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魔王と一緒にいると幸せだった頃のことを思い出す
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イライアのところに行く。
彼女は洞穴の中で小さいドラゴンを飼いならしていた。どこかで見たことがあるような、そんなドラゴンである。
「そのドラゴンは?」
と俺は尋ねた。
「バハムートじゃ」
と魔王が言った。
バハムートが「キュピ」と鳴いた。
「バハムートってそんなに小さかったっけ?」
俺が知っているバハムートは通天閣ぐらいの大きさはあった。
目の前のドラゴンは中型犬ぐらいの大きさである。
子どもなのか?
「小さくしたのじゃ」
「どうやって?」
と俺。
「伸縮の魔法を使ったんじゃ」
そう言いながらイライアはバハムートの頭を撫でた。
「聞いたことねぇーよ。伸縮の魔法で魔物を小さくするなんて」
「お主が知らないだけじゃ」
とイライアが言った。
バハムートは魔王のペットのように懐いている。小さなドラゴンがイライアの膝の上に乗った。
「バッハ」とイライアが言う。「この子の名前じゃ」
「音楽家みたいな名前だな」
と俺が言う。
「それでお主は何用でココに来たのじゃ?」
「用がないと来たら行けないのか?」
「そんな事は言っておらん」と魔王が言う。
「家を持って来たんだ」
と俺が言う。
「家?」
と魔王が首を傾げた。
「洞穴から出よう」
俺は彼女の手を引っ張って、洞穴から出た。
洞穴を出てすぐに、俺はアイテムボックスから家を取り出した。
「ほぉほぉー。たしかに家じゃ」と魔王が頷く。
「どうぞ、お姫様」と言いながら俺は扉を開けた。
イライアがバッハを抱えてログハウスに入った。
「一応、土足厳禁だよ」
と俺が言う。
彼女は靴を脱ぎ、扉の前に並べた。
俺も彼女の後に入った。
すでに家具は配置している。
ベッドが置かれ、タンスや棚が置かれていた。
棚には食器などが置かれている。
ドレッサーも置かれている。ドレッサーというのは化粧をする時に使う家具である。ドレッサーの棚の中には化粧水や乳液。それに口紅やマネキュアまで色んな化粧品が入っていた。
女の子はオシャレをしたい生き物らしい。それがイライアに当てはまるかどうかはわからない。
イライアはドレッサーに座り、棚を開けて化粧品を見ていた。
やっぱり一番先に気になるのか。
バッハはキュピキュピと言いながら自分の寝場所を探していた。
次にイライアはキッチンの棚を開けたり、色んな家具の棚を開けて回った。
最後にベッドに座った。
俺も隣に座った。
「どう?」
と俺が尋ねた。
「家なんて久しぶりじゃ」
「気に入った?」と俺が尋ねた。
「うぬ」とイライアが頷いた。
「よかった」と俺が言う。
俺は彼女のお腹を見た。
肌の露出が多い防具をイライアは着ていた。
これではお腹が冷えてしまう。
俺は立ち上がり、タンスから服を取り出した。
イライアのために作らせたパーカーである。お腹が大きくなっても着れる仕様になっている。パーカー部分にはうさぎの耳が付いていた。
「お腹が冷えるから、コレを着て」
「なんじゃ?」
とイライアが言いながら、パーカーを受け取る。
「子のためか」
とイライアが呟き、パーカーを着た。
彼女の髪の色と同じ白いパーカー。すごく似合っていた。
俺は彼女の隣に腰を降ろす。
「赤ちゃんはどう?」
と俺が尋ねた。
「まだ小さくてお腹も出とらん」
「触っていい?」
うぬ、と彼女が頷いた。
俺はパーカーの上から彼女のお腹を触った。
俺の子どもがイライアのお腹にいるのだ。
過去の幸せな思い出が頭を過ぎった。
イライアもなにかを思い出しているようだった。
それから俺は彼女に何か必要なものはないか? と尋ねた。何もない、と彼女は言った。最近なにかあった? と俺は尋ねた。イライアは特に何も変わらん、と言った。
俺は変なジィジィが死に薬を作っていた話をした。消滅する通貨をジィジィに作らせるために出店の物を全て俺が買い取ったのでアイテムボックスには死に薬が大量に入っている。イライアが興味を持ったので何本か彼女に死に薬を渡した。
「魔力供給しておくのじゃ」と彼女が言った。
「もう魔力は無かったっけ?」
と俺が尋ねる。
「足りん。今2人分の魔力が必要なのじゃ」
そうか、と俺が頷く。
そして俺達はキスをした。
長いキスだった。
魔力供給である。別にエッチな意味はない。
だけど魔力はそれほど吸われなかった。
彼女は魔力を消費していなかったのだろう。
でも魔力はいつでも満タンにしていて損はない。
イライアと一緒にいると幸せだった頃のことを思い出して胸が痛くなった。
彼女は洞穴の中で小さいドラゴンを飼いならしていた。どこかで見たことがあるような、そんなドラゴンである。
「そのドラゴンは?」
と俺は尋ねた。
「バハムートじゃ」
と魔王が言った。
バハムートが「キュピ」と鳴いた。
「バハムートってそんなに小さかったっけ?」
俺が知っているバハムートは通天閣ぐらいの大きさはあった。
目の前のドラゴンは中型犬ぐらいの大きさである。
子どもなのか?
