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1章 パパになる
第9話 大人の授乳
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冬眠した熊のように俺達は穴の中でジッと過ごした。
ココにいる事がバレるかもしれない、と緊張しながら過ごしていたはずなのに、気づいた時には瞼を瞑っていた。
「ミャー、ミャー」とネネちゃんの泣き声で俺は起きた。
枯葉で塞いでいた穴の隙間から光が溢れ出している。夜が明けたらしい。
妻がネネちゃんにオッパイをあげている。それが終わるまで待って、穴を塞いでいた枯葉を取ろうとした。
「ちょっと待って」と妻が言う。
「胸が痛いの」
「恋でもしてるの?」と俺が尋ねた。
「バカ」と美子さんが言う。「オッパイが溜まってるのよ」
俺は首を傾げた。オッパイが溜まっていたら胸が痛くなるモノなのか?
「まだネネちゃんはオッパイをいっぱい飲んでくれないの。このままじゃあ乳性炎になっちゃう」
「ニュウセイエン」と俺は呟いた。
「美子さんのスキルで治せないの?」と俺は尋ねた。
「わからない。でも胸が張って痛い。とにかくオッパイを絞りたい」
「乳搾りする、ってこと?」
「そう」と彼女が頷く。
授乳していると喉が渇くらしく、一夜で空になった水袋を俺は持つ。そして授乳する前よりも大きくなったオッパイを美子さんが絞った。
ミルクが水袋の中に少しずつ入って行く。2つのオッパイを絞り、水袋が3分の2ぐらい入った。
「ダルい」と彼女が言った。
絞るのはしんどいらしい。
「まだ右乳が痛い」
「俺が絞ってあげようか?」
と俺は提案した。
彼女の乳を絞り、水袋に入れる。前よりもオッパイは固くなっているような気がした。
ネネちゃんは美子さんのお腹の上でスースーと寝息をたてて眠っている。
赤ちゃんはヨダレを垂らしていた。まだ彼女は自分が産まれたことも気づいていないのだ。可愛い。
「素人がオッパイを絞ると痛い」と美子さんが言った。
「ごめん」と俺は謝って、オッパイを絞ることをやめた。
俺はオッパイの素人だったのか、と残念に思った。オッパイのプロになるほど俺はオッパイを触ってきていないのだ。
「それじゃあどうしよう?」と俺は尋ねた。
「吸って」と彼女が言った。
「でもネネちゃんのオッパイじゃん」と俺が言う。
「私、乳性炎になっちゃうよ」
「俺がオッパイを吸ったことでネネちゃんと間接キスすることになってしまうじゃん。虫歯菌がうつっちゃうかも」と俺が言う。
ネネちゃんにチューするのは禁止されていた。親の虫歯菌をチューすることで移すらしい。美子さんの知識である。
「アナタは拭くって行為を知らないの?」
「拭くことができることを失念していた」と俺が言う。
「早く吸ってくれるかしら?」
「すみません、いただきます」と俺は言う。
「どうぞ」と美子さんが言った。
乳性炎から妻を守るために、俺はネネちゃんが飲みきれなかったミルクを飲んだ。
柔らかい感触。
味は砂糖水のようだった。生暖かい。
よしよしするように美子さんが俺の頭を撫でた。
赤ちゃんに戻ったような気持ちになる。
それと同時に、体の奥深くから、エネルギーが溢れてくるような気がした。
もしかしたら美子さんが作った料理のように回復効果がミルクにも付与されているかもしれない。
でも今は怪我はしていない。回復効果が付与されているのかは確認ができない。
だけどミルクを飲んでいるとエネルギーが溢れ出しているのはわかった。
体が熱い。魔力が体を巡っているようだった。
「どう?」と彼女が尋ねた。
「最強モードになったみたい」
今なら、どんな敵が来ても倒せそうと思った、と同時に、美子さんのミルクで育ったネネちゃんがスーパーパワーを手に入れるんじゃないか、と思った。
それから俺は穴から出た。周りに敵がいないか確認してから彼女達を穴から引っ張り出した。
「それじゃあ行こうか」と俺が言う。
「どこに行くか知ってるの?」
「知らない」
「知らないなら勝手に歩かないで」
「はい」と俺は返事をして、止まる。
「リュックからコンパスを取って東に進めば、二、三日もすれば隣の国に辿り着けるわよ」
「二、三日」と俺は呟いた。
彼女達を隣の国まで守りきれるのだろうか。もしかしたら盗賊が出るかもしれない。長い道のりを考えて俺は溜息をついた。
「二、三日なんてすぐよ」と彼女が言った。「むしろ、お隣の国がこんなに近くてラッキーじゃない」
そうだね、と俺は言いながらリュックの中を探った。
「小さいポケットの中にコンパスは入ってるわよ」と美子さんが言った。
俺はコンパスを取り出して、当たりを警戒しながら歩き始めた。
ココにいる事がバレるかもしれない、と緊張しながら過ごしていたはずなのに、気づいた時には瞼を瞑っていた。
「ミャー、ミャー」とネネちゃんの泣き声で俺は起きた。
枯葉で塞いでいた穴の隙間から光が溢れ出している。夜が明けたらしい。
妻がネネちゃんにオッパイをあげている。それが終わるまで待って、穴を塞いでいた枯葉を取ろうとした。
「ちょっと待って」と妻が言う。
「胸が痛いの」
「恋でもしてるの?」と俺が尋ねた。
「バカ」と美子さんが言う。「オッパイが溜まってるのよ」
俺は首を傾げた。オッパイが溜まっていたら胸が痛くなるモノなのか?
