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序章
なんでまた法務やねん
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「目覚めよ…ハマモト…」
頭の奥で声がするのが聞こえる。
あれ、俺は確かトラックにひかれて…。
目を開けると、そこには王様…ではなく、仏頂面のいかにも事務仕事しかできないおっさんがいた。
「おお!目覚めたか!ハマモト!」
…誰やねん。
「ふむ。まだ、状況が飲み込めておらんようだの。お前を読んだのは他でもない、この私だ」
「呼んだ?」
「うむ。最近我が国でも隣国や、国内での約定書トラブルが増えておってな……しかし私は約定書の専門家ではない。国の文書管理や国王会議の議事録作成をしとるだけだ…そこで、専門家が欲しくてな」
「まずここどこやねん!んで、約定書てなんやねん!てか呼んだってなんやねん!」
ゆったりとしたおっさんのしゃべりにイライラして、つい一気にまくし立ててしまった。
「おっと。資料を渡せてなかった。まず、資料1ページ。ここはカッサオ王国。魔物からも最近は攻められておらんし平和な王国だ。良かったな」
資料を見ると、ゲームで見たことあるような魔物の姿がある。あと、怪しいコンサルが作った感じの、いかにカッサオ王国が素晴らしいかを示したポンチ絵。
とりあえずここは異世界のようだ。
「次に、約定書は貴様らの世界でいう契約書のことだ。唯一違うのは、魔術師が公印に込めた魔術の力により約定に違反すると…まあその場で神罰が下るということだけだ。たぶん、な。」
自力救済が認められてるらしい。裁判所いらずやんけ。色々ツッコミどころはあるが、最後まで聞くことにする。
「呼んだ、というのは私が転生部に依頼して転生させたということだ。企業法務経験5年前後、資格の有無問わず、でな」
「転職サイトかよ」
突っ込む気力も失せてくる。とりあえず、異世界に転生してしまったということは理解できた。
「要するに、お前は異世界に来て総務しかない会社に入って法務部を立ち上げるんだ」
なんて、わかりやすい説明。
しかし、そんなことを行っている場合ではない。
「イヤだ、といったら?」
「お前さんが寝てる間にホレ、約定書を作っておいてな。バッチリお前さんの公印も入っとる。違約定罰として…天空から叩き落されることになっとるな」
「二段の推定を覆す気力もわかんわ……」
「なんだ、二段の推定って」
「おいおい教えるよ、とりあえず、契…約定書を見ればいいんだろ」
異世界に転生した以上、仕事をやらないと仕方がない。違約定罰の仕組みもわからんし。
「話が早いな。とりあえず、寮に案内させるから、今日はよく寝てくれ」
こうして私の法務部立ち上げ…違った、異世界リーガル暮らしが始まったのであった。
頭の奥で声がするのが聞こえる。
あれ、俺は確かトラックにひかれて…。
目を開けると、そこには王様…ではなく、仏頂面のいかにも事務仕事しかできないおっさんがいた。
「おお!目覚めたか!ハマモト!」
…誰やねん。
「ふむ。まだ、状況が飲み込めておらんようだの。お前を読んだのは他でもない、この私だ」
「呼んだ?」
「うむ。最近我が国でも隣国や、国内での約定書トラブルが増えておってな……しかし私は約定書の専門家ではない。国の文書管理や国王会議の議事録作成をしとるだけだ…そこで、専門家が欲しくてな」
「まずここどこやねん!んで、約定書てなんやねん!てか呼んだってなんやねん!」
ゆったりとしたおっさんのしゃべりにイライラして、つい一気にまくし立ててしまった。
「おっと。資料を渡せてなかった。まず、資料1ページ。ここはカッサオ王国。魔物からも最近は攻められておらんし平和な王国だ。良かったな」
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とりあえずここは異世界のようだ。
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自力救済が認められてるらしい。裁判所いらずやんけ。色々ツッコミどころはあるが、最後まで聞くことにする。
「呼んだ、というのは私が転生部に依頼して転生させたということだ。企業法務経験5年前後、資格の有無問わず、でな」
「転職サイトかよ」
突っ込む気力も失せてくる。とりあえず、異世界に転生してしまったということは理解できた。
「要するに、お前は異世界に来て総務しかない会社に入って法務部を立ち上げるんだ」
なんて、わかりやすい説明。
しかし、そんなことを行っている場合ではない。
「イヤだ、といったら?」
「お前さんが寝てる間にホレ、約定書を作っておいてな。バッチリお前さんの公印も入っとる。違約定罰として…天空から叩き落されることになっとるな」
「二段の推定を覆す気力もわかんわ……」
「なんだ、二段の推定って」
「おいおい教えるよ、とりあえず、契…約定書を見ればいいんだろ」
異世界に転生した以上、仕事をやらないと仕方がない。違約定罰の仕組みもわからんし。
「話が早いな。とりあえず、寮に案内させるから、今日はよく寝てくれ」
こうして私の法務部立ち上げ…違った、異世界リーガル暮らしが始まったのであった。
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