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過去編③ 同棲

Side Story 5 - Boys Tease Boy

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キャンパス近くにあるカフェのいつもの席で。

「二人ともなんで黙ってたんや。姫さんが男やったん知らんかったわ」
「瑠偉が勝手に誤解してただけだろ?」
「俺は面白いから黙ってようかなって思ってー」
「お前ら根性悪いっちゅうねん」

むすっと口を尖らせる瑠偉がキモい。

幸もよくやる仕草だけど、幸がやるとまじ可愛いのに。
てか幸はなにやっても可愛い。
ああ、幸に会いたい。

「啓キモっ。にやけんなや」
「どうせ姫のことでも考えてたんでしょ」
「ええ身分やな、啓。あれから俺ら大変やったのに感謝のことばもなしか?」
「そうだよ、啓が急に屋台襲撃するからすごい騒ぎでさー。俺らが場を収めたんだけど?」
「あざっす」
「かるっ」
「心こもってなーい」

文句ばっか垂れる二人に満面の笑みで応えてやった。
お前らほんとは喜んでくれてんだろ? いいよ、わかってる。みなまでいうな。

「まあでも、姫さんに会うてなんか色々謎が解けたわ」
「は? なんだよ、謎って」
「なんで啓がアメリカで急に男遊び始めたんかとか」
「ああ、それねー」
「してねえよ」
「啓が姫さんにはえらい執着しとんのはなんでかとか」
「ああ、それもねー」
「執着とかいうな」
「けど姫さんに会うてわかったわ。あれはヤバい」
「うん、確かに」

ヤバい?

「なにがだよ」
「あれは男を狂わせる女やで」
「女じゃねえし」
「まあ確かに性別は男やけど」
「心も男だし。てか全然女っぽいとことかねえし」
「そこやねん。姫さん、負けず嫌いやろ?」
「まあ、たぶん?」
「たぶんちゃうで、絶対や。姫さんは細い体してるけど女っぽいわけやない。体も顔も男や。性格も男っぽい。そこが余計に男心をそそるやろ」
「ええー。わかんない。どういう意味?」

いや俺はわかる気がする。けど……なんかモヤる。

「強い雄を力ずくで組み敷くわけやろ?」
「力ずくじゃねえし。合意だし」
「ヤる方とヤられる方の関係性の話や。啓お前ヤる方やろ? 女とヤるより征服欲が満たされるんちゃうか。俺やったら絶対そうやわ」

もしかして……瑠偉のやつ幸に関心あんの?

「ええー、瑠偉、男に興味なかったじゃん。どうしたの急に」
「男に興味はない。俺は女がええ」
「なのに男が男を征服するほうが欲が満たされるとか言っちゃうわけ?」
「男に興味はないけど、姫さんならええかなと」
「ばっ、な、……ダメっ!!!」

ダメだ。
幸は絶対ダメ。

「ああ、俺もそれは思ったー。姫ってば超綺麗な肌だったよねー。白くてシミひとつなくてさー」
「あれは触ってみたいやろ? それにあの腰のくびれ」
「うん。細かったよねー。背中のラインもすごく綺麗だしー」
「せやねん。気ぃ強そうな目で睨むくせにあのエロい体は……」
「一回でいいからヤりた-い」
「お前ら、何言ってんだよっ! 幸は俺んだからっ! 絶対、絶対手ぇ出すなよっ!」

後からあれは冗談だ、揶揄ってただけだって言ってたけど、あいつら絶対半分は本気だった。
特に瑠偉には気を付けないとヤバい気がする。

幸は俺んだ!
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