「小さくしたのじゃ」
「どうやって?」
と俺。
「伸縮の魔法を使ったんじゃ」
そう言いながらイライアはバハムートの頭を撫でた。
「聞いたことねぇーよ。伸縮の魔法で魔物を小さくするなんて」
「お主が知らないだけじゃ」
とイライアが言った。
バハムートは魔王のペットのように懐いている。小さなドラゴンがイライアの膝の上に乗った。
「バッハ」とイライアが言う。「この子の名前じゃ」
「音楽家みたいな名前だな」
と俺が言う。
「それでお主は何用でココに来たのじゃ?」
「用がないと来たら行けないのか?」
「そんな事は言っておらん」と魔王が言う。
「家を持って来たんだ」
と俺が言う。
「家?」
と魔王が首を傾げた。
「洞穴から出よう」
俺は彼女の手を引っ張って、洞穴から出た。
洞穴を出てすぐに、俺はアイテムボックスから家を取り出した。
「ほぉほぉー。たしかに家じゃ」と魔王が頷く。
「どうぞ、お姫様」と言いながら俺は扉を開けた。
イライアがバッハを抱えてログハウスに入った。
「一応、土足厳禁だよ」
と俺が言う。
彼女は靴を脱ぎ、扉の前に並べた。
俺も彼女の後に入った。
すでに家具は配置している。
ベッドが置かれ、タンスや棚が置かれていた。
棚には食器などが置かれている。
ドレッサーも置かれている。ドレッサーというのは化粧をする時に使う家具である。ドレッサーの棚の中には化粧水や乳液。それに口紅やマネキュアまで色んな化粧品が入っていた。
女の子はオシャレをしたい生き物らしい。それがイライアに当てはまるかどうかはわからない。
イライアはドレッサーに座り、棚を開けて化粧品を見ていた。
やっぱり一番先に気になるのか。
バッハはキュピキュピと言いながら自分の寝場所を探していた。
次にイライアはキッチンの棚を開けたり、色んな家具の棚を開けて回った。
最後にベッドに座った。
俺も隣に座った。
「どう?」
と俺が尋ねた。
「家なんて久しぶりじゃ」
「気に入った?」と俺が尋ねた。
「うぬ」とイライアが頷いた。
「よかった」と俺が言う。
俺は彼女のお腹を見た。
肌の露出が多い防具をイライアは着ていた。
これではお腹が冷えてしまう。
俺は立ち上がり、タンスから服を取り出した。
イライアのために作らせたパーカーである。お腹が大きくなっても着れる仕様になっている。パーカー部分にはうさぎの耳が付いていた。
「お腹が冷えるから、コレを着て」
「なんじゃ?」
とイライアが言いながら、パーカーを受け取る。
「子のためか」
とイライアが呟き、パーカーを着た。
彼女の髪の色と同じ白いパーカー。すごく似合っていた。
俺は彼女の隣に腰を降ろす。
「赤ちゃんはどう?」
と俺が尋ねた。
「まだ小さくてお腹も出とらん」
「触っていい?」
うぬ、と彼女が頷いた。
俺はパーカーの上から彼女のお腹を触った。
俺の子どもがイライアのお腹にいるのだ。
過去の幸せな思い出が頭を過ぎった。
イライアもなにかを思い出しているようだった。
それから俺は彼女に何か必要なものはないか? と尋ねた。何もない、と彼女は言った。最近なにかあった? と俺は尋ねた。イライアは特に何も変わらん、と言った。
俺は変なジィジィが死に薬を作っていた話をした。消滅する通貨をジィジィに作らせるために出店の物を全て俺が買い取ったのでアイテムボックスには死に薬が大量に入っている。イライアが興味を持ったので何本か彼女に死に薬を渡した。
「魔力供給しておくのじゃ」と彼女が言った。
「もう魔力は無かったっけ?」
と俺が尋ねる。
「足りん。今2人分の魔力が必要なのじゃ」
そうか、と俺が頷く。
そして俺達はキスをした。
長いキスだった。
魔力供給である。別にエッチな意味はない。
だけど魔力はそれほど吸われなかった。
彼女は魔力を消費していなかったのだろう。
でも魔力はいつでも満タンにしていて損はない。
イライアと一緒にいると幸せだった頃のことを思い出して胸が痛くなった。
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