「まだネネちゃんはオッパイをいっぱい飲んでくれないの。このままじゃあ乳性炎になっちゃう」
「ニュウセイエン」と俺は呟いた。
「美子さんのスキルで治せないの?」と俺は尋ねた。
「わからない。でも胸が張って痛い。とにかくオッパイを絞りたい」
「乳搾りする、ってこと?」
「そう」と彼女が頷く。
授乳していると喉が渇くらしく、一夜で空になった水袋を俺は持つ。そして授乳する前よりも大きくなったオッパイを美子さんが絞った。
ミルクが水袋の中に少しずつ入って行く。2つのオッパイを絞り、水袋が3分の2ぐらい入った。
「ダルい」と彼女が言った。
絞るのはしんどいらしい。
「まだ右乳が痛い」
「俺が絞ってあげようか?」
と俺は提案した。
彼女の乳を絞り、水袋に入れる。前よりもオッパイは固くなっているような気がした。
ネネちゃんは美子さんのお腹の上でスースーと寝息をたてて眠っている。
赤ちゃんはヨダレを垂らしていた。まだ彼女は自分が産まれたことも気づいていないのだ。可愛い。
「素人がオッパイを絞ると痛い」と美子さんが言った。
「ごめん」と俺は謝って、オッパイを絞ることをやめた。
俺はオッパイの素人だったのか、と残念に思った。オッパイのプロになるほど俺はオッパイを触ってきていないのだ。
「それじゃあどうしよう?」と俺は尋ねた。
「吸って」と彼女が言った。
「でもネネちゃんのオッパイじゃん」と俺が言う。
「私、乳性炎になっちゃうよ」
「俺がオッパイを吸ったことでネネちゃんと間接キスすることになってしまうじゃん。虫歯菌がうつっちゃうかも」と俺が言う。
ネネちゃんにチューするのは禁止されていた。親の虫歯菌をチューすることで移すらしい。美子さんの知識である。
「アナタは拭くって行為を知らないの?」
「拭くことができることを失念していた」と俺が言う。
「早く吸ってくれるかしら?」
「すみません、いただきます」と俺は言う。
「どうぞ」と美子さんが言った。
乳性炎から妻を守るために、俺はネネちゃんが飲みきれなかったミルクを飲んだ。
柔らかい感触。
味は砂糖水のようだった。生暖かい。
よしよしするように美子さんが俺の頭を撫でた。
赤ちゃんに戻ったような気持ちになる。
それと同時に、体の奥深くから、エネルギーが溢れてくるような気がした。
もしかしたら美子さんが作った料理のように回復効果がミルクにも付与されているかもしれない。
でも今は怪我はしていない。回復効果が付与されているのかは確認ができない。
だけどミルクを飲んでいるとエネルギーが溢れ出しているのはわかった。
体が熱い。魔力が体を巡っているようだった。
「どう?」と彼女が尋ねた。
「最強モードになったみたい」
今なら、どんな敵が来ても倒せそうと思った、と同時に、美子さんのミルクで育ったネネちゃんがスーパーパワーを手に入れるんじゃないか、と思った。
それから俺は穴から出た。周りに敵がいないか確認してから彼女達を穴から引っ張り出した。
「それじゃあ行こうか」と俺が言う。
「どこに行くか知ってるの?」
「知らない」
「知らないなら勝手に歩かないで」
「はい」と俺は返事をして、止まる。
「リュックからコンパスを取って東に進めば、二、三日もすれば隣の国に辿り着けるわよ」
「二、三日」と俺は呟いた。
彼女達を隣の国まで守りきれるのだろうか。もしかしたら盗賊が出るかもしれない。長い道のりを考えて俺は溜息をついた。
「二、三日なんてすぐよ」と彼女が言った。「むしろ、お隣の国がこんなに近くてラッキーじゃない」
そうだね、と俺は言いながらリュックの中を探った。
「小さいポケットの中にコンパスは入ってるわよ」と美子さんが言った。
俺はコンパスを取り出して、当たりを警戒しながら歩き始めた。
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