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本編
第六話 その距離、マイナス二十センチ以上?
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午前一時すぎ。
いつもより二倍は長く感じたバイトがやっと終わった。
「朔夜さん、お先に失礼します」
「おお、修二、お疲れさん。終電間に合う? 俺の車乗ってくか?」
「や、大丈夫っす。なんか、こっから近いみたいなんで」
今夜は慶のところに泊めてもらうことになったのだ。大学入学を機にひとり暮らしをしていたなんて知らなくて、慶に部屋に誘われたときにちょっと拗ねてしまったのは内緒だ。
あれから、俺を探しに来た聖夜に何故か慶だけが頭を叩かれて引き離され、抱き合っていたのを目撃されて恥ずかしがっている間もなく、ライブの後片付けを手伝わされた。俺ではなくて、慶が。というのも、俺は立っているのがやっとという体で、まったく使いものにならなかったから。
「よかったな、修二。慶だっけ? あいつお前にベタ惚れじゃねえか」
「よかった、んですかね……」
確かに慶とは付き合うことになった。覚悟も決めたし、もちろん嬉しくもある。けれど不安な気持ちは拭えないし、心配事も山ほどある。
「まったくお前は……。とりあえず第一歩だろ? あんま心配ばっかすんな?」
俺の頭をくしゃくしゃと撫でて微笑む朔夜さんにうんと頷いたとき、背後から「あー!」と叫ぶ声がした。
「触っちゃダメっす。こいつは俺のなんで」
そう言いながら、慶が俺を腕の中に囲い込む。
「ちょ、慶! 朔夜さんに何言ってんだよ! 失礼だろ? 謝れっ!」
「だって修二、頭撫でられて嬉しそうな顔してた」
「はあ?」
「お前、面食いだから心配なんだよ、俺。そいつカッコいいし、まあ俺のがカッコいいけどさ」
「朔夜さんにそいつとか言うなっ!」
「いいよ、修二。てか、お前おもしれえな。聖夜から聞いてた通りだわ」
「聖夜?」
訝し気に眉を顰める慶に、朔夜さんが笑いながら種明かしをする。
「俺、聖夜の兄貴で、朔夜っつーの。修二のことはそういう目で見たことねえから安心しろ」
「え? まじで? 似てねえー」
「そうかな? すげえ似てんだろ?」
二人から受ける印象が真逆だから気付く人は少ないかもしれないが、朔夜さんと聖夜さんの顔立ちはそっくりなのだ。
「二人とも怖いくらい整った顔してんじゃん」
「しゅ、修二……、それってお前の目には聖夜がカッコよく映ってるってこと?」
「はあ? 誰が見ても聖夜はカッコいいだろ?」
「ちっ、盲点だった。これから聖夜にも気を付けねえと。亨もいるし、なんか俺、気ぃ抜けねえ……」
なにやらぶつぶつ呟いている慶を急かして早く帰ろうとしていたところに、京さんと聖夜がやって来て、また帰るタイミングを逃す。
「朔夜、こっちはもう終わったから帰ろうぜ」
「あれ、修二。慶も。なにお前ら、まだ帰ってねえの?」
「や、今帰るとこなんだけど……」
「じゃあ帰るか。修二、慶、お前らも俺が送ってってやるよ」
というわけで、結局、朔夜さんの車で慶のマンションまで送ってもらうことになったのは有難いのだけれど……。車に乗ってる間のおよそ二十分、三人に冷やかされっぱなしで、慶は平気な顔をしていたけど、俺は恥ずかしいことこのうえなかった。
