なんで異世界来てまで法務やらなあかんねん

みみずく

文字の大きさ
上 下
1 / 2
序章

なんでまた法務やねん

しおりを挟む
「目覚めよ…ハマモト…」
頭の奥で声がするのが聞こえる。
あれ、俺は確かトラックにひかれて…。

目を開けると、そこには王様…ではなく、仏頂面のいかにも事務仕事しかできないおっさんがいた。

「おお!目覚めたか!ハマモト!」
…誰やねん。

「ふむ。まだ、状況が飲み込めておらんようだの。お前を読んだのは他でもない、この私だ」
「呼んだ?」
「うむ。最近我が国でも隣国や、国内での約定書トラブルが増えておってな……しかし私は約定書の専門家ではない。国の文書管理や国王会議の議事録作成をしとるだけだ…そこで、専門家が欲しくてな」
「まずここどこやねん!んで、約定書てなんやねん!てか呼んだってなんやねん!」

ゆったりとしたおっさんのしゃべりにイライラして、つい一気にまくし立ててしまった。

「おっと。資料を渡せてなかった。まず、資料1ページ。ここはカッサオ王国。魔物からも最近は攻められておらんし平和な王国だ。良かったな」
資料を見ると、ゲームで見たことあるような魔物の姿がある。あと、怪しいコンサルが作った感じの、いかにカッサオ王国が素晴らしいかを示したポンチ絵。
とりあえずここは異世界のようだ。

「次に、約定書は貴様らの世界でいう契約書のことだ。唯一違うのは、魔術師が公印に込めた魔術の力により約定に違反すると…まあその場で神罰が下るということだけだ。たぶん、な。」
自力救済が認められてるらしい。裁判所いらずやんけ。色々ツッコミどころはあるが、最後まで聞くことにする。

「呼んだ、というのは私が転生部に依頼して転生させたということだ。企業法務経験5年前後、資格の有無問わず、でな」
「転職サイトかよ」
突っ込む気力も失せてくる。とりあえず、異世界に転生してしまったということは理解できた。

「要するに、お前は異世界に来て総務しかない会社に入って法務部を立ち上げるんだ」
なんて、わかりやすい説明。
しかし、そんなことを行っている場合ではない。

「イヤだ、といったら?」
「お前さんが寝てる間にホレ、約定書を作っておいてな。バッチリお前さんの公印も入っとる。違約定罰として…天空から叩き落されることになっとるな」
「二段の推定を覆す気力もわかんわ……」
「なんだ、二段の推定って」
「おいおい教えるよ、とりあえず、契…約定書を見ればいいんだろ」
異世界に転生した以上、仕事をやらないと仕方がない。違約定罰の仕組みもわからんし。

「話が早いな。とりあえず、寮に案内させるから、今日はよく寝てくれ」

こうして私の法務部立ち上げ…違った、異世界リーガル暮らしが始まったのであった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

処理中です...