性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万

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エッチなことって交尾?

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 彼女達が寝るのをわざわざ待たなくてもいいんだけど、女子トークを聞いていると馬車から出れなくなってしまった。

 ランプも付けていない馬車は暗闇だった。
 ベッドにしたソファーには2人が横になっている。
 俺は寝袋を使って床で横になっていた。

「小次郎様の裸を見られるのは妻だけなんですからね」
 と暗闇からアニーの声が聞こえた。

 アニーはナナナに俺の裸を見せたことに罪悪感みたいなモノを抱いているらしかった。

「妻だけが小次郎様にエッチなことをしても許されるんですからね」

「エッチなことって交尾?」とナナナ。

「エッチなことっていうのは、今日みたいな裸を覗くことです」

「妻になったら、領主様の裸を見ていいの?」

「もちろんです」

「妻になるにはどうしたらいいの?」
 とナナナが尋ねた。

「小次郎様の妻になりたいんですか?」

「……なりたい」

「エッチがしたいだけじゃないんですか?」

「したい」

「他の人でもいいんじゃないですか?」

「ボクは領主様がいい」

「どうして小次郎様がいいんですか?」

「わかんない。でも領主様がいい」

「ナナナちゃんには無理です」
 とアニーが言った。

「……ボクは獣人だからね」とナナナが言った。
 そして彼女は乾いた笑い声を出した。

 しばらくの沈黙。

「……小次郎様は獣人とか、そんなので差別するような人じゃありません」
 とアニーが言った。
「きっとナナナちゃんのことを気に入れば獣人とか関係なく小次郎様は結婚しますよ」

「本当?」

「……わかりません」

「どうやったら領主様に気に入られるのかな?」

「……わかりません」

「どうしてアニーは領主様と結婚できたの?」

「……わかりません」

 暗闇の中が静寂になった。

「小次郎様は私なんかより、ミナミ様の方が好きなんだと思います。たまたま私は結婚できただけで……まだ小次郎様に愛されているかどうかもわかりません」
 アニーが呟いた。
 コレはナナナに伝えているのではなく、俺に伝えているような気がした。
 もっと私のことを見て、とアニーは俺に言っているのだ。

「大丈夫。愛されているよ」とナナナ。
「ボクも気にいられるように頑張るよ」

「頑張らないでください」とアニー。

「どうして?」

「ライバルは少ない方がいいです」

「アニーってケチだよね。薬草も値切ってきたし」
 ナナナのその言葉は、もう眠たそうだった。

「別にケチじゃないです」
 とアニーが呟いた。

 2人の言葉は途切れ、スースーと寝息が聞こえた。


 そろそろ俺も家に帰ろう。
 そう思っていたのに、2人のうちのどちらかが立ち上がり、俺のところにやって来た。

「小次郎様」
 とアニーの声が聞こえた。

「寝袋に一緒に入ってよろしいでしょうか?」

「いいよ」
 と俺は言った。

 寝袋はコの字型になっているだけでチャックが無い。
 空いているところから彼女が足を突っ込んで芋虫のように入って来る。
 彼女が完全に寝袋に入りきると俺はアニーの体に腕を回した。

 アニーの足が俺の足に絡みついて来る。
 彼女の唇が、暗闇の中で俺の唇を探している。
 チュ、と鳥のようなキスをする。

「キスの前借りかい?」
 と俺は尋ねた。

「キスは解禁されたんです」
 とアニーが言う。

 そっか。もう前借りじゃなく、解禁になったらしい。

 俺はアニーに深いキスをした。
「愛してるよ」
 そう言って俺は彼女の頭を撫でた。
 アニーが寝落ちするまで、頭を撫で続けた。

 俺は寝袋から出た。
 ソファーで寝ているはずのナナナの目が暗闇の中でキラリと一瞬だけ光った。
 もしかしてナナナは起きていたのか? 俺とアニーがイヤらしいことをするのを期待していたのか?  

 俺は馬車から出た。
 すでに馬車には強力な結界を張っている。
 俺はワープホールを使って家に帰った。

 肉体強化の魔法をかけて俺は仕事をこなす。
 どうやらマラソン大会の日に作った災害保険の売れ行きは好調らしい。なにかの災害で家が壊れたら保証する保険である。
 もし勇者がやって来て街を破壊した場合、領民達が街に帰って来ないんじゃないか? そう考えて作った保険だった。

 本当に勇者がやって来て街を破壊したら保険で集めたお金だけでは補償できないだろう。
 足りなければアイテムボックスに入ってる希少なアイテムを売ったりしなくてはいけない。

 保険は営利目的ではなく、この街に領民達が根付くためのものだった。

 朝になって馬車に帰ると寝袋にアニーとナナナが抱き合って眠っていた。
 どうしてこうなったんだろう?
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