「じゃあな、修二。慶、張り切りすぎて修二のことぶっ壊すなよ?」
「京ちゃん、うぜえ。まあでも、慶はすぐ調子ん乗っからなー。修二、慶が暴走したら殴ってでも止めろよ?」
「おいおい、お前ら、何気に慶にひどくね? んなの俺らがとやかく言うことじゃねえだろ? ああ、けど、修二は明日もバイト入ってんだっけ? 慶お前、修二のこと抱き潰したら承知しねえぞ? 明日修二が足腰立たなくて使いもんになんなかったらどうなるかお前、……わかってんだろうな?」
「てか朔兄が一番ひでえよ。脅してんじゃん」
やっと車から降りたと思ったら、別れ際にとどめを刺され、俺は意識しすぎてがちがちに緊張する羽目になった。
「あ、あのさ、慶。もし、その……ムリだったら、ムリすることねえし。あ、ムリならムリしてもムリだよな? ははっ、なんか早口ことばみてえ。や、あの……その……、俺が言いたいのはさ。別にムリに今日ヤんなくてもいいってことで……。あ、ごめん。別に慶がヤりたいとか言ったわけじゃねえのに。なんか俺みんなに言われてその気になっちゃったっていうか。や、ち、違うっ。そうじゃなくてっ。だからその……、流れ的にさ、普通ならヤるのかなーみたいな。で、でもっ! べ、別に俺はどうしてもヤりたいってわけじゃねえし。だから……」
だから慶に促されるまま先にシャワーを浴びてベッドでひとり悶々としていた俺が、下半身にタオルを巻いただけの姿でシャワーから出てきた慶を見るなり支離滅裂なことを口走ってしまっていたとしても笑わないで欲しい。
「俺はヤりてえよ。さっきから、……もうずっと前から、修二を抱くことしか考えてなかった」
笑うどころか慶は熱の篭もった目で俺を見つめ、そっと抱き寄せて耳元に囁いた。
「修二……、好きだ……」
慶の熱く濡れた唇が、耳元から首筋へと下りていく。
「で、でもっ。……お、俺、……ぁっ、……男だし」
「俺は、男の修二を抱きてえの。それとも修二、お前、抱く方?」
「ち、違っ。抱かれる、ほ、……ひ、ぁっ」
「だったら何の問題もねえだろ?」
「ぁっ、や、……慶っ。ちょ、まっ」
話している合間にも、耳やら首筋やら項やら俺がとりわけ敏感に感じるところを唇や舌で刺激されて。俺は半分泣きそうになりながら慶の胸を押し戻した。
「ま、待てよ、慶」
「待たねえよ。もう待つのは懲り懲りだっつーの」
不機嫌に眉を顰めた慶が苛立った声を出す。
「けど……、慶、勃たねえかもしんねえし……」
「は? なに言ってんの? んなわけねえじゃん」
「けど……」
「けどじゃねえよ。ほら、触ってみろよ。俺、もうこんな……」
慶が俺の手を取って股間に導く。
「で、」
でかい。という言葉と一緒に俺はごくりと唾を飲み込んだ。
昔、慶とは一緒に風呂に入ったこともある。だから慶のそれが人並み以上だと知ってはいた。けれど勃起したところなんてもちろん見たこともなかった。それが今タオル越しとはいえ臨戦態勢のそれを触ってみて、こんなでかいのが入るのかと不安になる。だって凶暴なくらいでかい。二十センチ以上はありそうだ。もしこれが俺の中に入ったら……、
その距離、マイナス二十センチ以上?
