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1章 覚醒するバカ
第4話 冒険者ギルド
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先生の指示を受け、職員室に行った。
そして五十代女性の教頭先生の車に乗せられた。
「もう冒険者ギルドに行くんですか?」
と俺は尋ねた。
おばちゃん教頭先生は車のエンジンをかけた。
「逃げる生徒がいるからね」
「俺、逃げませんよ」
「簡易検査で見つけた冒険者を見逃したら学校に罰則があるのよ。君は逃げないと思うけど、学校のルールとして連れて行くのよ」
車が走り始める。
「不安だよね? ダンジョンに入るんだもんね」
おばちゃん教頭先生が言う。
「はい、でも俺でよかったです」
と俺が言う。
「他の誰でもなく、神様に選ばれてダンジョンに入るのが俺でよかったです」
自分で言っていて、良いこと言うじゃん、と思ったので、教頭先生の顔を覗き込んだ。
さぞ関心しているんだろう、と思った。
おばちゃんはアクビをしていた。
もしかしたら聞いていないのかも? っと思って、「他の誰でもなく……」ともう一度言ってみた。
「ちょっと運転中は集中しているから黙って」
とおばちゃんに言われる。
なんだよコイツ。俺、ダンジョンに行かなくちゃいけないんですけど。少しは気を使えよ。
「さようですか」と言って、俺は窓を眺めた。
窓から眺める景色は絵のように止まって見えた。
俺の精神状態で流れる景色が絵のように止まっているように見えるのではなく、純粋に車の速度が遅かった。
冒険者ギルドに辿り着く。
番号が書かれた紙を貰って待った。
冒険者ギルドは市役所みたいなところだった。四角い建物に、四角いお役所の人が働いている。
「冒険者ギルドの検査って水○式ですかね?」と俺がおばちゃんに尋ねると無視される。
コイツもしかしてハ◯ターハ◯ター知らんのか?
「たぶん俺、特○系ですよ」
おばちゃんは黙って、俺から距離をとって座った。
「さよですか」と俺は言って、それ以上は何も言わずに黙って待った。
俺が取った番号が呼ばれたので、ステータス検査の窓口まで行く。
少し離れて座っていたおばちゃんも、一応は心配しているスタイルを保ちながら窓口のところまで付いて来た。
窓口には簡易型の検査よりもひと回り大きな球体が置かれている。
あまり綺麗じゃないけど頑張れば付き合えそうな二十代後半ぐらいのお姉さんに、球体に手をかざすように言われる。
俺が手をかざす。
パソコンの画面を睨んでいたお姉さんが首を傾げた。
もしかしたら、すごいスキルが出てきたのでは?
そういえば俺の称号は『成長する者』だった。
ミクも聞いたことがない、と言っていたから、もしかしたら超絶SS級のスキルが画面に映っているのかもしれない。
最強スキルがあったらダンジョンで生き残れるどころか、稼げるじゃん。
稼げたら女の子にモテるじゃん。
童貞のまま死ぬ、と思っていた。
だけど酒池肉林もありえるのだ。
「少しお待ちください」
とお姉さんが言って、誰かを呼びに行った。
「どうしたのかしら?」
と教頭が言った。
「今まで見た事ないスキルだったんでしょ」
と俺は言った。
白髪混じりのおじさんを連れて、お姉さんが戻って来る。
そして白髪混じりのおじさんが、パソコンの画面を見つめる。
「すみません。神の声が聞こえた時に、スキルの授与がありましたか?」
とおじさんに尋ねられる。
「スキルの授与?」
俺は首を傾げる。
「称号のことしか神様は言ってませんでしたが」
「そうですが」
とおじさんは言った。
「残念ですが、小林光太郎様にはスキルは与えられていません」
「えっ」
時が止まった。
スキルが与えられていない?
「もう、このままステータスプレートを発行してください」とおじさんが言う。
「はい」とお姉さんが頷き、マウスを動かす。
プリンターみたいな機械から、銀色の小さなカードが出て来る。
おじさんがステータスプレートをチラッと見て、「フッ」と軽く鼻で笑って、俺に差し出した。
俺は受け取った。
ネックレスにできるようにステータスプレートには小さな穴が付いていた。
書かれている文字を俺は読んだ。
名前:小林光太郎。
称号:成長する者。
スキル:???
