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6.新派閥旗揚げ編
6.ネーミングセンスにおいても年の功は有効であることのススメ
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この4か月の間に、当初の計画は順調に進んだ。
第三王女の側近の護衛騎士は結局、第二王女の直臣の弟が着任した。超一流という腕前ではないが、「まずまず」の剣の腕であった。一剣士というよりも、部隊長という趣で、剣の腕より戦術眼の方が期待できる。軍官あがりの人物なので、よい護衛長になると思う。採用後、俺の助言に従ってアリアさんがその新しい直臣を厚遇した。
『ゲファルナ卿として、魔法なしの条件で、剣のみで手合わせして、負けたくせに「まずまず」とは主殿も負けず嫌いじゃのう』
『俺の本当の得物は、剣ではなく小太刀とナイフだからいいんだよ』
採用試験の意味で、俺が剣の模擬線で負けたことについてエクスがからかってくる。断じて、俺の力は剣などでは測れないのだ!
第三王女が、護衛騎士や護衛剣士を好待遇で召し抱えているという噂を聞きつけた、軍官の家柄の次男、三男の剣自慢達が何人も応募してきた。そのうち、剣術含め武術にすぐれ、集団行動もできる3名を新たに直臣としてアリアさんは迎え入れた。
以前は、第三王女付護衛騎士1名体制だったのが、第三王女付護衛騎士「隊」と規模を大きくし、騎士長1名と騎士3名の計4名体制となった。
一方、俺の後任の第三王女派の「参謀」選びは遅れに遅れている。こうなると、アリアさんが意図的に遅らせているような気がするよ。
今のところの最有力候補は、魔技閥のルートン家のジェシカさんのすぐ上の兄(次男)シール・ルートンさんの名前が挙がっている。ルートン家の中では、変わり種で、内官を目指さず、王立大学に進み軍官畑の道を進んできた。もしこのままアリア派の参謀に決まれば、アリアさんとルートン家は一連托生になるな、と思う。
一応、俺の方では、参謀として、ルートン家の次男含め、応募者たちの身辺調査をしておいた。出自やこれまでに素行に加えて、家族関係、交友関係などを中心に調査した。それと、俺の左目の悪意センサーも有効活用している。応募してきたうち、2名は、俺の左目に悪意の色が映ったので、スパイの可能性が高いと判断し、アリアさんには、側近には採用しないように進言している。アリアさんはその通り行動してくれて、そいつらは、側近になれないと分かると、すぐに離脱していった。
その他のメンバーはおそらく問題ないだろう。
アリア派の長期目標に関しては、やはり第二王女キャリソン・フランドを救出し、王都へ迎え入れることにするみたいだ。
「ゲファルナ卿。私は、姉様を王都に連れ戻し、第二王女派を再建します。妹として姉キャリソン・フランドを支えるつもりです」
第三王女派を含めた第二王女派で再起を図ることは譲れないようだ。話を聞くと、第二王女派の再建はアリアさんの悲願となっているので、そこまで覚悟を決めているならば、俺に言えることはない。
ただ、それを実現できるのは、もっとアリア派が力をつけないと無理であること、今下手に動いたら、第一王子と公爵に足元を掬われることとなり、アリアさんが間違いなく瞬殺されるので、時機を待つようにと、口を酸っぱくして注意している。
それと、俺の担当になっている、新技術の国家戦略プロジェクトへの採用計画とそこからの利益を資金源にする計画は、順調に進んでいる。
ジェシカパパこと魔技閥次官ジュリド・ルートンさんが頑張ってくれた。
なんと、サンプル2で渡したサージカルヒール(重症の外傷治療用魔法具)が、国王陛下や閣僚閣議で大絶賛され、正式に国家プロジェクトに採用された。
国家プロジェクトの名前は、「魔法技術革命5か年計画(通称:マジカ計画)」。マジックソリューション革命の略で、「マジカ」だよ。実は、俺がネーミングを考えて、ジェシカパパを強引に納得させたんだよね。
どうだ!エクス、俺のネーミングセンスは?