ってことになるのか。
いやいや、違う。今問題なのはそのことじゃない。
「けど、俺の体見たら、萎えるかも……」
俺の一番の心配事は、慶が俺の体を見て萎えたらってこと。確かに慶は今俺に欲情しているかもしれないけれど、それは慶の想像の中でのことだ。俺は今まで慶が相手にしてきた女とは違う。実際に男の裸を目の当たりにして、それでも俺に欲情してくれるのか。もし慶が萎えてしまったら、今嬉しい分、俺はどん底に突き落とされる。一生立ち直れないかもしれない。
「はあ……」
大きなため息を吐いた後、しばらく何かを考えるように額に手を当てていた慶がふと顔を上げた。
「脱げよ」
それは明らかな命令だった。低く唸るような声と射るような視線に、俺は慶を本気で怒らせてしまったのだと知る。思わずびくりと後ずさってしまったのは本能だ。
「け、ごめ、俺……」
「ごちゃごちゃうるせー。俺は脱げっつってんだよっ」
ぴりぴりと刺すような慶の怒りに、観念してTシャツを脱ぐと、すかさず「下も」と命じられる。
慶に貸りた着替えは俺には大きすぎてぶかぶかで、半パンは腰の辺りまでずり下がっていた。下着は穿いていないから、それを脱いでしまえばすべてを慶の目に曝すことになる。女じゃあるまいし恥ずかしいわけじゃない。慶にどう思われるのかを考えると怖い。
肌の色が白くて華奢な体つきをしているせいか、女みたいだと言われることがよくあった。けど俺は女じゃない。濃くはないけど体毛だってあるし、付いてるもんは付いてる。しかも今それは痛いくらいに勃ち上がり、先走りで濡れてさえいる。頭では心配だの怖いだの言いつつ、体は欲求に正直に反応しているのだ。それがオスの性《さが》だとしても、慶はこんな俺を見て引いてしまわないだろうか。そう思うと怖い。
半パンに指を引っ掛けたものの、それを脱ぎ去る決心がなかなかつかず、指先がひどく震えた。
震える指先に慶の指が触れる。指先を辿って手の甲へ、慶の指が俺の手をそっと撫でる。その俺を慰めるような触れ合いに震えが止まった頃、優しかったはずの慶の手が乱暴に俺のパンツを引き摺り下ろした。
唖然と見下ろした俺の目に移ったのは、俺のそれに視線を落としてくすりと笑う慶の顔。
「なんだ勃ってんじゃん。それに……濡れてる」
慶の人差し指が俺のそれをつつーっと撫でる。思わずびくりと身震いした俺に、慶がにやりと笑った。
「動くなよ?」
甘い声でそう言われて、俺は機械仕掛けの人形のようにこくこくと頷いた。
いつもより二倍は長く感じたバイトがやっと終わった。
「朔夜さん、お先に失礼します」
「おお、修二、お疲れさん。終電間に合う? 俺の車乗ってくか?」
「や、大丈夫っす。なんか、こっから近いみたいなんで」
今夜は慶のところに泊めてもらうことになったのだ。大学入学を機にひとり暮らしをしていたなんて知らなくて、慶に部屋に誘われたときにちょっと拗ねてしまったのは内緒だ。
あれから、俺を探しに来た聖夜に何故か慶だけが頭を叩かれて引き離され、抱き合っていたのを目撃されて恥ずかしがっている間もなく、ライブの後片付けを手伝わされた。俺ではなくて、慶が。というのも、俺は立っているのがやっとという体で、まったく使いものにならなかったから。
「よかったな、修二。慶だっけ? あいつお前にベタ惚れじゃねえか」
「よかった、んですかね……」
確かに慶とは付き合うことになった。覚悟も決めたし、もちろん嬉しくもある。けれど不安な気持ちは拭えないし、心配事も山ほどある。
「まったくお前は……。とりあえず第一歩だろ? あんま心配ばっかすんな?」
俺の頭をくしゃくしゃと撫でて微笑む朔夜さんにうんと頷いたとき、背後から「あー!」と叫ぶ声がした。
「触っちゃダメっす。こいつは俺のなんで」
そう言いながら、慶が俺を腕の中に囲い込む。
「ちょ、慶! 朔夜さんに何言ってんだよ! 失礼だろ? 謝れっ!」
「だって修二、頭撫でられて嬉しそうな顔してた」
「はあ?」
「お前、面食いだから心配なんだよ、俺。そいつカッコいいし、まあ俺のがカッコいいけどさ」
「朔夜さんにそいつとか言うなっ!」
「いいよ、修二。てか、お前おもしれえな。聖夜から聞いてた通りだわ」
「聖夜?」
訝し気に眉を顰める慶に、朔夜さんが笑いながら種明かしをする。
「俺、聖夜の兄貴で、朔夜っつーの。修二のことはそういう目で見たことねえから安心しろ」
