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第十話
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私は、公爵様のご好意に、お礼の手紙を書くことにした。
エマに手紙の書き方を教わった。
「お嬢様。お手紙の書き出しは、「拝啓」とつけるのが、決まりです。伏してご挨拶申し上げますという意味です」
私は、そういえば、前世の記憶でも似たような書き出し方があったと思い出す。
書き方の形式はエマに教えてもらったので、次は中身について。私は、パレハさんや副料理長にジェハーマ公爵様がどんなお人柄か、普段どんな生活を送っているのか、聞いて回った。
公爵様は普段、公爵領の領民がもっと豊かになるように、領地で特産品になるような作物がないかを調べていらっしゃるとのことだった。
やっぱり公爵様はおやさしい方なのだな。
私は、手紙に、拝啓から書き始め、
ジェハーマ公爵様にお会いできたこと、
また公爵様、ビュレッパ伯爵様から母の子供の頃の話を聞けて、本当にうれしかったこと。
母が亡くなって以来、心から笑えたこと、
など、先日の顔合わせの時の出来事に加えて、公爵様が興味をもちそうな、モノの値段を決める際の経済の話などを少しだけ加えて、手紙を書きあげた。
泣き崩れた時に抱きしめてくれた公爵様のあのやさしさを思い出しながら、真っ赤になって、手紙を書いていたことをエマがほほえましく笑っていた。
私はエマの様子に気が付いて、照れくさかった。
私は、侍女長に公爵家へ書き上げた手紙を出してもらうように頼んだ。
その手紙を、継母が侍女長から取り上げることなど予想もできずに、生まれてはじめて誰かに手紙を書き、それが自分の婚約者宛に出したことに一人で無邪気にはしゃいでいた。
エマに手紙の書き方を教わった。
「お嬢様。お手紙の書き出しは、「拝啓」とつけるのが、決まりです。伏してご挨拶申し上げますという意味です」
私は、そういえば、前世の記憶でも似たような書き出し方があったと思い出す。
書き方の形式はエマに教えてもらったので、次は中身について。私は、パレハさんや副料理長にジェハーマ公爵様がどんなお人柄か、普段どんな生活を送っているのか、聞いて回った。
公爵様は普段、公爵領の領民がもっと豊かになるように、領地で特産品になるような作物がないかを調べていらっしゃるとのことだった。
やっぱり公爵様はおやさしい方なのだな。
私は、手紙に、拝啓から書き始め、
ジェハーマ公爵様にお会いできたこと、
また公爵様、ビュレッパ伯爵様から母の子供の頃の話を聞けて、本当にうれしかったこと。
母が亡くなって以来、心から笑えたこと、
など、先日の顔合わせの時の出来事に加えて、公爵様が興味をもちそうな、モノの値段を決める際の経済の話などを少しだけ加えて、手紙を書きあげた。
泣き崩れた時に抱きしめてくれた公爵様のあのやさしさを思い出しながら、真っ赤になって、手紙を書いていたことをエマがほほえましく笑っていた。
私はエマの様子に気が付いて、照れくさかった。
私は、侍女長に公爵家へ書き上げた手紙を出してもらうように頼んだ。
その手紙を、継母が侍女長から取り上げることなど予想もできずに、生まれてはじめて誰かに手紙を書き、それが自分の婚約者宛に出したことに一人で無邪気にはしゃいでいた。
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