『なかなかやるものじゃのう。主殿よ。まぁ、我ならば、「魔技エボ計画」とかにするかのう』
『な!』 俺はエクスのネーミングセンスにしびれてしまった。やはり1000年以上生きていると、触れてきた名前の種類が半端ないからな。これからはエクス先生にも事前にネーミング案の意見を聞こうと思った。
話を戻すと、俺のブラックストーン技術を基にした、国の威信を懸けたマジカ計画を主導しているジュリド・ルートンを魔技省次官から外すことなどできるはずがない。うまくいけば、魔法技術の革命を起こし、周辺国に対しても、その影響は計り知れない。
魔技省に圧力をかけたにもかかわらず、目論見を外した第一王子と公爵は臍を嚙んでいることだろう、と想像した。
今後、5年で、ブラックストーンを核とした、サージカルヒール(重症の外傷治療用魔法具)を開発、一般流通を始める計画だ。フランド王国としては、国軍、教会それから病院に配備し、他国にも戦略物質として制限をかけながら、輸出する計画ということだ。
国家プロジェクトに採用されたため、予算が魔技省に潤沢に配分された。国への納入方法に工夫を行い、ブラックストーンの利益の一部は第三王女派閥アリア派の活動資金にもなるようにしておいた。もちろん、サージカルヒールのキーテクノロジーを握っている俺個人(ゲファルナ卿)にもこの魔法の石を手配すればするほど、数に応じてお金が入ることになる。
商品化した時に、利益率を5割にすることでジェシカパパと話をしている。
つまり、商品として売った時の価格の半分は、製造、流通、小売りに必要な費用で、純粋な儲け分は、価格の半分を目指す。その取り分としては、マジックストーンを供給する俺に2割、アリアさんの商会を通じてフランド王国に納品させることからアリアさんに1割、フランド王国に2割入るという計画だ。
『主殿。魔石を提供するだから、ゲファルナ卿がもっと利益を上げてもよかったのではないか?』
さすが魔王エクスだ。俺も一瞬そう思ったよ。
でも、サージカルヒール以外で、ブラックストーンを使った俺個人の計画がたくさんもあるので、ここはルートンさんの魔技閥とアリアさんに花を持たせてあげようと思ったのだよな。
第三王女の側近の護衛騎士は結局、第二王女の直臣の弟が着任した。超一流という腕前ではないが、「まずまず」の剣の腕であった。一剣士というよりも、部隊長という趣で、剣の腕より戦術眼の方が期待できる。軍官あがりの人物なので、よい護衛長になると思う。採用後、俺の助言に従ってアリアさんがその新しい直臣を厚遇した。
『ゲファルナ卿として、魔法なしの条件で、剣のみで手合わせして、負けたくせに「まずまず」とは主殿も負けず嫌いじゃのう』
『俺の本当の得物は、剣ではなく小太刀とナイフだからいいんだよ』
採用試験の意味で、俺が剣の模擬線で負けたことについてエクスがからかってくる。断じて、俺の力は剣などでは測れないのだ!