「え? まじで? 似てねえー」
「そうかな? すげえ似てんだろ?」
二人から受ける印象が真逆だから気付く人は少ないかもしれないが、朔夜さんと聖夜さんの顔立ちはそっくりなのだ。
「二人とも怖いくらい整った顔してんじゃん」
「しゅ、修二……、それってお前の目には聖夜がカッコよく映ってるってこと?」
「はあ? 誰が見ても聖夜はカッコいいだろ?」
「ちっ、盲点だった。これから聖夜にも気を付けねえと。亨もいるし、なんか俺、気ぃ抜けねえ……」
なにやらぶつぶつ呟いている慶を急かして早く帰ろうとしていたところに、京さんと聖夜がやって来て、また帰るタイミングを逃す。
「朔夜、こっちはもう終わったから帰ろうぜ」
「あれ、修二。慶も。なにお前ら、まだ帰ってねえの?」
「や、今帰るとこなんだけど……」
「じゃあ帰るか。修二、慶、お前らも俺が送ってってやるよ」
というわけで、結局、朔夜さんの車で慶のマンションまで送ってもらうことになったのは有難いのだけれど……。車に乗ってる間のおよそ二十分、三人に冷やかされっぱなしで、慶は平気な顔をしていたけど、俺は恥ずかしいことこのうえなかった。
「じゃあな、修二。慶、張り切りすぎて修二のことぶっ壊すなよ?」
「京ちゃん、うぜえ。まあでも、慶はすぐ調子ん乗っからなー。修二、慶が暴走したら殴ってでも止めろよ?」
「おいおい、お前ら、何気に慶にひどくね? んなの俺らがとやかく言うことじゃねえだろ? ああ、けど、修二は明日もバイト入ってんだっけ? 慶お前、修二のこと抱き潰したら承知しねえぞ? 明日修二が足腰立たなくて使いもんになんなかったらどうなるかお前、……わかってんだろうな?」
「てか朔兄が一番ひでえよ。脅してんじゃん」
やっと車から降りたと思ったら、別れ際にとどめを刺され、俺は意識しすぎてがちがちに緊張する羽目になった。
「あ、あのさ、慶。もし、その……ムリだったら、ムリすることねえし。あ、ムリならムリしてもムリだよな? ははっ、なんか早口ことばみてえ。や、あの……その……、俺が言いたいのはさ。別にムリに今日ヤんなくてもいいってことで……。あ、ごめん。別に慶がヤりたいとか言ったわけじゃねえのに。なんか俺みんなに言われてその気になっちゃったっていうか。や、ち、違うっ。そうじゃなくてっ。だからその……、流れ的にさ、普通ならヤるのかなーみたいな。で、でもっ! べ、別に俺はどうしてもヤりたいってわけじゃねえし。だから……」
だから慶に促されるまま先にシャワーを浴びてベッドでひとり悶々としていた俺が、下半身にタオルを巻いただけの姿でシャワーから出てきた慶を見るなり支離滅裂なことを口走ってしまっていたとしても笑わないで欲しい。
「俺はヤりてえよ。さっきから、……もうずっと前から、修二を抱くことしか考えてなかった」
笑うどころか慶は熱の篭もった目で俺を見つめ、そっと抱き寄せて耳元に囁いた。
「修二……、好きだ……」
慶の熱く濡れた唇が、耳元から首筋へと下りていく。
「で、でもっ。……お、俺、……ぁっ、……男だし」
「俺は、男の修二を抱きてえの。それとも修二、お前、抱く方?」
「ち、違っ。抱かれる、ほ、……ひ、ぁっ」
「だったら何の問題もねえだろ?」
「ぁっ、や、……慶っ。ちょ、まっ」
話している合間にも、耳やら首筋やら項やら俺がとりわけ敏感に感じるところを唇や舌で刺激されて。俺は半分泣きそうになりながら慶の胸を押し戻した。
「ま、待てよ、慶」
「待たねえよ。もう待つのは懲り懲りだっつーの」
不機嫌に眉を顰めた慶が苛立った声を出す。
「けど……、慶、勃たねえかもしんねえし……」
「は? なに言ってんの? んなわけねえじゃん」
「けど……」
「けどじゃねえよ。ほら、触ってみろよ。俺、もうこんな……」
慶が俺の手を取って股間に導く。
「で、」
でかい。という言葉と一緒に俺はごくりと唾を飲み込んだ。
昔、慶とは一緒に風呂に入ったこともある。だから慶のそれが人並み以上だと知ってはいた。けれど勃起したところなんてもちろん見たこともなかった。それが今タオル越しとはいえ臨戦態勢のそれを触ってみて、こんなでかいのが入るのかと不安になる。だって凶暴なくらいでかい。二十センチ以上はありそうだ。もしこれが俺の中に入ったら……、
その距離、マイナス二十センチ以上?
