《ばんじゃく》な経済を作ろうとしている。
指針としては街の活性化を止める法律は作りたくなかった。
「なるほど」と財務大臣が納得する。
「流動性を保つのであれば、雇用を守る法律は作ってはいけませんね」
ナナナはベルトを外して、ズボンのチャックまで下ろしていた。
そしてズボンの中に彼女が手を突っ込んだ。
大切な仕事の話をしている時に、なにをこの子はしてるんだよ?
俺は頭を抱えた。
「どうなされましたか?」
と財務大臣が尋ねた。
「いや、何でもない。少し頭が痛いだけだ」
と俺が言う。
「大丈夫ですか?」
と本当にユーが心配してくれる。
「大丈夫。大丈夫」と俺が言った。
「お忙しいですからお体に気をつけてください」
「ありがとう」と俺は言った。
ナナナは俺の大切なところを触っている。
本当に何やってんだよ?
「それでは、失礼させていただきます」
と財務大臣が出ていく。
ふーー、と俺は息を吐いた。
「ナナナ」と俺が言う。
「仕事中だぞ。何やってんだ?」
「でも王様」と彼女が言った。「すごく興奮してるよ?」
ナナナは俺の大切なところを触りながら言った。
「美味しい、美味しい、していい?」
と彼女が尋ねた。
「ダメ」と俺が言う。
プー、と彼女が頬を膨らませる。
「今晩はナナナと一緒に寝る日だったよね?」と俺は尋ねた。
ポクリ、とナナナが頷いた。
「それじゃあ今日やろう」と俺が言う。
「交尾?」
と彼女が尋ねる。
「交尾」と俺は答えた。
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