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3章 子どもの終わり
第39話 弟子に仲間殺しはさせたくない
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「プロントクローズ」
俺がスキルを出す前に、森の中から声が聞こえた。
誰かがスキルを発動させたのだ。
地面から太い木の根が飛び出し、クロスだけを羽交締めにした。
「パパ」
とクロスから解放されたネネちゃんが言って、俺に向かって走って来る。
飛びついて来た我が娘を、俺は強く抱きしめた。
「ファイアスラッシュ」
と声が聞こえて、森の中から赤髪の美しい女性が飛び出して来た。
彼女の剣はクロスに向かって行く。
当たれば確実にクロスは死ぬだろう。
「ストップ」と俺は叫んだ。
マミの剣がクロスを真っ二つにする寸前で止まった。
「先生、コイツは殺すべきですよ」
とマミが言う。
「お前達はわかってない。今、どれほど、この国にネネが必要なのか」とクロス。
「わかってないのはクロスじゃない」
と木々の間から、アイリが顔を出す。
「私達がどれほど先生に恩があるのか忘れたの?」
「国を守る事で恩は返すつもりだ」とクロスが言う。
「本当、バカクロス」
と歯を剥き出しにマミが怒った。
「その恩人の娘を誘拐して、何が恩を返すのよ」
みきみきみき、と木の根が締まる音がする。アイリが木を操り、締めているのだろう。クロスが苦しそうだった。
「2人ともやめなさい」と俺は言った。
「どうして?」と2人が尋ねた。
2人には仲間殺しをさせたくなかった。このバカは俺の弟子なのだ。弟子の処罰は師匠の役目である。
「向いている方向が違うだけで、クロスも正義なんだろう」と俺は言った。
「ただ、次にネネちゃんを誘拐しようとしたら、その時は許さないぞ」
アイリがプラントクローズを解除して、マミがアイテムボックスに大剣を締まった。
「先生はわかっていない」とクロスは呟いた。そして「隠蔽」とスキル名を口に出して消えてしまった。
「アイリお姉ちゃん、マミお姉ちゃん」とネネちゃんが言って、まずはアイリに抱きつき頭を撫でてもらってから、次はマミに抱きついて頭を撫でてもらう。そして2人の手を嬉しそうにネネちゃんが握った。
「クロスをこのままにして、本当にいいんですか?」とアイリが質問した。
「次にネネちゃんに手出ししたら許さない、って警告はしたさ。2人が手を汚さなくていい。あのバカのお仕置きは師匠の俺の役目だよ」
と俺が言う。
「お願いします」と2人が頭を下げる。そのお願いの中には、申し訳ございません、も含まれているようだった。
「俺の責任だよ」と俺は言った。
「そんな事は絶対にありません」とアイリが言う。
「ところで強敵は倒して来てくれたんだね?」と俺は尋ねた。
この国から強敵を倒してほしいというクエストの依頼を受けるのは、俺を含めてアイリとマミの3人だけだった。
強敵の電鳥を倒したのは、俺に大きな経験値が入った事で気づいていた。
2人で倒せる強敵なら2人に任せていた。倒せないようなら一旦、帰ってから3人で向かう。ほぼほぼ、この2人で強敵を倒す事ができた。
「はい」
と2人が返事をした。
「よく無事に帰って来てくれたね。ありがとう」と俺は言う。
ありがとう、と言うのは少し違うかもしれないけど、生きていてくれてありがとうと気持ちがはみ出てしまった。
「はい」と2人が元気よく返事をした。
「今日はもう帰ろう」と俺は言った。
わーい、とネネちゃんが喜んだ。
俺がスキルを出す前に、森の中から声が聞こえた。
誰かがスキルを発動させたのだ。
地面から太い木の根が飛び出し、クロスだけを羽交締めにした。
「パパ」
とクロスから解放されたネネちゃんが言って、俺に向かって走って来る。
飛びついて来た我が娘を、俺は強く抱きしめた。
「ファイアスラッシュ」
と声が聞こえて、森の中から赤髪の美しい女性が飛び出して来た。
彼女の剣はクロスに向かって行く。
当たれば確実にクロスは死ぬだろう。
「ストップ」と俺は叫んだ。
マミの剣がクロスを真っ二つにする寸前で止まった。
「先生、コイツは殺すべきですよ」
とマミが言う。
「お前達はわかってない。今、どれほど、この国にネネが必要なのか」とクロス。
「わかってないのはクロスじゃない」
と木々の間から、アイリが顔を出す。
「私達がどれほど先生に恩があるのか忘れたの?」
「国を守る事で恩は返すつもりだ」とクロスが言う。
「本当、バカクロス」
と歯を剥き出しにマミが怒った。
「その恩人の娘を誘拐して、何が恩を返すのよ」
みきみきみき、と木の根が締まる音がする。アイリが木を操り、締めているのだろう。クロスが苦しそうだった。
「2人ともやめなさい」と俺は言った。
「どうして?」と2人が尋ねた。
2人には仲間殺しをさせたくなかった。このバカは俺の弟子なのだ。弟子の処罰は師匠の役目である。
「向いている方向が違うだけで、クロスも正義なんだろう」と俺は言った。
「ただ、次にネネちゃんを誘拐しようとしたら、その時は許さないぞ」
アイリがプラントクローズを解除して、マミがアイテムボックスに大剣を締まった。
「先生はわかっていない」とクロスは呟いた。そして「隠蔽」とスキル名を口に出して消えてしまった。
「アイリお姉ちゃん、マミお姉ちゃん」とネネちゃんが言って、まずはアイリに抱きつき頭を撫でてもらってから、次はマミに抱きついて頭を撫でてもらう。そして2人の手を嬉しそうにネネちゃんが握った。
「クロスをこのままにして、本当にいいんですか?」とアイリが質問した。
「次にネネちゃんに手出ししたら許さない、って警告はしたさ。2人が手を汚さなくていい。あのバカのお仕置きは師匠の俺の役目だよ」
と俺が言う。
「お願いします」と2人が頭を下げる。そのお願いの中には、申し訳ございません、も含まれているようだった。
「俺の責任だよ」と俺は言った。
「そんな事は絶対にありません」とアイリが言う。
「ところで強敵は倒して来てくれたんだね?」と俺は尋ねた。
この国から強敵を倒してほしいというクエストの依頼を受けるのは、俺を含めてアイリとマミの3人だけだった。
強敵の電鳥を倒したのは、俺に大きな経験値が入った事で気づいていた。
2人で倒せる強敵なら2人に任せていた。倒せないようなら一旦、帰ってから3人で向かう。ほぼほぼ、この2人で強敵を倒す事ができた。
「はい」
と2人が返事をした。
「よく無事に帰って来てくれたね。ありがとう」と俺は言う。
ありがとう、と言うのは少し違うかもしれないけど、生きていてくれてありがとうと気持ちがはみ出てしまった。
「はい」と2人が元気よく返事をした。
「今日はもう帰ろう」と俺は言った。
わーい、とネネちゃんが喜んだ。
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