ってことになるのか。
いやいや、違う。今問題なのはそのことじゃない。
「けど、俺の体見たら、萎えるかも……」
俺の一番の心配事は、慶が俺の体を見て萎えたらってこと。確かに慶は今俺に欲情しているかもしれないけれど、それは慶の想像の中でのことだ。俺は今まで慶が相手にしてきた女とは違う。実際に男の裸を目の当たりにして、それでも俺に欲情してくれるのか。もし慶が萎えてしまったら、今嬉しい分、俺はどん底に突き落とされる。一生立ち直れないかもしれない。
「はあ……」
大きなため息を吐いた後、しばらく何かを考えるように額に手を当てていた慶がふと顔を上げた。
「脱げよ」
それは明らかな命令だった。低く唸るような声と射るような視線に、俺は慶を本気で怒らせてしまったのだと知る。思わずびくりと後ずさってしまったのは本能だ。
「け、ごめ、俺……」
「ごちゃごちゃうるせー。俺は脱げっつってんだよっ」
ぴりぴりと刺すような慶の怒りに、観念してTシャツを脱ぐと、すかさず「下も」と命じられる。
慶に貸りた着替えは俺には大きすぎてぶかぶかで、半パンは腰の辺りまでずり下がっていた。下着は穿いていないから、それを脱いでしまえばすべてを慶の目に曝すことになる。女じゃあるまいし恥ずかしいわけじゃない。慶にどう思われるのかを考えると怖い。
肌の色が白くて華奢な体つきをしているせいか、女みたいだと言われることがよくあった。けど俺は女じゃない。濃くはないけど体毛だってあるし、付いてるもんは付いてる。しかも今それは痛いくらいに勃ち上がり、先走りで濡れてさえいる。頭では心配だの怖いだの言いつつ、体は欲求に正直に反応しているのだ。それがオスの性《さが》だとしても、慶はこんな俺を見て引いてしまわないだろうか。そう思うと怖い。
半パンに指を引っ掛けたものの、それを脱ぎ去る決心がなかなかつかず、指先がひどく震えた。
震える指先に慶の指が触れる。指先を辿って手の甲へ、慶の指が俺の手をそっと撫でる。その俺を慰めるような触れ合いに震えが止まった頃、優しかったはずの慶の手が乱暴に俺のパンツを引き摺り下ろした。
唖然と見下ろした俺の目に移ったのは、俺のそれに視線を落としてくすりと笑う慶の顔。
「なんだ勃ってんじゃん。それに……濡れてる」
慶の人差し指が俺のそれをつつーっと撫でる。思わずびくりと身震いした俺に、慶がにやりと笑った。
「動くなよ?」
甘い声でそう言われて、俺は機械仕掛けの人形のようにこくこくと頷いた。
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