ランク:F
「スキルが与えられてないなんて、死に一直線じゃん」
と俺は呟いた。
隣のおばちゃんを見ると体を震わせている。
今日会って、もう会う事はないかもしれない教頭先生も、俺が哀れで泣いているんだろう、と思った。
だけど、よく見たら、このババァ笑うのを我慢しるだけだった。
「新人でも入れるチームを紹介しますので、あちらの三番窓口まで行ってください」
お姉さんが言った。
「いや、マニュアル通りにしようとするな。称号が与えられているだけで、戦う術がないじゃん」
「ダンジョンに入場を許可された国民は、ダンジョンに入るのが義務なので」とおじさんが言う。
「スキルが無いって裸で戦争に行くようなもんじゃん」
「それが国民の義務なのよ」
おばちゃん教頭先生が言った。
自分で言った事が面白かったのか、おばちゃんがブーーーッと吹き出した。
ムカつく。
そして五十代女性の教頭先生の車に乗せられた。
「もう冒険者ギルドに行くんですか?」
と俺は尋ねた。
おばちゃん教頭先生は車のエンジンをかけた。
「逃げる生徒がいるからね」
「俺、逃げませんよ」
「簡易検査で見つけた冒険者を見逃したら学校に罰則があるのよ。君は逃げないと思うけど、学校のルールとして連れて行くのよ」
車が走り始める。
「不安だよね? ダンジョンに入るんだもんね」
おばちゃん教頭先生が言う。
「はい、でも俺でよかったです」
と俺が言う。
「他の誰でもなく、神様に選ばれてダンジョンに入るのが俺でよかったです」
自分で言っていて、良いこと言うじゃん、と思ったので、教頭先生の顔を覗き込んだ。
さぞ関心しているんだろう、と思った。
おばちゃんはアクビをしていた。
もしかしたら聞いていないのかも? っと思って、「他の誰でもなく……」ともう一度言ってみた。
「ちょっと運転中は集中しているから黙って」
とおばちゃんに言われる。
なんだよコイツ。俺、ダンジョンに行かなくちゃいけないんですけど。少しは気を使えよ。
「さようですか」と言って、俺は窓を眺めた。
窓から眺める景色は絵のように止まって見えた。
俺の精神状態で流れる景色が絵のように止まっているように見えるのではなく、純粋に車の速度が遅かった。
冒険者ギルドに辿り着く。
番号が書かれた紙を貰って待った。
冒険者ギルドは市役所みたいなところだった。四角い建物に、四角いお役所の人が働いている。
「冒険者ギルドの検査って水○式ですかね?」と俺がおばちゃんに尋ねると無視される。
コイツもしかしてハ◯ターハ◯ター知らんのか?
「たぶん俺、特○系ですよ」
おばちゃんは黙って、俺から距離をとって座った。
「さよですか」と俺は言って、それ以上は何も言わずに黙って待った。
俺が取った番号が呼ばれたので、ステータス検査の窓口まで行く。
少し離れて座っていたおばちゃんも、一応は心配しているスタイルを保ちながら窓口のところまで付いて来た。
窓口には簡易型の検査よりもひと回り大きな球体が置かれている。
あまり綺麗じゃないけど頑張れば付き合えそうな二十代後半ぐらいのお姉さんに、球体に手をかざすように言われる。
俺が手をかざす。
パソコンの画面を睨んでいたお姉さんが首を傾げた。
もしかしたら、すごいスキルが出てきたのでは?
そういえば俺の称号は『成長する者』だった。
ミクも聞いたことがない、と言っていたから、もしかしたら超絶SS級のスキルが画面に映っているのかもしれない。
最強スキルがあったらダンジョンで生き残れるどころか、稼げるじゃん。
稼げたら女の子にモテるじゃん。
童貞のまま死ぬ、と思っていた。
だけど酒池肉林もありえるのだ。
「少しお待ちください」
とお姉さんが言って、誰かを呼びに行った。
「どうしたのかしら?」
と教頭が言った。
「今まで見た事ないスキルだったんでしょ」
と俺は言った。
白髪混じりのおじさんを連れて、お姉さんが戻って来る。
そして白髪混じりのおじさんが、パソコンの画面を見つめる。
「すみません。神の声が聞こえた時に、スキルの授与がありましたか?」
とおじさんに尋ねられる。
「スキルの授与?」
俺は首を傾げる。
「称号のことしか神様は言ってませんでしたが」
「そうですが」
とおじさんは言った。
「残念ですが、小林光太郎様にはスキルは与えられていません」
「えっ」
時が止まった。
スキルが与えられていない?
「もう、このままステータスプレートを発行してください」とおじさんが言う。
「はい」とお姉さんが頷き、マウスを動かす。
プリンターみたいな機械から、銀色の小さなカードが出て来る。
おじさんがステータスプレートをチラッと見て、「フッ」と軽く鼻で笑って、俺に差し出した。
俺は受け取った。
ネックレスにできるようにステータスプレートには小さな穴が付いていた。
書かれている文字を俺は読んだ。
名前:小林光太郎。
称号:成長する者。
スキル:???
ランク:F
「スキルが与えられてないなんて、死に一直線じゃん」
と俺は呟いた。
隣のおばちゃんを見ると体を震わせている。
今日会って、もう会う事はないかもしれない教頭先生も、俺が哀れで泣いているんだろう、と思った。
だけど、よく見たら、このババァ笑うのを我慢しるだけだった。
「新人でも入れるチームを紹介しますので、あちらの三番窓口まで行ってください」
お姉さんが言った。
「いや、マニュアル通りにしようとするな。称号が与えられているだけで、戦う術がないじゃん」
「ダンジョンに入場を許可された国民は、ダンジョンに入るのが義務なので」とおじさんが言う。
「スキルが無いって裸で戦争に行くようなもんじゃん」
「それが国民の義務なのよ」
おばちゃん教頭先生が言った。
自分で言った事が面白かったのか、おばちゃんがブーーーッと吹き出した。
ムカつく。
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