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3章 子どもの終わり

第36話 ネネちゃんのステータス

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 ネネちゃんは歩いても転ばなくなって、オッパイのことを「オッピ」と呼び始める。
「オッピ、オッピ」とクリクリ頭の1歳児が言うと美子さんはオッパイを出してミルクをあげた。
 伝えたいけど伝えられない。発音したいけど発音できない。喋れる言葉を駆使してパパママに伝えてくるネネちゃんの声はたまらなく可愛かった。
 喋れる数が増えていくと、次は歯の数が多くなっていく。始めは歯茎を触るとザラザラした感触があるだけだったのに、前歯2本が生えてビーバーみたいになる。
 そして気づいた時には歯が数本生え始めていた。
 授乳をしているとオッパイの中心にあるチョボを噛まれるらしく、「痛い」と美子さんが叫ぶようになる。
「授乳、もうやめようかな」と彼女が言い始めた。
 オッピ、オッピ、と幼児はオッパイをご所望だった。
 だけど美子さんのオッパイのチョボは限界だった。
「もしかしたら攻撃力が強いのかもな」
 と俺が言う。
 そう言えばネネちゃんって俺の庇護下に入っていなかったっけ? 庇護下の者はステータスを見ることができる。レベルが0だった時に一度見て以来、ステータスを確認していなかった。もしかしたら成長してレベルが上がっているかもしれない。一定の年齢までは成長と共にレベルが上がる可能性があった。
 俺はネネちゃんのステータスを確認した。

 中本ネネ 1歳
 レベル1
 職業 勇者

(ステータス)
 最大HP 1000
 最大MP 1000
 攻撃力 1000
 守備力 1000
 攻撃魔力 1000
 力 1000
 みのまもり 1000
 すばやさ 100
 きようさ 1

(パッシブスキル)
 自動回復……聖母のミルクを飲み続けたことで得たスキル。怪我を負っても自動に回復する。


 吐き出しそうになった。
 さっき食べた晩御飯を吐き出しそうになった訳じゃない。驚きすぎて1週間前に食べた朝ご飯を吐き出しそうになった。
 レベル1で全てのステータスが表示されている。マミもアイリもレベル40でようやく全てのステータスが表示できるようになった。クロスにいたってはHPもMPの表示もまだである。
 しかもレベル1でこの強さ。
 自動回復ってなんだよ。

 俺は1年前の勇者の姿を思い出す。
 オークキングで俺達のことを助けてくれた勇者。
 女子高生ぐらいの女の子だった。

 ネネちゃんは勇者。
 ネネちゃんも異常な力を手にいれるのだろう。
 
「どうしたの?」
 と美子さんが尋ねた。
「ネネちゃんのステータスを見たんだ」
 と俺が言う。
「どうだった?」
「レベル1になっていた。しかもチートだし、すでに自動回復が付いてる」
「すごいね」
 と美子さんはオッピを飲んでいるクルクル頭のネネちゃんを撫でた。
「本当にウチの子はすごいんだ」と俺が言う。
 親バカ発言をしていた。いや、こんな事を言いたい訳じゃない。
「やっぱり、ネネちゃんは勇者らしい」
 と俺が言う。
 勇者。国の兵器。
「いいじゃない。この子が自分の道を決めるのよ。勇者になろうと、別の道を目指そうと。この子は私達の可愛い娘じゃない」
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