第三王女が、護衛騎士や護衛剣士を好待遇で召し抱えているという噂を聞きつけた、軍官の家柄の次男、三男の剣自慢達が何人も応募してきた。そのうち、剣術含め武術にすぐれ、集団行動もできる3名を新たに直臣としてアリアさんは迎え入れた。
以前は、第三王女付護衛騎士1名体制だったのが、第三王女付護衛騎士「隊」と規模を大きくし、騎士長1名と騎士3名の計4名体制となった。
一方、俺の後任の第三王女派の「参謀」選びは遅れに遅れている。こうなると、アリアさんが意図的に遅らせているような気がするよ。
今のところの最有力候補は、魔技閥のルートン家のジェシカさんのすぐ上の兄(次男)シール・ルートンさんの名前が挙がっている。ルートン家の中では、変わり種で、内官を目指さず、王立大学に進み軍官畑の道を進んできた。もしこのままアリア派の参謀に決まれば、アリアさんとルートン家は一連托生になるな、と思う。
一応、俺の方では、参謀として、ルートン家の次男含め、応募者たちの身辺調査をしておいた。出自やこれまでに素行に加えて、家族関係、交友関係などを中心に調査した。それと、俺の左目の悪意センサーも有効活用している。応募してきたうち、2名は、俺の左目に悪意の色が映ったので、スパイの可能性が高いと判断し、アリアさんには、側近には採用しないように進言している。アリアさんはその通り行動してくれて、そいつらは、側近になれないと分かると、すぐに離脱していった。
その他のメンバーはおそらく問題ないだろう。
アリア派の長期目標に関しては、やはり第二王女キャリソン・フランドを救出し、王都へ迎え入れることにするみたいだ。
「ゲファルナ卿。私は、姉様を王都に連れ戻し、第二王女派を再建します。妹として姉キャリソン・フランドを支えるつもりです」
第三王女派を含めた第二王女派で再起を図ることは譲れないようだ。話を聞くと、第二王女派の再建はアリアさんの悲願となっているので、そこまで覚悟を決めているならば、俺に言えることはない。
ただ、それを実現できるのは、もっとアリア派が力をつけないと無理であること、今下手に動いたら、第一王子と公爵に足元を掬われることとなり、アリアさんが間違いなく瞬殺されるので、時機を待つようにと、口を酸っぱくして注意している。
それと、俺の担当になっている、新技術の国家戦略プロジェクトへの採用計画とそこからの利益を資金源にする計画は、順調に進んでいる。
ジェシカパパこと魔技閥次官ジュリド・ルートンさんが頑張ってくれた。
なんと、サンプル2で渡したサージカルヒール(重症の外傷治療用魔法具)が、国王陛下や閣僚閣議で大絶賛され、正式に国家プロジェクトに採用された。
国家プロジェクトの名前は、「魔法技術革命5か年計画(通称:マジカ計画)」。マジックソリューション革命の略で、「マジカ」だよ。実は、俺がネーミングを考えて、ジェシカパパを強引に納得させたんだよね。
どうだ!エクス、俺のネーミングセンスは?
『なかなかやるものじゃのう。主殿よ。まぁ、我ならば、「魔技エボ計画」とかにするかのう』
『な!』 俺はエクスのネーミングセンスにしびれてしまった。やはり1000年以上生きていると、触れてきた名前の種類が半端ないからな。これからはエクス先生にも事前にネーミング案の意見を聞こうと思った。
話を戻すと、俺のブラックストーン技術を基にした、国の威信を懸けたマジカ計画を主導しているジュリド・ルートンを魔技省次官から外すことなどできるはずがない。うまくいけば、魔法技術の革命を起こし、周辺国に対しても、その影響は計り知れない。
魔技省に圧力をかけたにもかかわらず、目論見を外した第一王子と公爵は臍を嚙んでいることだろう、と想像した。
今後、5年で、ブラックストーンを核とした、サージカルヒール(重症の外傷治療用魔法具)を開発、一般流通を始める計画だ。フランド王国としては、国軍、教会それから病院に配備し、他国にも戦略物質として制限をかけながら、輸出する計画ということだ。
国家プロジェクトに採用されたため、予算が魔技省に潤沢に配分された。国への納入方法に工夫を行い、ブラックストーンの利益の一部は第三王女派閥アリア派の活動資金にもなるようにしておいた。もちろん、サージカルヒールのキーテクノロジーを握っている俺個人(ゲファルナ卿)にもこの魔法の石を手配すればするほど、数に応じてお金が入ることになる。
商品化した時に、利益率を5割にすることでジェシカパパと話をしている。
つまり、商品として売った時の価格の半分は、製造、流通、小売りに必要な費用で、純粋な儲け分は、価格の半分を目指す。その取り分としては、マジックストーンを供給する俺に2割、アリアさんの商会を通じてフランド王国に納品させることからアリアさんに1割、フランド王国に2割入るという計画だ。
『主殿。魔石を提供するだから、ゲファルナ卿がもっと利益を上げてもよかったのではないか?』
さすが魔王エクスだ。俺も一瞬そう思ったよ。
でも、サージカルヒール以外で、ブラックストーンを使った俺個人の計画がたくさんもあるので、ここはルートンさんの魔技閥とアリアさんに花を持たせてあげようと思ったのだよな。
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